映画「座頭市」 (1989年) あらすじと感想【ネタバレあり】赤色と山吹色の人生訓
ライフワークにしていた勝新太郎さんの最後の座頭市です。
勝プロモーション制作で監督も務めました。
実子の奥村雄大さんのデビュー作なのですが、撮影中に彼が握っていたものが真剣だったためモブ役の方が亡くなって問題になった作品です。
主演の勝さんはじめ、緒形拳さんや蟹江敬三さんなど演技派の人たちの他、陣内孝則さんや片岡鶴太郎さん、内田裕也さんなど多彩なジャンルの人たちが出演しています。
あらすじ
盲目の剣豪・座頭市は牢に入れられていた。
他の囚人から嫌がらせで飯を奪われるが、鶴と名乗る男が飯を分けてくれる。
鶴はいずれ幕府を倒して世直しするのだと市に告げた。
牢から解放された市は漁村に向かい、馴染みの儀助に会いに行く。
儀助の勧めで近くにある宿場で行なわれている賭場に出向くと、偶然鶴と再会する。
宿場の別の部屋では、八州見廻り役と若手ヤクザの五右衛門が密談を交わしていた。
八州の命を受けて五右衛門は叔父である親分を殺害。
五右衛門組として組織を引っ張っていくことになり、この宿場もその管轄だ。
従業員も五右衛門組のヤクザである。
そして丁半博打が始まり、市も鶴も参加する。
市は巧みなイカサマで大もうけをして、鶴の手の中に金貨を滑り込ませた。
飯を分けてくれた恩返しだ。
しかし宿場の番頭・仁を筆頭に市は絡まれる。
そこに顔が効く賭博師・菩薩のおはんが現れて場をとりなした。
おはんのおかげで市はようやく帰れるが、五右衛門の命令を受けた刺客から闇討ちに遭う。
市は危なげなく敵を斬り倒し、そして旅に出た。
その旅の途中、絵を描いている浪人と出会う。
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感想
いろいろと “粋” を感じる映画ですねぇ。
サッと済ませる恩返し。
提灯が闇討ちの印。
寝たふりをして黙って市を送り出す儀助。
儀助とのシーンは、会話の自然さや互いの気遣いが押しつけがましくなく描かれていて、役者二人の相性の良さが出ています。
この二人のシーン全部好きだわ。
そして「山吹色はイヤな色。人間を狂わせる」。
絵を描く浪人に「赤はどんな色か」聞く市は、目が見えていた頃に好きだった色らしいです。
人を斬った後の刀や鞘の内側を洗っているときに出た色を赤だと浪人は教えてくれました。
市と気が合い友達のようになった浪人でしたが、五右衛門組に見込まれて市を暗殺する命令を大量の小判と引き換えに受けてしまいます。
それが山吹色 = 小判の色。
色の話で繋がり、金が人を狂わせる教訓に持って行く上手い運びです。
市を殺したくない浪人の葛藤を、緒形さんが繊細に演じます。
そして勝さんの気合の入った演技と殺陣。
ライフワークであった「座頭市」をいかに大切にしていたかがよく伝わります。
…こだわりすぎて大赤字になったそうですが (;´∀`)
剣豪としての凄みも、意外な可愛らしさも、座頭市という人間の魅力をすべて体現していました。
見せ場の殺陣は本当に凄かったです。
お兄さんの若山富三郎さんも千葉真一さんを向こうに回して迫力ある殺陣を見せていましたが
若山さんの殺陣はこちら
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勝さんも凄い速さと動き。
瞬きする間がもったいなく感じる綺麗な殺陣です。
ラストの50人斬りは圧巻でしたが、そこに入る導入部は… 笑いました。
大樽がゴロンゴロン転がってきたと思ったら、その樽が自然の法則を無視してピョイーン! と起き上がるんだものw 吹いてしまいましたわww
笑いどころもたくさんある作品でした。
ストーリー的にはちょっと、即興で変更をやりすぎたせいか「芯」を感じない軽いものになったような感じですが、見どころは多い映画です。
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