映画「獲物の分け前」あらすじと感想【ネタバレあり】金髪美女は “してやられる”
フランスの文豪エミール・ゾラの原作を、1960年代当時にアレンジしたロジェ・ヴァディム監督作品です。
主演は当時の妻ジェーン・フォンダ。
ミシェル・ピコリが共演です。
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あらすじ
実業家のアレクサンドルは、20歳も年下の女性ルネを後妻にしている。
事業が傾きかけていたアレクサンドルは、裕福な彼女の実家の資金が必要で、ルネのほうは早く家を出たかったから、という互いの打算が合致していたからだ。
当然愛情はなく、寝室は別である。
前妻との息子マキシムは、若く美しいルネに懸想しており、父親とは仲が悪い。
ルネもマキシムが気になっており、ある日一線を越えてしまう。
それ以来、アレクサンドルがいない間に二人で旅行に出かけるなど蜜月を過ごすが、マキシムは次第にルネが疎ましくなってくる。
ルネがアレクサンドルと離婚してマキシムと駆け落ちしようと考えている頃、マキシムにアプローチしている同級生アンヌの両親とアレクサンドルとで、互いの子供を結婚させる計画が進んでいた。
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感想
豊かな金髪の美女が、身勝手な男に「してやられる」というのが、ヴァディム作品の特徴に見受けられます。
ルネも例外ではなく、「素直な悪女」の主人公ジュリエットのような奔放で自由な女性ながら、依存的な恋愛にハマって打ちのめされることになりました。
アルフレッドをただのオッサンと見くびっていたのも失敗です。
ルネが持ってきた持参金は全て事業につぎ込まれており、離婚すれば無一文になる、という罠が仕掛けられていたのです。
そして一度関係を持ってしまえば飽きてくるのも男の常。
旅行から戻った頃には、マキシムはもうルネとの同衾を拒否するようになります。
そしてアンヌとの距離は縮まり、嫉妬するルネは彼女を銃で撃とうとして彼女の父に止められました。
マキシムを繋ぎ止めるためにアルフレッドとの離婚を強行。
離婚手当のみでマキシムに駆け落ちを提案し、ギリシャに行こう、と誘います。
しかしギリシャには興味のないマキシム。
中国はじめ東アジアに関心がある彼は、アンヌと結婚して日本に行くことのほうが魅力的でした。
ルネが離婚手続きのためジュネーブに飛んだ隙に、アルフレッド&マキシム親子は仮装パーティーを開いて、そこでマキシムとアンヌの婚約を発表することを計画します。
しかしそのことを新聞で知ってしまったルネは急いで帰国。
賑やかなパーティーを外から眺めて涙する姿に悲壮感が漂います。
気づくとルネは、三人でプレイしていたゲームにひとりで大負けしていた状況。
優雅な若奥さまとして不自由のなかった生活も、燃えるような義息子との恋愛も、今はもう過去となって彼女の手元から奪い去られてしまいました。
アルフレッドに連れられて、パーティーの喧騒から離れた小部屋でひとりポツンと座るルネでラストです。
この先の人生、アルフレッドが一応の面倒を見てくれると言っていましたが…
淋しい人生を送ることになりそうな予感があるラストでした。
改めて、恋愛にのめり込みすぎてはいけないこと、今ある幸せに胡坐をかかないこと、という教訓を思い出しました。
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