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映画「騙し絵の牙」あらすじと感想【ネタバレあり】独自カラーか “ごった煮” か

2023/11/01
 
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駆け出しライターのポムりんごと申します。 最近はめったに雪が積もらなくなった雪国在住。 映画や海外ドラマの視聴が趣味で、それが高じて英語学習もやっています。 英検準一級。TOEIC780。 漫画やゲームも好きな完全内向型。 家にこもってわがまま(セルフィッシュ)三昧に日々過ごしてます。

原作者・塩田武士さんが、主人公に大泉洋さんをモデルにして書いたら、本当に大泉さん主演で映画ができました。

共演は松岡茉優さん、佐藤浩市さん、佐野史郎さんなど、豪華キャストです。

個人的に好きな俳優ふたり、小林聡美さんと中村倫也さんも出ていて嬉しい♪

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あらすじ

出版業界が不況に喘ぐ現代。

大手出版社「薫風堂」の社長・伊庭喜之助が犬の散歩中に突然死した。

ワイドショーに出演した文芸評論家・久谷は、伊庭の息子・惟高はアメリカ留学中で、妻の綾子は後妻で子どももいないので、次期社長は専務の東松になるのではないかと予想する。

売れていない雑誌はどんどん切り捨てる改革派の東松に、保守派の常務・宮藤は反発。

薫風堂の看板雑誌である「小説薫風」編集部も危機感を持っていた。

ちょうど喜之助が亡くなった時間、新人編集者の高野は、1本の新人賞応募作品に心惹かれていた。

矢代聖という作家が書いたものだ。

最優秀作品候補に推すが、編集長の江波から「小説薫風」のカラーに合わない、という理由で却下される。

そんな頃に喜之助の訃報が届き、社員全員告別式に出向くが、その日は「小説薫風」でも重用している作家・二階堂大作のデビュー40周年記念パーティーがあった。

すぐにパーティー会場に移動しようとすると、一台のタクシーが目の前で止まる。

乗っていたのは同じ薫風堂から出ているカルチャー誌「トリニティ」の変わり者編集長・速水で、行き先は同じ。

高野たちは乗り合わせて速水と一緒に会場に向かった。

そこで高野は、速水の誘導に乗って二階堂の作品に実直な感想を述べたことで二階堂と江波の不興を買ってしまった。

ついに東松の改革が始まり、看板とはいえ売り上げが芳しくない「小説薫風」は、月刊から季刊に格下げされる。

高野は配置換えを江波から言い渡されて悔しい思いをするが、矢代の原稿は手元に取っておいた。

ときを同じく、東松から廃刊の危機を言い渡されている雑誌「トリニティ」を大胆に刷新するため、速水は高野を引き入れる。

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感想

出版社内のパワーゲームを描いた作品で、ジャンルがなかなか難しいものがあります。

サスペンスとかミステリーというのもちょっと違う気がするな~、とか思ったんですが、どんでん返しもあるので、う~ん… ライトミステリー?

まあ、それはともかく…

廃刊を免れるため、速水は「トリニティ」の企画に斬新さを求めます。

確かに「旅行・グルメ・エンタメ、旅行・グルメ・エンタメ…」のルーティンは、飽きますね (;^ω^) 読者も、たぶん作り手側も。

そこで速水は、矢代やファッションモデルの城島、そして怒らせたはずの二階堂にまで執筆を頼みます。

編集部員たちにも「自分が一緒に仕事したい、と思っていた人物に声をかけてみること」と言って、これまでとは違う路線を目指しました。

すごく精力的に自ら動く速水ですが、躍起になりすぎたのかもしれません。

速水の戦略により、矢代と城島が付き合っているように見せかけたことで城島がストーカーに襲われ、銃で返り討ちにしたことで逮捕されたとき。

世間の同情の声が少なからずあったことで、話題性を優先して彼女が表紙の号をゴリ押しで発刊しました。

これをきっかけに副編集長の柴崎も、これまでの「トリニティ」とあまりに違いすぎることに不満をもつようになるのです。

「トリニティ」独自のカラーを大切にするべきだという柴崎と、カラーなんかよりいろんなものを取り入れていくべきだという速水。

んーーー……

独自カラーか、売れそうなもののごった煮か

ずいぶん昔、本屋で見かけた漫画雑誌のことを思い出しました。

聞いたことのない雑誌名で新刊だったようです。

そして漫画家先生のラインナップが、錚々たるメンバーでした。

ほとんど忘れているのですが、松苗あけみ先生と楠桂先生がいたことは覚えています。

他の先生たちも、少年漫画・少女漫画問わず、すでに他の雑誌で代表作と呼べるものがある方々ばかり。

いろんな作家に声をかけたんだなぁ、なんて思ってページをめくってみると (当時は立ち読みができました) どの作品もその先生特有のクセが強く出過ぎていて「ごった煮感」が強烈

あまりにもバラバラな個性がぶつかり合いすぎていて雑誌のカラーが見えず、「面白い。売れそう」と思うどころか、「これはちょっと… もう読みたくない」と引いてしまいました。

新しい雑誌ということで気合が入ったんだろうけど、全員が看板作家になれる逸材なため、逆に看板がないという状態。

売れそうな人だから、と全員に声をかけるのは良くない。

今思い出しても、編集部の空回りが生んだしくじり雑誌だし、あれ以来見かけてないからやっぱり売れなかったか、と思います。

このとき以来、独自カラーのない雑誌は気持ち悪い、と思うようになりました。

なので、速水より柴崎の意見のほうに私は賛成です。

何でも取り入れるより、「方向性」ぐらいはあったほうがいいな、と。

新生「トリニティ」は初刊こそ売れましたが、東松は遠からず休刊になることを速水に伝えました。

売れそうなものだけを取り入れてもダメ。

伝統に固執していてもダメ。

雑誌を運営することの難しさが分かります。

それでも、退職した高野の成功や、城島に声をかけてまだ「トリニティ」の存続を試みる速水のしぶとさに、形を変えながらも本や雑誌の出版とはずっと続いて行くものだと感じました。

ついでだけどエンドロールで、トレパク騒動で有名な古塔つみさんの名前がありました。

この人のトレパク特集を「トリニティ」で組んだらどうでしょう? と思ってしまった (今さら)

 

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