映画「クリクリのいた夏」あらすじと感想【ネタバレあり】童心に返れる田舎生活
「殺意の夏」のジャン・ベッケル監督作品です。
「奇人たちの晩餐会」のジャック・ヴィルレと「カンゾー先生」のジャック・ガンブランを主演に、アンドレ・デュソリエ、ミシェル・セローも加わってフランスの片田舎の生活を映し出していきます。
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あらすじ
戦争が終わり、あてもなく放浪して沼地に辿り着いた復員兵ガリスが、亡くなった老人から家を譲り受けて15年が経った。
前妻に去られて老人のところに泣きついてきたリトンとは、今では兄弟のように常に一緒に行動している。
育てたスズランや、雨の日の翌日に獲った肥えたエスカルゴなどを町で売って日々の生活費を稼ぐ。
前妻が残したリトンの子どもたちの面倒もガリスはよく見ていて、すっかり懐かれている。
特に5歳の娘クリクリは一番小さいこともあって父親のリトン以上に頼りにしていた。
正直リトンは怠け者でトラブルメーカーである。
ガリスも内心はウンザリしていて、そろそろこの沼地を出て行こうかと考えていた。
それでもリトンに「出て行かないでくれ」と懇願されて決心がつかずにいた。
町なかで夜に歌をうたって稼ぎに出たとき、金持ちの家でメイドをしているマリーと知り合いガリスは恋に落ちる。
いつか都会で美容師の仕事がしたい、という彼女の言葉に感銘を受けた。
町に住む裕福な友人アメデの頼みで老婦人の庭の手入れをしていた時、一代で事業を興して大金持ちになったペペと友人になる。
ペペは沼地で生まれ育ち、都会的で権力志向の娘や娘婿と相容れずに孫ピエロを連れて遊びにやってきた。
クリクリはピエロに一目惚れし、ふたりは仲良くなっていく。
ある日、ガリスが町で商売をしているときに、リトンは酒場で酔って店主や他の客に迷惑がられていた。
そのとき居合わせたプロボクサーのジョーとケンカになってしまう。
激昂したジョーが警察官たちにまで手を出し、店を破壊してしまったことでジョーは逮捕。
刑務所の中でリトンへの恨みを募らせる。
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感想
クリクリは語り部で出番はそんなにありません。
原題は「沼地の子どもたち」です。
ところが子ども達には焦点は当たっておらず、沼地で童心に返ったように生き生きと過ごすおじさん達が中心になってます。
そんなおじさん達の姿がなぜか可愛くて微笑ましい。
1930年代のお話で、電気もガスも水道もない時代。
不便なのに心は豊かな人たちで溢れていた。
そういう生活が見て取れます。
貧しいからこその知恵が、まるで子供たちが遊んでいるかのように描かれ、精神的にもちょっと大人になり切れていない性格でもある程度許される空気に羨ましさまで感じます。
実際にはカエルとか苦手なので沼地には住めませんけどね (;´∀`)
それでも、町に住みながらも沼地のスローライフに惹かれてしょっちゅうやってくるアメデやペペの気持ちが分かります。
陽光が差す緑に囲まれた映像を見るだけで気持ちが穏やかになってきました。
そして下戸なんですけど、ワインがすごく美味しそう。
お水代わりにグビグビ飲むので、アルコールであることも忘れて飲みたくなりました。
緩やかに過ごす田舎生活ですが、ジョーの出所から急転します。
悪い人ではなかったんですけどペペの死に間接的に関わってしまってるから、ここは少し切なくなります。
ハッピーエンドではあるのですが、最後は年老いたクリクリの独白で皆の行く末が語られ、しんみりとした余韻を残します。
いい映画でした。
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