映画「ある男」あらすじと感想【ネタバレあり】自分のままで生きるしかない

妻夫木聡さん、安藤サクラさん、窪田正孝さんを中心に描くヒューマン・ミステリー作品です。
ここ最近目覚ましい活躍を見せている中野太賀さんや、安藤さんの義父・柄本明さんらも出演しています。
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あらすじ
文具店を営むシングルマザーの里枝は、よくスケッチブックを買いに来る谷口大祐と再婚した。
結婚する少し前からこの町にやってきていた大祐は林業に従事していた。
幼かった前夫との息子・悠人も中学生になり、娘も生まれて幸せな家庭である。
しかし大祐が仕事の現場に悠人を連れて行ったその日、大祐は倒れた木の下敷きになって命を落とした。
里枝は葬儀に大祐の兄を呼んだ。
しかし遺影を見た彼は、これは大祐とは別人だという。
混乱した里枝は、前夫との離婚の際に世話になった弁護士・城戸に相談する。
保険金などは受け取れるようでホッとするが、これまで大祐と名乗っていた亡夫は謎のX氏となった。
城戸は戸籍売買を手掛けていた囚人・小見浦に面会する。
だが小見浦は、城戸を在日朝鮮人だと侮辱するばかりで大した証言は得られなかった。
ある日、死刑囚たちが遺した絵画の展覧会があり、それを妻と見に行くとXが描いた絵と似ているものがあった。
描いた人物はXにそっくりの顔をしているが、すでに刑は執行されている。
Xはこの死刑囚の息子であったことを城戸は突き止めた。
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感想
他人になりすまして生きる… 「火車」に似ているな~、と思いましたが、人を殺して成り代わっているわけではないので「火車」ほど悲惨ではありません。
死刑囚であるお父さんが血みどろのまま息子の前に現れるシーンはありましたが。
窪田さん、この父とXの両方を演じていて、父の狂気と息子の苦悩をきちんと描写しているので、やっぱり演技うまいですね。
元ボクサーの役でもあるからちゃんと体も絞ってたし、説得力がありました。
というか、この映画メインに上手い人で揃えていますね。
だからリアリティがあって見ごたえありますが、あまり紆余曲折なくサクサク進むので物語自体は軽く感じました。
場面は邦画によくある暗いトーンの画になっているけど、演出に重さが足りないような… そんな印象です。
ただ、成りすましにも捻りがあって、Xこと死刑囚の息子・原誠は二度改名しています。
そのため本物の谷口大祐の名前は原誠ではありません。
でもちゃんと生きていて、最後に彼は名前を聞かれて何と答えるか逡巡する表情を見せて終わりです。
他人と人生を交換した性でしょうか。
そこに肉体という実存はあるけれどアイデンティティという実態はない。
自分は何者なのか、とても曖昧で宙ぶらりんな状態になっていることの哀しさを感じます。
これは城戸にもあてはまり、在日三世である彼はほぼ日本人だと妻や上司には言いますが、小見浦に煽られて自分の国籍の曖昧さに憤りを見せていました。
そして妻の不貞を最後に知ります。
自分の出生からやり直したいという本音は分かります。
人生をリセットしたいと思う人は少なくないでしょう。
それでももがいて自分のままで生きていく。
他人と成り代わってもやるせないだけだから。
そんな気持ちになりました。
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