映画「君は永遠にそいつらより若い」あらすじと感想【ネタバレあり】屈折女子の正義感
津村記久子さんのデビュー小説を、佐久間由衣さん主演で映画化した作品です。
共演は奈緒さん。
他に小日向文世さんの息子の小日向星一さんや、朝ドラ「らんまん」でも佐久間さんと共演した笠松将さんなどが出演しています。
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あらすじ
卒業後は児童福祉士になることが決まった大学生の堀貝。
サークルでの飲み会で処女であることをからかわれ、離れたテーブルに座る男友達・吉崎のところに移動した。
吉崎の隣にはこれまで交流がなかった穂峰という男子学生がいる。
穂峰はマンションの下の階に住む、放置子と思しき幼い少年翔吾を自室に招いて食事をさせたことで誘拐だと母親に騒がれて逮捕されたことがある、という話を堀貝は聞かされる。
方向が同じなので帰り道を並んで歩き、冗談のノリで堀貝が穂峰にプロポーズをしてみると、彼のほうもノリでOKしてきて二人で笑いあった。
就職は決まったが卒論がまだ完成していない堀貝は、学生たちから将来についてのアンケートをとっている。
それが卒論テーマだからだ。
友達の岡野は広い人脈で大量のアンケート用紙を回収してくれたが、それを渡すには翌日の1限目のノートをとってくること、という条件をつけてきた。
その条件は呑むが、朝からバイトがあった堀貝は授業に間に合わなかった。
ゾロゾロと教室を出ていく学生たちの中、まだ荷物を整理している最中の大人しそうな女子学生猪乃木に話しかけ、ノートをコピーさせてくれと頼み込む。
それがきっかけで仲良くなった二人だが、翌日、穂峰が亡くなったと吉崎から聞いて堀貝は動揺する。
そしてバイト先では、意中の女の子とのデートが上手くいかなかったと落ち込む後輩安田が無断欠勤をし始め、堀貝は彼のアパートまで様子を見に行った。
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感想
堀貝のキャラが「あなたは私ですか！？」と言いたくなるくらい、かつての自分の姿に似ていて、ちょっと居たたまれない気持ちになりました…
お調子者で、分け隔てなく誰とでも仲良くしている風に見せかけて実は本当に仲がいい人はいない、もしくは少ない。
むしろ嫌われているほう。
人をからかうのが好きだけど、引き際が分からず相手を傷つけたり不快にさせてしまう。
処女であること、というか、他人に愛されたことがないことがコンプレックスで、自分に欠陥があるからだという自覚はあるけれど、どう矯正していいか分からない。
そんな情けない姿が次々と映し出されていきます。
客観的に見るとこうだったんだ (;´Д｀)
いやぁーーー！恥ずかしいーー！
も… もう許してください、と画面に向かって土下座したくなりました。
堀貝と同じ22歳の頃より、少しは空気を読んだり毒舌を控えたりなど、努力はするようになったけど、もしかしたら人から見たらまだ何も変わってないかもしれない、と思うと恐怖です。
さて、そんな失敗だらけの堀貝。
安田がエロ写真持っていたことをからかいすぎて本気で怒らせてしまったり、穂峰の死にショックを受けている吉崎に、無神経なタイミングでアンケートの提出を促して本気で怒らせてしまったり、猪乃木の髪が耳元の傷跡を隠していることを知らずに「髪をまとめろ」と言った教授の言葉に同意してしまったり。
残念な人なんですが、等身大の大学生だとも思います。
それなりの正義感もあり、昔ニュースで見て、未だに未解決である行方不明事件が彼女の心にはずっと残っていました。
当時4歳の男の子が突然いなくなり、何も分からないまま時間だけ過ぎて、その男の子は今生きていたら17歳になっているはず。
誰かにさらわれたのか、亡くなったのか、まったく分からないけれど、もし誰かに何かをされて死んだのだとしたら「そいつらはこの先も年をとり、醜く老いていく。君は永遠にそいつらより若いんだからね」と、心の中で男の子を常に慰めていました。
理不尽な死を迎えた人がその原因となった人物にとれるマウント、なのでしょうね。
どうしようも出来ないことに対して怒りを募らせる堀貝の気の強さが見て取れます。
彼女は、小学生のときに一人の男子と取っ組み合いのケンカをしているとき、別の男子に鳩尾を蹴られて動けなくなった経験がありました。
そして猪乃木は、中学生のときに通りすがりの男にレイプされた経験があります。
ふたりとも、男の暴力に屈服させられた過去があり、互いの話を聞いて、ふたりとも「その場にいてやりたかった」と同じ言葉を掛け合います。
一緒に戦う。相手を守る。
そんな正義感と親切心を持っている二人の友情を描いている良作でした (レズシーンはいらなかったと思うけど)
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