映画「シェルブールの雨傘」あらすじと感想【ネタバレあり】愛より安定を選ぶ女ごころ
カトリーヌ・ドヌーヴの出世作になったジャック・ドゥミ監督のミュージカル作品です。
セリフ全部を歌で表現しているのはこの映画だけかも?
ユニークな作りでカンヌ国際映画祭パルムドールを獲得しています。
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あらすじ
1957年11月。
傘屋の娘ジュヌヴィエーヴと整備工のギイは、17歳と20歳の若さで結婚することを考えているカップルだった。
その若さゆえジュヌヴィエーヴの母は二人の交際を反対している。
夫を亡くし、経営が傾いている傘屋を切り盛りしている母にとってジュヌヴィエーヴは幸せにしたい大切な存在なのだ。
そしてギイは両親がおらず、病気で寝たきりになっている伯母と暮らしていた。
幼なじみのマドレーヌも一緒に伯母の世話をしてくれるのでギイの負担は重くはない。
しかし20歳になったことでもうすぐ徴兵されることになる。
ある日、傘屋の元に税金の支払督促が届いた。
8万フランもの大金に頭を抱える母にジュヌヴィエーヴは手持ちの宝石類を質入れしようと説得する。
地元の質屋にネックレスを持って行くと断られてしまい母は泣きだした。
質屋にはパリから来ていた宝石商のカセールが居合わせており、見兼ねた彼がネックレスを買い取ってくれる。
ついにギイの元に召集令状が届き、彼はアルジェリア戦線に向かわなくてはならなくなった。
任期は2年。
不安と寂しさを抱えながら二人は残りの時間を埋めていった。
1958年1月。
ギイからの手紙がまだ1通しか届いていないことに不満を持つジュヌヴィエーヴ。
彼女はギイの子どもを身ごもっていた。
このことを手紙に書くと、ギイから喜びに満ちた返事が届く。
その頃、町に来ていたカセールを母は食事に招待した。
ジュヌヴィエーヴが体調不良で先に退室すると、母は先行きの不安をカセールに吐露する。
するとカセールは、初めて見たときからジュヌヴィエーヴに惹かれており、彼女との結婚を望んでいることを母に打ち明けた。
その会話は壁越しにジュヌヴィエーヴにも聞こえていた。
裕福なカセールと結婚すればもうお金の心配をしなくて済む。
ジュヌヴィエーヴが妊娠していることをカセールに打ち明けると、彼は一緒に育てていこう、と言ってくれた。
ギイがおらず、ひとりで出産することを不安に感じていたジュヌヴィエーヴは、その言葉でカセールとの結婚を決めた。
すぐに式を挙げ、パリに引っ越すのだった。
そして1年が過ぎ、足を負傷して退役したギイが町に戻ってきた。
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感想
やっぱりセリフ全部を歌にしていることに度肝抜かれます。
当然バックにメロディーも流れているから、何というか「手間のかかることやってるな~」と感心しました。
ミュージカルと言っても大抵は要所要所で歌って踊るのが主流だから、そう考えると変わり種の作品ですよね。
頻繁に流れるテーマ曲は物悲しい曲調で、オープニングから流れているからもう、「これは悲恋で終わるな」と分かっちゃいます。
音楽でネタバレ。
たまにありますね、こういうの。
でも話の筋がしっかりしているので、オチが分かっていても面白かったです。
ジュヌヴィエーヴがギイを待つことなくカセールと結婚したのは意外でしたが、17歳の若さでは誰かの支えを必要としたのも無理はないかな、と思います。
初めての妊娠だし、ギイは本当に戻ってくるのか分からないし、お金のことも、と不安材料の多さに押しつぶされそうだったんじゃないのかな、と。
ギイには残酷ですが、ジュヌヴィエーヴの決断は現実でもあり得るのではないでしょうか。
愛よりも安定を選ぶ。
そういうことです。
ギイも最後にはジュヌヴィエーヴを忘れて、マドレーヌとの穏やかな生活を幸せに感じます。
悲恋物語なんだけれど結果オーライ、というラストです。
これはこれでハッピーエンド。
絵的にもカラフルで、装飾やファッションがポップでカワイイ♡
ワクワクしながら舐めるように見てしまいました。
この絵面の明るさがあるから、悲恋でも暗い気持ちにならずに観られるんですね。
上手く計算されてるわぁ~( ̄▽ ̄)
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