映画「第七の封印」あらすじと感想【ネタバレあり】虚無虚無エブリバディ
ヨハネの黙示録を題材にした、イングマール・ベルイマン監督の作品です。
主演は「エクソシスト」で有名になり、国際的に活躍したマックス・フォン・シドー。
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あらすじ
10年もの長きに渡る十字軍遠征から帰国した騎士アントーニウスと従者ヨンス。
海岸で眠るヨンスの傍らで、アントーニウスは目の前に現れた人物と対峙する。
男は “死” と名乗る。
ずっとついてきていたことにアントーニウスは気づいていた。
まだ死を受け入れる心づもりがないアントーニウスは “死” にチェス勝負を持ちかける。
勝負の間は、死は延期され、そしてアントーニウスが勝ったら解放する、という条件だ。
海岸で始めた勝負だが長丁場だ。
アントーニウスは妻が待つ居城に向かって出発する。
その朝、旅芸人一座の曲芸師ヨフは、聖母の姿を見た。
急いで馬車の中で眠る妻ミアを起こして今見たことを伝えるが、信じてもらえない。
ヨフの声に座長も目を覚ます。
今日はこれから、教会前で寸劇をする仕事がある。
ペストが流行っているため、人々に警告と信仰を促す目的で教会から依頼されたのだ。
教会に辿り着いたアントーニウスは、壁にペストで苦しむ人々をモチーフにした「死の舞踏」を描いている画家と言葉を交わす。
奥に行き、牧師への告解で神の存在への疑義や、“死” との勝負を口にする。
しかし牧師と思っていた人物は “死” だった。
勝負の手の内を知られてしまいアントーニウスは憤慨する。
アントーニウスが教会にいる間、ヨンスは民家の様子を見ていた。
疫病で亡くなっている人が多い。
そこに元聖職者ラヴェルがやってきて、遺体から金目の物を盗んでいく。
ラヴェルはヨンスには気づいていないが、戸口に立っていた女性に「何が悪い」と食って掛かった。
襲われそうになった女性をヨンスは助け、彼女を料理係として旅に加えることにする。
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感想
観る前は難解そうに思えて、ちょっと構えてたのですが、そうでもなかったです。
ちゃんと話についていけました。
冒頭だけは、チェス勝負が始まったばかりなのにアントーニウスがヨンスと一緒に立ち去ってしまうので「ちょちょちょっ、どこ行くん?勝負どうなったん?もしかしてここ過去回想シーン?」と混乱しましたが…
アントーニウスの行く先々で “死” が現れて、そこで勝負するから場所を移動しても無問題だったということでした。
そっか、ファンタジーだとそういうことが出来るのね。
チェス勝負を持ちかけて延命を図ったアントーニウスですが、彼は実は死を恐れているわけではありません。
この疫病が蔓延している中、救いを求めても現れない神の実存を知りたいのです。
10年間の無益な戦いの果てに、彼の心は虚無になっていました。
何かを成し遂げたい、という気持ちもあります。
それをヨンスに言っても「俺は女の股の間で寝られりゃ十分」と、理解されません。
ヨンスのような人相手に “意識高い系” の発言しても虚しいだけですね ( ̄▽ ̄)
戦争中もヨンス相手に喋ってて、それで虚無感がどんどん高まったんじゃないでしょうか?
牧師だと思って胸の内を吐露した相手は “死” だったし。
自分の崇高な思想を真面目に受け止めてくれる人がいないストレス… 虚無マシマシ。
教会から出ると、明日火あぶりにさせられる魔女扱いの女性が縛られています。
鼻つまめないのに臭い匂い嗅がされて、アントーニウスたちまで くっさあああぁぁぁ!!
普通の騎士道物語だったらこの女性は助けられたんでしょうけど、虚無&おゲレツのふたりは見捨てて去っていきます。
そして辿り着いた町で旅芸人一座の寸劇を見学。
ここで座長は裏でひとり、肉感的な女性の誘惑にホイホイ乗ってラブ注入♡
狂信者たちの集団に劇が台無しにされたことにも気づきません。
女性はリーサ。
鍛冶屋の浮気な女房で、その夜、半狂乱で妻を探し回って居酒屋にやってきた鍛冶屋に、ヨフが浮気相手と勘違いされて殴られます。
座長はいなくなり、赤子を抱えたヨフとミアは、アントーニウスたちと一緒に行動。
鍛冶屋とリーサも加わりました。
座長は “死” のお迎えに抵抗できませんでした。
木の上で一晩過ごそうとした座長。
その木を、大鎌にノコギリ刃をつけてエッサー♪ ホイッサー♪とリズム良く切り倒す “死” に吹きましたw
腕だけじゃなくちゃんと全身を使った動きに、肉体派の片鱗を見ました。
“死” なのに元気いっぱい (≧▽≦)
そんな元気な “死” はすぐにアントーニウスに追いつきます。
チェス勝負も終盤。
ふたりが向き合っている姿に、 “視える子ちゃん” のヨフは慄いてミアと赤子を連れて逃げ出します。
一家が無事に逃げるのを見て安心したアントーニウスは、潔く負けました。
城に着いて妻と再会し、みんなで晩餐を囲んでいるときにやってきた来訪者 “死”。
ヨンス、料理係、妻、鍛冶屋、リーサ… 皆が死を前に呆然と、恍惚と、魅入ります。
アントーニウスだけが天に向かって手を合わせますが、祈りは届きません。
虚無。
“死” を見た瞬間、全員の心の中を支配したものはコレだったと思います。
無気力に、死を受け入れました。
逃げてきたヨフは、丘の上で “死” を先頭にみんなが手を繋いで踊りながら黄泉の国に去っていく姿を見ました。
ちょうど七つの人影になっているところに計算高さを感じます (いい意味で)
七つの大罪を意味しているのか、第七の封印が解かれて更なる天変地異が起こるのか…
キリスト教において「7」が必ずしも幸運の数字とは言い切れないのだなぁ、と改めて思いました。
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