「イントルーダー 侵入者」あらすじと感想【ネタバレあり】嫉妬はどこまでも暴走する
1999年制作の日本未公開作品です。
主演はシャルロット・ゲンズブール。
そして共演には「テス」のナスターシャ・キンスキー。
ストーリーや演出にいろいろとツッコミどころ満載なB級映画ですが、キャストが贅沢だなぁ、という印象を受けました。
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あらすじ
夫の前妻を殺した、と自首してきた女性キャサリン。
ほんの数時間前に、争った末相手を銃で撃ち殺してしまった、という。
顔にケガを負って服にも返り血がついている。
人を殺したばかりで震えて落ち着かないキャサリンに、刑事は冷たく言い放つ。
「前妻はすでに2年前に死んでいる」と。
話は1年前に遡る。
フランスから単身カナダにやってきたキャサリンは、ある夜強盗に襲われてバッグを盗まれる。
近くの店からニックという男性が出てきて、ケガをしてうずくまるキャサリンを助け起こしてくれた。
家の鍵もバッグの中にあるため帰れない、というキャサリンをニックは自分のアパルトマンに連れて行き、医者に往診してもらう。
骨折はしていないがショックが大きいため安静にしているように言われ、ニックは献身的にキャサリンの面倒を見る。
この一件をきっかけに二人は結婚した。
キャサリンはニックが以前結婚していたことを聞いた。
前妻のステラは、今も自分たちが住むこの部屋に押し入ってきた強盗に撃たれて亡くなった、ということだった。
犯人はまだ捕まっていない。
同じ建物内に住む女性・バッジからホームパーティーに招待され、身支度を始めるキャサリン。
注文して届いたばかりのドレスを紙バッグから取り出すとズタズタに引き裂かれていた。
仕方なく違うドレスを着て参加すると、他にも女好きのゲーム作家・チャーリーや、キャサリンと仲良しのデイジーもやってきた。
なぜか少しピリピリした雰囲気のなか、この建物では頻繁に起こる停電がいきなりやってきた。
具合が悪くなったデイジーを洗面所に連れて行き薬を探すと、戸棚に銃がしまい込んであるのを見つけ、バッジに不信感を抱く。
事実、バッジはニックの浮気相手だった。
その後もおかしなことが続いた。
写真のキャサリンの顔が潰される。
ペットのネコを殺される。
口紅がついた飲みかけのワイングラスを見つける。
ヘアブラシに自分の色とは違う髪の毛が絡みついている…
立て続けに起こり、キャサリンは精神的に参ってくる。
そしてある日ステラの日記を見つけて、キャサリンはページを開いて読みふけった。
感想
キャサリンとニックの出会いは、強盗に遭って怖い思いをしたところに手を差し伸べてくれたことでした。
ケガをして家にも帰れなくなった彼女を自分の家に連れていってからトントン拍子で結婚まで至ります。
…通報しないの? というツッコミを入れたくなりましたが、そうすると恐らく話が進まなくなると思ったのだと推察します。
とりあえず「弱っている女性を助ける男性」を出会いにすれば、そのまま二人が付き合って結婚までするのを自然に見せられるという考えだったのでしょう。
と、こんなふうに脚本家の意図まで妄想できるくらい、女性の理想の出会いの多くはピンチを救ってくれるナイトが現れて…、というのが昔からの定番になっています。
映画、ドラマ、小説、漫画、演劇…
あらゆるクリエイト作品で手垢がつきまくっている出会い演出です。
かくいう私も大好物なんですけどね。
乙女ゲームでイケメンに守られて助けてもらって「デュフフフ~」と不気味な笑みを浮かべるくらい好きなシチュですわ (絶対人に見られたくない姿)
とはいえ実際強盗が逃げ去ってから出てきているので、ニックはナイトとは言えません。
キャサリンがケガをする前に飛び出してきて強盗を叩きのめしてこそナイトですので、フィクションとしてはブッブー!ですね。
しかし自室に連れて行ってからは医者を呼んだり、歩けない彼女に手を貸したりと献身的かつ紳士的に対応しています。
姫と恋に落ちるのはナイトではなく王子、と昔なにかで読みましたが確かにその通りで、このときのニックは間違いなく王子様でした。
素人なのに強盗を倒そうとして危険な目に遭ってカッコつけようとするより、その後のケアを優しくしてくれる人の方が現実的です。
「強くなければ生きていけない。優しくなければ生きている資格がない」とはフィリップ・マーロウの名言ですが、強さも優しさも兼ねた人が理想ではありますが“強さ”より“優しさ”の方が人として重要なんですね。
「強い人」と「優しい人」、どちらかを選ぶのなら、「優しい人」がいいのかもしれません。
女好きのチャーリーと、デイジーは実はこっそり付き合っていました。
デイジーの方は結婚も視野に入れているのですが、チャーリーの方はどうやら遊びのようです。
食事の約束をドタキャンするし、ベッドには他の女の子たちが寝ていたりします。
ある時などは、部屋に来たデイジーに強引に迫り、彼女の方も受け入れようとしていたときに、耳元で「ステラ」と囁いてしまったのです。
どーーーん!!!
ありがちケアレスミス!!!
ニックの前妻の名前なのに、なんでチャーリーが? となりますが、この際そんなんはどうでもいい (ダメだろ)
問題は、うっかり過去の女の名前を言ったことです。
意外と多い、過去を引きずっている人の失言からの別れ。
今つきあっている人に対して失礼だとは思っていない場合が多いのですね。
この、最中の名前間違いも大変失礼ですが、この手の人は事あるごとに過去の女性を美化して話して聞かせてくるのもイラつかせます。
(これがまた、いかにも過去の良き日を思い出してるようなウットリした顔で言ってんだ、ケッ)
こういう相手に対してですが、いきなり別れを切り出すのも性急です。
まずは過去話をしないように “躾ける” ことが大事です。
そういう話をされたとき、いい子ちゃんになって黙って聞いてあげていませんか?
それだと相手は舐めてかかって、ますます調子こいて話し続けます。
不愉快だとキッパリ言って、こちらから聞くとき以外は今後一切、過去の人の話をしないように要求していいです。
キャサリンに起こった出来事はすべてある人物の嫉妬によるものでした。
どんどんエスカレートし、猫に続いて、親友のデイジーまで窓から突き落として殺害します。
そして最後にキャサリンの命を狙います。
嫉妬に狂う人に歯止めは効きません。
どこまでも暴走するこんな人と巡り合ってしまったら…
逃げてーー! 全力で逃げてーーー!!
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