映画「別離」(1939年) あらすじと感想【ネタバレあり】バーグマン渡米第一作目の不倫もの
スウェーデン映画「間奏曲」を、デイヴィッド・O・セルズニックがハリウッドでリメイクした作品です。
主演は共同プロデューサーも兼ねたレスリー・ハワード。
ヒロインはオリジナル同様にイングリット・バーグマンが演じ、長きに渡るハリウッドでの活躍の、最初の一歩目となります。
あらすじ
人気バイオリニスト、ホルガー・ブラントのニューヨーク公演が終わった。
これまでピアノ伴奏者を長年務めてくれたトーマスはこれで引退する。
今後は後進の育成に力を入れていく、ということだった。
ホルガーはトーマスたちも伴ってスウェーデンの自宅に帰ってきた。
妻のマーギットも息子のエリックも息災だ。
そして溺愛する娘アン・マリーの歓迎ぶりは特に嬉しい。
いつかホルガーと一緒にステージに立つ、と言って毎日ピアノの練習を頑張っているアン・マリーが可愛くてたまらなかった。
翌日、アン・マリーのレッスン時間が始まるので見学することにする。
教えているのは、トーマスの教え子であるアニタ・ホフマンという女性だ。
彼女は、奨学金を受けてパリの音楽大に留学したいと考えていた。
アニタのことが大好きなアン・マリーは誕生日パーティーに彼女も招待する。
余興でアン・マリーがピアノを、ホルガーがバイオリンを弾いてみせた。
演奏を終えたアン・マリーは、アニタにも演奏するようにねだる。
遠慮するアニタだが、トーマスもマーギットも勧めてくるので一曲弾くことに。
そしてその情熱的な演奏に瞠目したホルガーは、おもむろに彼女に近づきバイオリンで伴奏する。
パーティーが終わり、ホルガーはアニタを家に送ることにした。
そしてこれから伴奏者として自分の演奏旅行についてきてほしい、と頼む。
感想
この誕生日パーティーの演奏シーン、圧巻です。
主演ふたりが実際に弾いているのですが、その熱い演奏姿に見入ってしまいました。
特にバーグマンの荒々しさも感じる情熱たるや… 目が離せません。
晩年の作品「秋のソナタ」でもピアニスト役でしたが、それほど演奏シーンはなく、代役を使っていたのでは? と思っていましたが、弾けるじゃないですか。
さすがにこの時のような若さ溢れる演奏はできなかったと思いますが (;^ω^)
この熱いセッションで気持ちが近づいたふたり。
アニタは伴奏者としてホルガーのリサイタルで各国を回ります。
そして休暇はスウェーデンに戻らず、カンヌで二人暮らしです。
ホルガーは家族のことが気になりつつも、戻る気持ちになれませんでした。
アニタもまた、奨学金を許可されて大喜びしたにも関わらず、ホルガーと一緒にいることを願います。
だけど訪問してきたトーマスと話すうち、ホルガーの元を去ることにしました。
この強さが実際のバーグマンにあれば、ロッセリーニの元には走らなかったと思いますが…
演じるのと、実際の自分の実感では気持ちは全然違うのかもしれませんね。
アニタが去った後、ホルガーはアニタを追うことはしません。
だけど家に帰ることも拒否しました。
このあたりのホルガーの気持ちはよくわかりません。
合わせる顔がないのか、何か意固地になっているのか…
溺愛していたアン・マリーが「待っている」とメッセージを寄越してきても、いくつもの季節を超えるくらいの期間、ずっと無視しているんですよね。
そして、ある時ふと、気まぐれのようにアン・マリーにだけ会いに行くことにしました。
ずっとひとりで寂しかったんかい、おっちゃん。
数か月ぶりに父親に会えたアン・マリーは、喜びのあまり道路に駆けだして車に轢かれます。
オーマイガー… (゚д゚)
不倫のツケがこんな形で跳ね返るとは想像外。
あ、アン・マリーは助かりました。
面目ない顔でおずおずと帰ってきたホルガーを、マーギットも温かく迎え入れます。
怒って殴ってもおかしくないけど、そうしたらホルガーはまた出ていくかもしれませんものね…
スッキリしたラストではないけど、1時間ちょいで綺麗にまとまった映画だと思いました。
それにつけても、アン・マリーの縦ロールが見事でゴージャスだし、バーグマンにしては露出度の高いドレスを着たし、ときどき出てくるアン・マリーの愛犬が可愛い。
見どころも多かったです。
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