映画「エル ELLE」あらすじと感想【ネタバレあり】殺人犯の身内の愛憎… の解釈が難しい
「ベティ・ブルー 愛と激情の日々」と同じ原作者フィリップ・ジャンの作品を、ポール・バーホーベンが監督しました。
主演のイザベル・ユペールはゴールデングローブ賞を受賞。
アンヌ・コンシニやシャルル・ベルリングなどベテランの他、「ミモザの島に消えた母」のロラン・ラフィット、バーホーベンの次作「ベネデッタ」では主演に起用されるヴィルジニー・エフィラなどが脇に揃っています。
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あらすじ
自宅に突如入り込んだスキーマスクの男にレイプされたミシェル。
突然の嵐のような凶行が終わり、男が去った後、ミシェルはのろのろと部屋を片付けシャワーを浴びる。
通報するつもりはない。
その晩やってきた息子ヴァンサンに顔のケガを聞かれても、自転車で転んだだけ、と誤魔化した。
ヴァンサンから、妊娠中の恋人ジョジーと同居するアパートの賃貸保証人になることを頼まれる。
仕事が続かないヴァンサンの経済力が不安なことや、ジョジーのことが嫌いなためミシェルはシブシブ承諾した。
ゲーム制作会社のCEOを務めるミシェルは、自分と意見が合わない社員キュレルがレイプ犯ではないかと考える。
ミシェルがダメ出しした「女性がモンスターに襲われる3D映像」が、ミシェルを侮辱するものに改造され、全社員のパソコンに流されたことで、より彼への疑いが増した。
ミシェルは自分に従順な社員ケヴィンに犯人を突き止めるように指示を出す。
性犯罪の被害にあったことなど、おくびにも出さず日常を送るミシェルだが、父親の保釈申請を一緒にしてほしい、と母に頼まれて嫌悪感を露わにした。
大量殺人犯の父の存在は、自分の人生から消し去りたい。
さらに、若い男ラルフに現を抜かす母の色ボケにも眉をひそめた。
父が起こした事件のときに関わったことで警察には不信感を持っている。
だからレイプされても通報しなかったのだ。
それでも自衛のために武器店でスプレーなどを購入した。
友人であり共に会社の要となっているアンヌとロベールの夫婦と、元夫のリシャールと一緒に夕食を取りながら、ミシェルはレイプ被害にあったことを打ち明ける。
三人は心配するが、ミシェルは何でもない事のように話し、平然としていた。
クリスマスにパーティーを企画しているミシェルは、真向かいに住む夫婦レベッカとパトリックも招待する。
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感想
あらすじもそうなってしまったのですが、ストーリーが流れるように続くのではなく、エピソードをぶつ切りでポンポンポンッと置いて進行しているような感じです。
そのせいかミシェルの人物像が掴みづらく、レイプ被害者とは思えないほど淡々としていたり、それどころかまた犯人が来ることを期待しているようなフラッシュバックも入っていたり、ちょっと困惑しました。
ミシェルの期待? 予想? 通り、犯人は再び襲撃してきます。
何度も殴られる激しい暴力描写ですが、ミシェルも反撃します。
こういう、暴力に屈しない強い女性像は、バーホーベン作品ではお馴染みですね。
卑劣な男には毅然と立ち向かう姿を描いているから、この監督の作品はヌード満載のエロにもかかわらず女性にも受け入れられやすいのかな、と思います。
さて、反撃で犯人のマスクを取ってやったら、現れた顔は真向いのパトリック。
こういうシチュじゃないと起たない特殊な性癖な彼と秘密の関係になるのですが、関係をリセットしたくなります。
不倫関係だったロベールとの関係も清算し、パトリックにも「すべて警察に話す」と伝えて自宅に誘導してきました。
母、そして父と続けて亡くなり、すべてを真っさらにしたかったのかな、と思いました。
案の定スキーマスクをつけて乱入してきたパトリックを迎え撃ちますが、誘導ヘタで結局組み伏せられます。
が、ヴァンサンが彼を殺し、ミシェルは助かりました。
殺人犯の父を憎んでいながら、息子を殺人犯にして安堵するミシェル。
うーーーん……
案外「殺人犯の身内」というのは、彼女にとって心地よいものだったのでしょうか?
それともサイコな血筋は争えない、ということか?
ミシェルの飼い猫 (可愛い♡) が犯行をジッと見つめていたり、地面に墜ちた鳥にかぶりついたり、象徴的に使われているのですが、それでも解釈が難しい映画だな、という印象です。
それにしても、イザベル・ユペールこのときもう60歳過ぎていたんですよね。
なのに綺麗で凛としていて、アクション映画かと思えるほどの激しいレイプ・暴力シーンにも挑んでいて、その見た目の若さとバイタリティに驚きました。
フランスは若い女性より年齢を重ねた女性のほうがモテると聞いたことがありますが、こういう美魔女ならモテるでしょうね~、と納得です。
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