映画「フレンチ・カンカン」あらすじと感想【ネタバレあり】ムーランルージュ誕生秘話 (嘘)
1954年のジャン・ルノワール監督作品です。
1800年代末期を舞台にしており、父である印象派の巨匠ピエール・オーギュスト・ルノワールの絵画が切り取られたかのような映像美と色彩感覚のセンスが華やかで楽しい雰囲気に合っています。
冒頭で使われているのはロートレックのポスター風の絵ですが (;´∀`)
主演はジャン・ギャバン。
何度もピンチが訪れながら挫けない老興行主を飄々と演じています。
ヒロインの恋人にミシェル・ピコリ。
この頃はまだ駆け出しの時期でしたが、その後「昼顔」「美しき諍い女」などフランス映画で長年活躍する重鎮となっていきます。
そして出番は少ないですがエディット・ピアフが美声を披露しています。
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あらすじ
上流階級向けのショーパブを経営しているダングラール。
看板の舞姫ベル・アベスことローラの提案で、彼女にご執心の出資者ヴァンテールら数名と一緒にモンマルトルのダンスホール「白い女王」に行ってみる。
一行の中には某国の王子アルベルト殿下もいる。
「白い女王」では裕福ではない庶民たちが楽しそうに踊っていた。
だが店のオーナーは隠居したいと考えており、ダングラールに店を買ってくれないかと打診してきた。
ヴァンテールは案次第で資金を提供すると言う。
ダングラールとローラは他のお客に混ざってホールで踊ってみる。
そこでダングラールはニニという娘の活気あるカンカンの振りつけに感銘を受けた。
一際目立つニニにアルベルト殿下も視線が釘付けになっている。
取り残されたローラと、ニニの恋人ポーロは面白くなかった。
そしてヴァンテールも、ローラがダングラールと一緒に帰っていったことが気に食わない。
翌朝ダングラールの元に役人がやってきて、ヴァンテールの命令で財産が差し押さえられることになった。
気落ちしながら「白い女王」前のカフェにいると、仕事中のニニを見かけてダングラールは彼女をダンサーとしてスカウトした。
ダングラールの計画は、ニニを中心に若い娘たちでカンカンを踊って盛り上げることだった。
翌日から早速レッスンが始まり、他のダンサーたちのオーディションも行う。
ダングラールはショーパブを売って「白い女王」を買い取り、店名を「ムーラン・ルージュ」に変えた。
この新企画とローラの説得によってヴァンテールも差し押さえの件を詫び、共同経営者にするよう名乗り出る。
しかし大臣も迎えた改装工事中の式典でニニを見つけたローラは彼女に喧嘩を吹っかけた。
大臣が帰ってから大乱闘に発展。
その混乱の中でポーロがダングラールを床面に大きく空いた穴に突き落とした。
骨折したダングラールは2ヵ月間入院となる。
そして回復した時には、不渡手形のため店はヴァンテールのものとなっており、暮らしていたホテルからも出て行くように言われる。
今はヴァンテールの愛人として彼を動かしているローラからは、店を取り戻したいならカンカンを取りやめて昔の演目でやることを条件に出されるがダングラールは断った。
何もかも失ったダングラールをニニは支えていくことにする。
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感想
この後アルベルト殿下のおかげでお店も取り戻し、悪役だったはずのローラが良い人に急転回してラストは圧巻のダンスシーンで終了します。
ローラの変わりっぷりが「お前いったい何があったんだ!?」と言いたくなるくらい激しいです。
信用していいのかどうか疑ってしまうレベル (;・∀・)
まあそのおかげで後味のいいラストになったとも思います。
「ウォーター・ボーイズ」や「フル・モンティ」でもありましたが、クライマックスの本番シーンの前に、中心人物が臆病風に吹かれて「やっぱり出ない」とわがままを言う、という演出がこの映画でもあります。
もちろんニニなんですが、そこに行くまで、モテてはいるけれどあまり魅力がある女性に描かれていないので結構イラッとします。
定番の展開かもしれないですが、そのシーンに行くまでにもっとカンカンに打ち込んでいるところとかが欲しかったかも。
あまり好感が持てないヒロインで残念です。
このストーリーはムーラン・ルージュの成り立ちを扱っています。
だけど冒頭で「実際の人物・団体などとは関係なく、似ているところがあるのは偶然」というエクスキューズが入っているので、自由にフィクションを入れたものなのでしょうね。
ユーモアもあって楽しい作品です。
特にオーディションのシーンは変な人たちがポコポコ出てきてテンポもよく面白かったです。
そしてラストのカンカンのシーンは、迫力があって胸が躍りました。
ひとつひとつのショットが絵画を思わせる計算されたショットなのですが、躍動感もきちんと混在していて、芸術とエンタメが上手く融合されている面白い作品でした。
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ルノワール監督とギャバンはこちらでも組んでいます
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