映画「アナザー・カントリー」あらすじと感想【ネタバレあり】貴公子ブームを生んだお耽美やおい映画

英国貴公子ブームを先導した耽美系青春映画です。
実在のスパイをモデルにした主人公をルパート・エヴェレットが演じました。
共産主義に傾倒している親友を演じるコリン・ファースの映画デビュー作です。
舞台版では彼も主人公を演じたことがありました。
主人公が恋する青年はケイリー・エルウェスです。
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あらすじ
祖国イギリスを裏切り、モスクワに亡命しているガイ・ベネットは、アメリカ人記者のインタビューに答えて、自身がスパイになった経緯を話す。
それは1930年代のパブリックスクールでの忌まわしい出来事が関係していた。
ガイは50年近く経った当時に思いを馳せる。
生徒間で厳しい階級社会となっているパブリックスクールに在籍していたガイは、来期には寮の代表に選出される見込みを持った有望な青年だった。
フランス大使になることを目標にしている彼にとって、代表に選ばれることは将来を左右するものだ。
先の大戦により戦死したOBの追悼式が全校で行なわれた。
そのときガイは、別の寮に入っている金髪の美青年ハーコートに一目惚れする。
時を同じく、校内の更衣室で男色に耽っていた生徒2人が舎監に見つかり、そのひとりマチーノがガイと同じ寮だったため寮内で問題となる。
英国を代表するエリート紳士を養成するこの学校で、同性愛は糾弾されるべきものだった。
耐えられなくなったマチーノは校内で首を吊り、自ら命を絶った。
ガイもショックを受け、親友のトミー・ジャドからも慎重になるように忠告されるが、校内のクリケット試合で再びハーコートを目にしたガイの気持ちは抑えることができない。
思い切ってハーコートを食事に誘い、学校外の高級レストランでふたりは語り合う。
門限を破ってしまうくらい二人の話は熱を帯び、意気投合。
ガイが窓から忍び込んで帰宅すると、起きていたトミーは、マチーノの件もあってガイを心配する。
ある日、ガイを目にかけている上級生で寮幹部のメンジースが、同じく幹部のデブニッシュがマチーノに関連して幹部を外される、とガイに教えてきた。
そして寮長には、度を超える厳格さを持ちガイとは反目しているファウラーが就任しそうだという。
それを阻止するにはトミーに幹部になってもらうことが必須であり、その説得をガイに頼んできた。
しかしレーニンを崇拝し共産主義を礼賛しているトミーは、資本主義的なこの学校の制度が気に入らない。
幹部になるつもりはない、と突っぱねるのだった。
上昇志向の強いガイも、固すぎる校風・寮の雰囲気に疲れ、ハーコートとの逢瀬に慰めを見出していた。
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感想
むう~……
パブリックスクールの、学生自治による派閥や制度について知識がないから、よく分からないところが多くて難しかったです。
知っていれば、学生間に渦巻く権謀術数にもっとワクワクして話に入れ込めたかもしれません。
ガイは結局幹部だったのかどうかも分からず、寮代表と寮長も同じものなのか別のポジションなのかというのも分からず、そういった疑問点で意識がウロチョロしてしまい、本筋を見逃しそうになりました。
……もっと「トーマの心臓」とか「風と木の詩」とかのギムナジウムものを読んでおけば良かったか? (;´・ω・) ←絶対何か勘違いしている
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さて、お耽美です。BLです。かつては「やおい」とも言われていました。
やっぱり おまえは いんらんだ
から来ているかどうかは眉唾ですが、さすがに消えましたね、この言葉。
BLにときめく女性の気持ちは良く分からないですけど、男子のみの全寮制スクールでは多かっただろうなぁ、とは思います。
フレディ・マーキュリーもそうでしたし。
ただ、30年代で、しかもエリート校で出会ってしまったのは、なんとも気の毒なことだなぁ、と感じました。
ハーコートくんとの関係を知られてしまい、幹部たち全員の前で鞭打ちの罰を受けたガイは、出世の道を閉ざされてしまいます。
この屈辱による恨みやら落胆やらで、彼はその後トミーと一緒に共産主義者へとなっていき、そしてスパイになったという経緯です。
裕福な家庭出身で優等生だった人物が、なぜ道を踏み外したのか。
よく疑問とされるテーマです。
エリート社会には、エリートならではの “生き馬の目を抜く”苛烈な競争があるのでしょう。
その競争に破れれば、転落し道を踏み外すことになります。
実際にこの寮の内部は、小さな社会になっています。
雑用や小間使いをさせられる下級生たち。
幹部になれば制服のベストが色付きになる。
きっちりと階級が区分けされています。
協力し合うこともあれば足の引っ張り合いもあり、学生のうちから権力闘争の世界に踏み入れざるを得ない彼ら。
少しでも弱みを見せたら足元をすくわれる。
ライバルたちにとって同性愛は格好の標的であり、振り落とすための都合のいいネタでした。
だから過剰なまでの禁忌にしたのではないかと考えます。
だって、個人の趣味嗜好なんだし、迷惑かけてないなら別に他人が介入することじゃないもの。
こうして考えると、エリートの転落って最初「えーっ、なんでー!?」とびっくりするけど、ライバルたちに蹴落とされれば踏ん張ることも出来ず簡単に転げ落とされるんだな、と思いました。
怖い社会です。
とりあえずこの映画は、そんな悲哀も含めて俳優たちの美貌に耽溺するのも悪くないと思います。
私はガイ同様、ハーコートくんが好みで癒されます (*´Д`)
※「プリンセス・ブライド・ストーリー」のエルウェス、めちゃいいですよ~
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