映画「北の橋」あらすじと感想【ネタバレあり】京都は碁盤 パリはすごろく
全編パリロケを敢行したジャック・リヴェット監督の作品です。
リヴェット作品常連のビュル・オジエと、その娘で2年後に26歳になる前日に夭逝したパスカル・オジエがコンビを組んで謎に挑みます。
「トリュフォーの思春期」などにも出演したジャン = フランソワ・ステヴナンが共演です。
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あらすじ
バイクでパリにやってきた女性バチストは、バイク屋で目が合った男に不審なものを感じた。
似たようなバイクで走り去る男を見送り、バチストも反対方向に向かった。
一方、トラックの荷台に乗せてもらってパリに来たマリー。
刑務所から出所したばかりの彼女は、彼氏のジュリアンに連絡しようとしていた。
そこへバチストのバイクに轢かれそうになった。
転倒したバチストが気になるが、マリーは先を急いだ。
バチストも壊れてしまったバイクを放って、マリーの後をついていく。
空手愛好家のバチストは、マリーを守らなければ、と本能的に感じたのだ。
彼女の目の前に再び姿を現すと、マリーからジュリアンに渡してほしい、と手紙を渡される。
閉所恐怖症のマリーはジュリアンのアパートに入れないのだ。
そして凱旋門の頂上で会うことに。
外で待っていたバチストは、彼らが建物から出てきたタイミングで、ジュリアンが持っている鞄を自分が持っているものとすり替えようとしているバイク屋で目を合わせた男マイクの姿を見た。
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感想
この後バチストが、マイクがしようとしていた鞄のすり替えを行い、ジュリアンがマリーに隠していることを二人で探ります。
新聞記事の切り抜きで分厚くなったファイルの他、パリの街をすごろくに見立てた地図が入っていました。
よく「京都の地図は碁盤の目」とは聞くけど、パリはすごろくに出来るのか (・∀・)ヘー
すごろくには「お墓」「井戸」など、スタートに戻ったり休みになったりする “トラップ・マス” があります。
その中には「橋」もありました。
マス部分に仕掛けられた罠に敢えて行ってみれば、何か手がかりがあるかも。
そう考えたふたりが早速お墓に行くと、マックスと一緒に行動していた男の死体が転がっていました。
この辺りから、お遊び気分だったふたりに緊張感が走ります。
ただ、ちょっとコレ、ふたりの目的がよく分からないんですよね…
リヴェット監督の代表作のひとつに1974年の「セリーヌとジュリーは舟でゆく」という映画があって、こちらも女性二人がコンビを組んで活躍します。
楽しい雰囲気があって大好きな作品で、この「北の橋」にもそれを期待していたのですが、演じているのが実の親子でありながらセリーヌ&ジュリーのような調和性がイマイチ感じられない。
そしてセリーヌたちが前半ワチャワチャしながらも後半は「殺される運命にある幼い女の子を助ける」という目的で動くのに対し、マリーたちが何故すごろくのゴールを目指すのかが掴めませんでした。
しまいには、マリーはジュリアンに殺され、バチストはマリーの死に気づきもしないままマックスと戦ううちに彼から格闘の動きを指導されるところで終わりです。
この気まぐれで不思議ちゃんなバチストのキャラは俊逸。
街なかで貼られているポスターを見かけては空手で勝負しようとしたりナイフで目の部分を刻んだりとアブない人丸出しです。
そのくせマリーには何故か懐いてマリーに「さようなら」と言われても「またね」と言って何度も目の前に現れる。
そしてラストの薄情さ…
もうマリーのことなんてすっかり頭から抜け落ちて、マックスとの空手の稽古に夢中です。
わけ分からない映画ながら、ヌーヴェルバーグを思わせるドライな感覚は「フランスだなぁ」となんか受け入れてしまいますね。
そのため「つまらない」とまでは思いませんでした。
ちなみにバチスト役のパスカル・オジエですが、声がものすごく特徴的です。
“鈴を転がすような” という形容がこんなにピッタリ合う声質の人も珍しいと思いました。
他にも足の長さとお尻の形の良さに目を惹かれます。
もっと活躍が出来た中々の逸材だった思いますが、病魔というのは残酷なものです。
彼女の出演作品はこれ以外にエリック・ロメール監督の「満月の夜」が有名です。
※タイトルを「きたのはし」と打ってから変換キーを押したら「来たのは死」になって、何気にマリーの最期を暗示する誤変換になってビビりました ( ̄▽ ̄) ただの偶然だけど怖っ
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