映画「ジェイン・エア」(1996年版) あらすじと感想【ネタバレあり】
何度も映像化されているシャーロット・ブロンテの名作です。
主人公のジェイン・エア役はシャルロット・ゲンズブール。
その幼い頃を演じるのは、11歳でアカデミー助演女優賞を獲得した天才アンナ・パキンです。
ふたりとも存在感があるというか、重厚な作品ではとりわけ人目を惹きますね。
ジェインと恋に落ちるロチェスター卿は、3月に亡くなったウィリアム・ハートが演じます。
ここまででも十分豪華キャストなのですが、この他にもマリア・シュナイダーやジェラルディン・チャップリン、ジョーン・プローライト (ヴィヴィアン・リーからローレンス・オリヴィエを奪ったことで有名) など、往年の映画ファンを喜ばせる俳優陣。
意地悪な叔母さん役は、「ハリー・ポッター・シリーズ」でも意地悪なペチュニア叔母さんを演じているフィオナ・ショーが配されています。
こういう役が得意なのでしょうかね (;^ω^)
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あらすじ
早くに両親を亡くしたジェイン・エアは、叔母の元に預けられるが虐待されて育ち、挙句には規律に厳しく偏った考え方の校長が仕切る寄宿学校に入れられた。
叔母の言葉だけでジェインは悪い子だと決めつけられ、初日から全生徒の前でつるし上げにされる。
誰もジェインと口を利いてはいけない、という命令のため、みなジェインを遠巻きにするが、隣のベッドのヘレンだけは彼女と仲良くしてくれた。
ヘレンは病弱で頻繁に咳き込んでいたが、校長と、校長に忠実な女教師は彼女にも辛く当たる。
ヘレンの咳き込みがひどい晩、優しいテンプル先生が病院に連れていくよう女教師に頼むが、聞き入れてもらえない。
夜中に目覚めたジェインは、ヘレンのベッドが片付けられているのを見て彼女を探した。
隔離された小部屋で死の淵を彷徨っているヘレンを見つけ、ジェインはたまらずに部屋に入る。
寝巻姿のままのジェインを見たヘレンもまた彼女を心配し、温まるように自分のベッドにジェインを入れてくれた。
ヘレンはもう助からない。
ふたりとも、もうそれを悟っていた。
「行かないで」と泣くジェインに、ヘレンは「また会えるわ」と返す。
そしてヘレンは、ジェインの腕の中で旅立っていった。
10年経ち、最後の2年は講師として留まっていた寄宿学校からジェインは離れることにした。
住み込みの家庭教師の職を得たのだ。
ソーンフィールドに広大な屋敷を持つロチェスター卿が扶養している少女・アデールが生徒になる。
勤め始めてからしばらく経つが、主人のロチェスター卿は多忙のため屋敷に帰ってこず、ジェインはまだ挨拶が出来ずにいた。
時折、夜中に不気味な笑い声が響くこと以外では、アデールとも屋敷の使用人たちとも上手くいっているし、快適だった。
ある日ひとりで屋敷の周辺を散策していると、馬に乗った紳士とすれ違う。
しかし彼はジェインの後ろで落馬して足を痛めてしまった。
ジェインは駆け寄って彼の介抱をする。
この男性が当主のロチェスター卿だった。
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感想
ジェインは派手なものをあまり好まず、服装なども華美な装飾がない黒や紺のドレスを着ています。
もちろんデコルテ部分など一切露出していない、襟付きのシャツドレスで第一ボタンまできっちり留めていて隙がありません。
そんな地味な装いが、家庭教師という職とも相まって、彼女の慎ましい性格や聡明さを際立たせています。
屋敷が火事になったときには、酔いつぶれて起き上がらないロチェスター卿に水をかけて助けだす行動力も見せました。
辛い境遇を生き抜いてきた上に頭もいいから、予期せぬ事態でも冷静にテキパキと行動が出来るんですね。
だけどある日、屋敷でパーティーが開かれることになり、華やかな上流階級の人たちが続々やってきます。
その中には、ロチェスター卿に熱を上げている、という噂のブランチ嬢の姿がありました。
金髪に巻き髪で、肩やデコルテを露出させたフリルやレースのついた華やかなドレスがとても良く似合う美女です (ファッションモデルのエル・マクファーソンが演じています)
社交的な彼女はジェインとは真逆の女性。
加えて “家庭教師” に何やら恨みがあるようで、会場の隅に座っているジェインに聞こえよがしにイヤミを言います。
これには彼女の母親も一緒になって悪口を言うのですから、躾の悪さがあからさまに出ています。
立場の違いもあれど、ここで何も言い返さずに耐えているジェインは、ロチェスター卿の目を惹きます。
華やかで社交的な美人は衆目を集めモテますが、シンプルにしてあまり口数が多くない女性は、これはこれで、水面下でモテるんですよね~ ( ̄▽ ̄)
現実でも、潜在的な人気はもしかしたら地味にしている女性のほうかもしれません。
ロチェスター卿のプロポーズを受け入れ、妻となることを決意したジェインですが、突然現れた弁護士に異議を唱えられます。
実はロチェスター卿は既婚者でした ナンダッテー!=͟͟͞͞(꒪ᗜ꒪ ‧̣̥̇)
その妻・バーサは、針子係をしているグレイスの娘で、彼女の部屋に幽閉されていたのです。
脳機能か精神のいずれかに障がいを抱えている様子。
夜な夜な聞こえる不気味な声はバーサのものでした。
ジェインとの結婚を邪魔された、と感じたロチェスター卿は、バーサの目の前で彼女を傷つけるひどい言葉を次々と彼女の母や兄にぶつけてしまいました。
ロチェスター卿にしてみれば、バーサとの結婚で自分は不幸になった、という気持ちがずっとあったのだと思います。
しかし彼女自身にもどうすることも出来ないのに、一方的に侮辱して責め立てては、当然傷つけるし怒らせます。
言葉を刃物として使うと、その刃は自分に向かってきます。
バーサも、ロチェスター卿めがけて火のついた薪を振り上げました。
愛情がない、もしくはもう薄れた、というとき、それを相手にわざわざ分からせようとして無神経な言い方をして傷つけようとする人、いますね。
特に浮気をしている人。
自分の感情優先で「コイツにはひどいことを言ってもいいんだ」と勝手に決めつけて、相手が何も悪くないのに人格攻撃をしてくるわけですが、その言葉が向かう先は実は自分自身だったりします。
報いを受けると言いますか… 結局自分に還ってくることが多いんですよね。
ものには言い方があるし、絶対に口にしてはいけない言葉もあります。
いずれは自分にブーメランでやってくると考えて、きちんと言葉を選んでいきたいと思います。
と言っても、このブログで結構やらかしちゃってるけど (;´∀`)やりすぎないよう気を付けます…
人生の中でいくつも困難がありながら、最後には自分の手で幸せを掴む強い女性ジェイン・エアの物語は、いつの時代でも人気ですね。
この作品が描かれたヴィクトリア時代には、身分違いの相手との自由恋愛、女性からプロポーズをする、といった描写が驚きを持って迎えられ、現代でも、仕事も恋愛も頑張っている女性たちの姿と重なります。
名作文学の映像化としての、静かながら深い味わいがある作品でした。
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