映画「橋の上の娘」あらすじと感想【ネタバレあり】ツキは呼ぶより掴み取れ
パトリス・ルコント監督が全編モノクロで撮影した作品です。
主演はダニエル・オートゥイユ。
ヴァネッサ・パラディが「ハーフ・ア・チャンス」に引き続いてヒロインを演じます。
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あらすじ
カウンセラーに促されて自分の半生を語るアデル。
惚れっぽくて、すぐに男性と関係を持っては捨てられる。
そんなことを繰り返してきて、自分のツキのなさに絶望した。
カウンセリング後、橋の欄干の外側に立って川に身を投げようかと逡巡する。
何度か躊躇っていると「バカなことをしようとしているな」と声をかけられた。
声をかけてきた男性は、ナイフ投げの芸人をしているガボール。
ナイフ投げの的にならないか、とその場でスカウトされるが、アデルは川に飛び込んだ。
ガボールはすぐに自分も飛び込んでアデルを救助。
病院で改めてスカウトし、自分にツキがないと思い込んでいる彼女に、そんなことはないと説得する。
ふたりは病院を抜け出してそのまま駅に到着。
列車が来るまでの間、倉庫でナイフ投げの練習をする。
初めての経験にアデルは恐怖するが、それと同時に快感も味わっていた。
列車の中でガボールが仮眠を取っている間、アデルは食堂車でナンパしてきた男とトイレでイタす。
探しに来たガボールに連れ戻されてその男とはそれっきりだった。
目的地のモナコに到着し、ガボールはアデルを美容院や服飾店に連れていって洗練された見た目にする。
そしてステージショーの裏側に入り込み、その場で出演交渉。
目隠しをしながら、という条件で出演を許された。
ステージに登場し、位置についたアデルの前に白い布が引かれた。
ナイフを投げるガボールの視界にアデルは入らない。
だけどアデルは彼を信じて目を閉じた。
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感想
アデルは自分に自信がない女の子です。
それゆえ男性にちょっと声をかけられるとすぐについていく依存体質になっていました。
当然長く付き合うことができず、ますます自信を無くしていき、また別の男性と… を繰り返していくうちに「自分はツイてない」と思い込むようになって自死を考えます。
そんな彼女に「運の強さ」を感じたガボールは、ナイフ投げの的という危険なポジションを与えることで、彼女に自信を持たせていきます。
いつまでも「ツキがない」と嘆くアデルにいろんな賭けをさせました。
たまに負けることもありますが、大勝することもあって、決してツイてない人間ではない、と分からせ、そして「ツキなんて自分で掴みに行け」と発破をかけます。
ガボールは男性との関係で傷つくアデルに「的とは寝ない」と言ってプラトニックを貫きました。
いつも粗末に扱われているアデルを尊重している言動です。
寝はしないけれど、ナイフ投げを通して互いに信頼関係を築いて行きます。
そして恐怖と快楽が表裏一体であると感じ、ふたりにとってナイフ投げこそが愛情表現でした。
危険の中に潜む官能性を、毎回アデルがかすり傷を負うことも含めて、出していっています。
吸血鬼にセクシーさを見出す、に近いかもしれません。
そこに「幸運と不運」のテーマが終始語られます。
アデルの不幸寄りの考え方にガボールは「ツキなんて自分の見方次第」と言って、起こったことに対してニュートラルに考えるように促します。
観ているこちらとしても、アデルは男好きだけど、そんなに不運な人にも見えません。
むしろアデルに新郎を取られた新婦のほうが不幸… (;^ω^)
結婚式で新郎に逃げられて、ナイフ投げの的にされて、足にブッスリ刺さって、厄日としか言いようがないほどの不運。
この一連の出来事、どうしたら「幸運だった」なんて見方ができるのか。
首とか心臓じゃなくて良かった、とか?
無理あるな~。
主人公ふたりは不幸になった後、結局お互いが必要と分かり、橋の上で再会してハッピーエンドです。
このときは最初と逆に、ガボールが身投げしようとしていました。
見方次第とは言ってましたが、やっぱりどうやってもポジティブ解釈にはできない事柄もありますね。
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