映画「カレンダー・ガールズ」あらすじと感想【ネタバレあり】いくつになっても女の子
イギリスの田舎町で、女性連盟に所属する中年女性たちが興した一大ムーブメントを実写化したヒューマン・コメディです。
病院へのチャリティーのために自分たちのヌードカレンダーを作成し、文字通り一肌脱いで白血病研究基金に多額の寄付をもたらすほどの収益を上げた実話は、日本のテレビ番組でも取り上げられました。
主演は「クイーン」のヘレン・ミレン。
そして「ハリーポッター・シリーズ」のジュリー・ウォルターズが中心人物となります。
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あらすじ
1999年。イギリス・ヨークシャー州。
女性連盟ネイプリー支部では、毎月講師を呼んでいろんなテーマの講習会を開いていた。
会員のクリスとアニーは、いつも並んで座る親友同士。
ほとんどのテーマがつまらなすぎて、最近は出席することが苦痛だった。
講師は外部から呼ぶこともあるが、会員の家族が頼まれることもある。
クリスは一緒に花き作農業を営んでいる夫のロッドに訊いてみるが、自分には無理だと断られた。
クリスたち夫婦には高校生の息子ジェムがおり、最近は思春期のせいか扱いづらい。
彼の部屋を掃除すると、ベッド下からエロ本が出てきて、年頃になったことをクリスは微笑ましく思った。
アニーもまた元国立公園の造園管理の仕事に従事していた夫のジョンと花き作をしていた。
しかし家に帰ると、荷造りされたバッグが玄関先に置いてあり、ジョンが家を出ようとしていると思った。
アニーがジョンに縋りつくと、ジョンは優しく「君を捨てたりなんかしない」と伝えた。
入院することになったのだ。
アニーは献身的に介護し、事情を知ったクリスも明るく見舞うが、ジョンは日に日に弱っていく。
硬いソファしかない休憩室で落ち込むアニーを、クリスは懸命に励ました。
まもなくジョンは天に召された。
講師に招かれていた彼が、講習会で伝えようとしていた言葉が弔辞として読まれる。
女性を花に例え、年をとるほどに咲き誇る力強い美しさを称賛するものだった。
最愛の夫に先立たれ打ちひしがれるアニーを見かねたクリスは、毎年作っているネイプリー支部の来年度のカレンダーは、自分たちのヌードを題材にしよう、と提案する。
収益はジョンが入院していた病院に休憩室用のソファを贈るのだという。
田舎町&女性連盟という保守コンボに慣れている会員たちは羞恥心などで尻込みするが、クリスたちの説得で徐々に賛同者が増えていく。
カメラマンにはジョンの担当看護師だったローレンスが請け負うことになり、印刷屋や出資企業を探しにクリスたちは奔走する。
支部長のマリーはいい顔をせず、阻止しようとするけれどジョンの追悼のためだというクリスたちの決意は固い。
いよいよ撮影当日。
はじめは緊張していたみんなも、撮影が進むにつれてリラックスした雰囲気になっていく。
賑やかで和気あいあいと撮影を楽しんでいる間、彼女たちの夫はパブに集まって神妙な顔で飲んでいた。
カレンダーはたちまちのうちに話題になり、イギリス中のメディアが彼女たちの元に押し寄せる。
注目を浴び、アニーと同様に夫を病で亡くした女性たちからの感謝の手紙を受け取り、みんなすっかり有頂天になった。
しかし彼らの家族は複雑な気持ちだった。
特にジェムは学校でも好奇の目で見られ、クリスと一線を画そうとする。
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感想
亡くなる前に講習会でのスピーチ原稿をアニーに読んで聞かせたジョン。
その内容はもう若くない女性たちを賛美するものでした。
「ヨークシャーの花は女性に似ている。
生長を重ねるたびに美しさが増していく。
盛りを過ぎても見事に咲き誇る。」
最後に「あっという間に枯れていくが」とブラックなオチを付け加えれましたが…(;^ω^)
そんなジョンの言葉は彼の葬儀で読まれ、その言葉を胸に刻んだクリスたちは、ヌードカレンダーを出すことに意欲を燃やします。
単調な田舎町の生活に慣れていた会員たちでしたが、心の内では刺激を求めていたのです。
