フランス映画「悪魔のような女」 (1955年版) あらすじと感想【ネタバレあり】
「恐怖の報酬」に続くアンリ = ジョルジュ・クルーゾー監督二作目の作品です。
主演はシモーヌ・シニョレと、監督夫人のヴェラ・クルーゾー。
脇役の中にミシェル・セローやジョルジュ・プージュリーが混じっています。
あらすじ
寄宿学校「デュラサール学園」の校長ミシェルは、共に同校の教師である金持ちの妻クリスティーナと愛人のニコルから殺したいほど恨まれている。
積もりに積もった恨みは頂点に達し、クリスティーナとニコルはついに殺害計画を実行することにした。
週末は帰省する生徒も教師も多い。
学園に残るミシェルを置いて、ふたりはニコルの実家があるニオールに向かった。
実家の両親はすでにおらず、2階に老夫婦を下宿させている。
人が入るくらいの大きな藤製の衣装箱も持って行って準備を整えるが、どうにもクリスティーナが臆病風に吹かれている。
修道院育ちの彼女は、離婚も殺人も罪深いものと考えていて、その思考が逃げ場をなくしていたのだ。
しかも生まれつき心臓が弱い。
こうした緊張感で心臓が波打つのは身体によくないのだ。
対してニコルは最近またミシェルに殴られたばかりであり、怒りを発散させるかのように着々と計画を進めていく。
ためらうクリスティーナに電話をさせ、離婚話をすることでミシェルをここに呼び寄せる。
ふたりが1階の部屋で話している間、ニコルはアリバイ作りで2階の夫婦の部屋にお邪魔する。
ミシェルに睡眠薬入りのワインを飲ませるのはクリスティーナの役目だが、何度かやめようとした。
しかしワインをこぼしたことで平手打ちされ、クリスティーナの腹は決まった。
ワインを飲んで眠ったタイミングで、戻ってきたニコルが浴槽に水を張る。
ふたりでミシェルを浴槽に運び、ニコルが抑えつける。
クリスティーナは心臓を抑えて息を呑み、浴室から出てベッドに倒れ込んでしまう。
無事に溺死させた、とニコルがクリスティーナに告げた。
翌日すぐに学校に戻った彼女たちは、落ち葉が浮かぶプールに死体を捨てた。
なかなか発見されず気を揉むクリスティーナに、ニコルは一計を案じてプールの水を抜くように仕向ける。
するとプールからミシェルの死体がなくなっていた。
新品価格 |
感想
クリスティーナのビクビクぶりにイライラしました。
素早く動かなければいけないところで棒のように立ち尽くすし
分かりやすく動揺して周囲にヘンに思われることを口走りそうになってり
これは一緒に何かをするとき、邪魔で邪魔でしょうがない人だわ (; ̄~ ̄)
ニコルがテキパキ動いているし冷静なんだから、ちゃんと足並み揃えろよ、と思っちゃいました。
が、途中で気づきます。
この臆病ぶりは実は、知らず知らずのうちに彼女自身を守るものでした。
本当の殺人計画は、ニコルとミシェルが共謀して、心臓の弱いクリスティーナをショック死させることだったのです。
うへー、ニコル、マジで悪魔のような女!
そしてミシェルは悪魔そのもの。
もしクリスティーナがミシェル殺害計画にノリノリで参加していたら、おそらく別の方法で殺されていたでしょう。
だって本当は自分以外のふたりが組んでいたんだから、もしクリスティーナが浴槽でミシェルを押さえつけたら、彼は起き上がり、クリスティーナがふたりに沈められていたかもしれません。
ここで浴室から逃げたことは、彼女自身の死を回避したとみられます。
臆病っていうのは悪いことではなく、無意識に自分を守る心理なんですよね。
クリスティーナは途中で元刑事の探偵フィチェットと知り合います。
殺人を犯したと信じている彼女は彼を恐れるのですが、実は心強い味方でした。
ふたりに殺されるクリスティーナ。
大金持ちになった、と喜ぶふたりの前に現れて刑期を告げるタイミング。
そしてクリスティーナが実は生きていると示唆されるラスト。
おそらくフィチェットはクリスティーナと組み、ミシェル&ニコルを罠にかけて彼女を救ったのだと思いました。
きれいなオチの付け方です。
でも、廃校になってみんなが出ていくなか、一人だけ「罰として立ってなさい」と言われたモネくん、カワイソ…
他アンリ = ジョルジュ・クルーゾー監督作品
他シモーヌ・シニョレ出演作品
他ジョルジュ・プージュリー出演作品
他ミシェル・セロー出演作品
映画「約束 ラ・プロミッセ」あらすじと感想【ネタバレあり】たくさん笑えて最後にホロリ
アンリ=ジョルジュ・クルーゾー監督傑作選Blu-ray BOX 『恐怖の報酬』『悪魔のような女』『スパイ』 新品価格 |
アンリ=ジョルジュ・クルーゾー監督『悪魔のような女』Blu-ray 新品価格 |