映画「ネットワーク」あらすじと感想【ネタバレあり】コンプラ無視時代のテレビ狂騒曲
「十二人の怒れる男」などで知られるシドニー・ルメット監督の1976年の作品です。
ウィリアム・ホールデン、ピーター・フィンチ、ロバート・デュバル、フェイ・ダナウェイという豪華俳優陣で、テレビ業界の内幕をブラックなテイストで見せています。
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あらすじ
大手テレビ局UBSが放送しているニュース番組の視聴率は悪化の一途をたどっていた。
キャスターのハワード・ビールは二週間後の解雇が決まった。
親友であり報道部門責任者のマックス・シューマッカーは彼を飲みに誘い、お互いに駆け出しだったときの思い出話に花を咲かせる。
元気づけたつもりだったのだが、翌日ビールは生放送中に「来週の放送の真っ最中に自殺する」と爆弾発言をしてシューマッカーはじめスタッフたちを慌てさせた。
ビールをすぐに降板させてシューマッカーは話を聞く。
11年も続けてきたこの番組はビールにとって人生そのものだったのだ。
シューマッカーは最後にもう一度ビールを出演させて、言いたいことを言わせる機会を作った。
ビールはカメラの前で、突発的に出した先日の自殺予告について撤回し謝罪。
そして社会問題の鬱屈を声高に主張し始める。
UBSは現在、資本主義第一の企業CCAに吸収合併されている。
CCA側のエンタメ部門責任者のダイアナ・クリステンセンは、ビールのこの怒りを「使える」と判断した。
ビールをメインホストにした新番組の企画を立ち上げる。
彼女は視聴率のためなら何でもするという野心に溢れていた。
上司のフランク・ハケットもその点を買っていて、彼女に任せた。
その代わり報道部門を縮小することにする。
シューマッカーはUBS会長に抗議するが、今や会社はCCAのほうが力を持っていて、実質ハケットが会長より上の立場である。
歯噛みするシューマッカーだが、ビールを通じてクリステンセンの魅力に憑りつかれた。
ふたりは不倫関係になる。
ビールの新番組は好調。
彼の怒りの扇動に大衆は熱狂する。
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感想
視聴率第一のテレビ業界の内幕を描いています。
ちょっと大げさにも見えるのですが、リアルに「コンプライアンス?何それ、おいしいの?」という返事がきそうな時代の作品なので、実際こうだったんでしょうね(;^ω^)
視聴率に踊らされる人間たちの狂気ぶりが滑稽です。
ビールが番組でやっていることは、今でいう「炎上商法」に近いかもしれません。
強烈すぎる怒りの発散は大勢のアンチを生みますが、少なからず共感し応援する人物も現れます。
この作品ではアンチはおらず (シューマッカーは距離を置いています)、視聴者や番組観覧者はビールに感化されて、同じようにシャウトし続けます。
こうして自分を崇めてくれる人がいるから、炎上系で何かしている人たちはやめられないのかもしれませんね。
正直、シューマッカーとクリステンセンの不倫のくだりはいらないなぁ、と思いましたが実は最後のほうで効いてきます。
視聴率に憑りつかれて狂気じみてくるクリステンセンに見切りをつけて、シューマッカーは妻子の元に帰ります。
彼女の身近にいた唯一の“良心”がいなくなり、ストッパーが無くなったクリステンセンは、ビールの暗殺計画に一役買います。
もしかするとシューマッカーが傍にいて彼女をもっと人間らしくいさせてくれれば、ビールは殺されずに済んだかもしれない。
そんなふうに考えます。
とはいえ、狂気に憑りつかれている人といつまでも関わるのは危険です。
ビールもクリステンセンもハッケルたち重役連も、まともではありません。
逃げ出すシューマッカーの判断は正しかったと思います。
テンポが良いのでわりとスイスイ観れて面白かったのですが、登場人物のほとんどがオッサンで、みんな背格好が似通っていて服装もスーツで勢ぞろいなので、見分けるのが大変でした(;´・ω・)
何しろ相当な年月、「外国人の顔はみんな同じに見える」という鈍感脳だったので、キツかったです。
中心のウィリアム・ホールデンもピーター・フィンチも、あまり多くの作品を観ていないので余計に混乱しました。
お二人のファンの方たち、申し訳ありませんm(__)m
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