女三人寄れば姦しい、と言われますが、三人どころか十人以上集まっての撮影に、みんな40~50代 (もしかしたら60代もいたかも) のおばちゃんたちが女子高生のようなノリになっていきます。
この光景が観ていて楽しい。
こんな年の取り方をしたい、と思わせる明るさです。
そういえば、どこの国でもおばちゃんたちは元気ですよね。
綺麗・可愛いものにときめいたり、美味しいものを求めたり、友達とおしゃべりすることが好き、という女性の生来の気質は変わりません。
常に心の中で楽しいことを求めています。
人生経験や分別もついているから人を励ますことにも長けていて、本当に生き生きとしている方が多いです。
(意地悪でちっとも生き生きしてない人も少なからずいますが…)
人生100年時代と言われています。
おばちゃんを超えておばあちゃんになっても、人生を謳歌するように、元気に命の花を咲き誇らせていきたいものです。
カレンダーの話題は、イギリスはおろか世界中に広まり、ついにはハリウッドから声がかかります。
チヤホヤされていくうちに皆だんだんと天狗になっていき、特に発案者であるクリスの浮かれぶりは半端ではなくなります。
アニーは少しずつ、ジョンの追悼と寄付のため、という当初の目的からズレてきているように感じ始めました。
そしてクリスの家族もまた、カレンダーの成功に複雑な気持ちを持ちます。
学校でバカにされている反発心から、ジェムは外でハッパを吸っているところを補導されてしまいました。
迎えに行ったクリスと目も合わせず口も利かずにロッドと警察署を出るジェムを見て、ついてきたアニーは、ハリウッドは諦めてジェムの傍にいるように進言します。
他のメンバーたちがハリウッドに行っている間、家に残ることにしたクリスでしたが、ゴシップ紙の「クリスとはレス生活だとロッドが激白」という嘘記事を鵜呑みにし、腹を立てて結局ハリウッドにやってきて皆と合流しました。
アニーは心配するのですが、クリスはどこ吹く風。
カレンダーの収益をもっと伸ばそうと意気込みます。
しかしふたりの意見の相違は関係に亀裂を入れ、ふたりは激しく言い争います。
アニーは、ジョンという大切な人を失って、もっと夫婦の時間を持ちたかったのに叶わなくなったことへの悔恨がありました。
だけどクリスにはまだ夫と息子という大切な人たちがいて、彼らと一緒にいることのほうが大事なはずなのに、それをないがしろにしてハリウッドに来たことを責めます。
失って後悔する前に、もっと自分の家族を大切にしろ、というアニーの真意に触れてクリスは反省しました。
大切なものは失ってから分かるもの。
手遅れになる前にアニーから注意されたクリスは幸せ者です。
本当にいい友人を持ったな、と思います。
今、自分の手の中にあるものは、他の人たちも平等に持っているものとは限りません。
持っていない人から見れば、それは喉から手が出るほど欲しているものかもしれません。
自分にしてみれば、あるのが当たり前すぎて価値が分からず、無神経にぞんざいに扱ってしまうことがあるでしょうね。
だけど失う前に、自分が持っているものを改めて見直し、あることに感謝して大切にしたいですね。
中年女性たちの物語ですが、タイトルには “ガール” が使われています。
この作品を観ると分かるのですが、全編通してみんな明るく元気で、ときに恥ずかしがったり、ときにふざけあったりしていて、好奇心旺盛な少女のようなんですよ。
男性もまた「心はいつも少年」なんて言われるとおり、男女問わず年齢を重ねても少年・少女の精神は強く残るのでしょうね。
カレンダーの中身も、上品でいやらしさはまったくありませんでした。
ジョンが好きだったヒマワリだけがカラーで、他はモノクロというセンスの良さに品を感じます。
女性映画というより、ガールズムービーと言いたくなるポップな作品で、観ていてとても楽しかったです。
イギリスの広大な田園風景に、カラリとした女性たちの友情物語が、のびのびとした爽やかさを感じさせる良作です。
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