映画「嘆きのテレーズ」あらすじと感想【ネタバレあり】ラストの衝撃は忘れない
エミール・ゾラの「テレーズ・ラカン」を、シモーヌ・シニョレ主演で映画化したマルセル・カルネ監督作品です。
あらすじ
病弱で甘ったれな夫カミーユと、息子を溺愛して嫁いびりが激しい姑との結婚生活を長年送っているテレーズ。
両親を早くに亡くした彼女は、幼い頃に姑の家に引き取られて、カミーユと結婚させられた経緯がある。
姑が運営している生地屋で一緒に働き、常に難癖をつけられるが、テレーズは諦めの心境で今日も淡々と布を畳む。
ある日、仕事に行っていたカミーユが泥酔し、見知らぬ男性に抱えられて帰宅してきた。
男性はイタリア人で、ロランという。
トラック運転手をしており、荷物の検品のときにカミーユとちょっとイザコザがあったそうだが、その後和解して飲みにいったのだと説明された。
すっかりロランを気に入ったカミーユは、毎週木曜日の集まりに彼を誘う。
木曜日。
少数の知り合いが集まってすごろくゲームに興じるが、正直面白くない。
ロランの興味はテレーズにのみ向いていた。
テレーズのほうもロランに惹かれている。
ふたりは不倫の恋に落ちた。
しかしお互いの関係を隠して密会するだけの状況にロランは不満を持つ。
ロランはテレーズに一緒に逃げよう、と誘うのだが、常にテレーズは二の足を踏んでいた。
我慢できなくなったロランは、カミーユにテレーズとのことを打ち明ける。
動揺したカミーユはテレーズを責め、怒り、泣き落とし… あらゆる手段で彼女を引き留めようとする。
3日間、パリへ夫婦だけの旅行をしようと提案。
それ以降は自由になれると思ったテレーズは了承した。
話を聞いたロランはイヤな予感がして、彼らが乗った汽車に自分も乗り込んだ。
そして口論の末、ロランはカミーユを汽車から突き落として殺してしまう。
新品価格 |
感想
観るのは二度目なんですけど、初めて観たときのラストの衝撃度をずっと覚えていました。
このラストに繋がるまでの流れが上手いです。
彼らに破滅が待っていることを観客に分からせる。でも見せない。
「ここで終わるんかーい!?」と、話にどっぷり入り込んでいたところでスパーンと切る。
こういうのは印象に残りますわ~。
今回改めて観てみて、なんかね、前とあまり感想が変わらなかったです。
最初のうちはテレーズに同情します。
夫も姑もひどいから。
私なら3日と持たずに反発して離婚すると思う。
でも寄る辺ない彼女は、感情を押し殺してひたすら献身的に夫らに尽くします。
笑顔はさすがにありません。
癒しはきっと飼い猫のボンボンちゃんだけだったことでしょう。
ロランが現れて惹かれたのもわかります。
夫と違って逞しいし明るいし落ち着いてるし、何より自分を好いてくれる。
不倫はよくないけど、これは仕方ないよね~、と思うんですけど…
いかんせん、テレーズもロランもバカだった。
カミーユたちから逃げるチャンスは複数回あったのに、尻込みするチキンなテレーズにイライラしたし、辛抱できなくなってカミーユに自分らの不倫をカミングアウトしちゃうロランのバカ正直ぶりにも呆れます。
自分から弱みを握られる行動して、どうするの!?
案の定「訴えてやるーー!!」と喚かれる。 そりゃそうだ。
もっと上手くやることだって出来たのに、短気で馬鹿正直な単細胞は計画性がないから、結局力づくの解決になってしまって窮地に陥る。
まあそんな正直で肉体派なところがテレーズのお気に召したのだろうけど…
いざ警察に疑われるようになると、お互いに責任転嫁して醜い言い争いをするようになります。
しかも一方的に「もう会わない」宣言。
う~ん、勝手。
そういった経緯から、テレーズへの同情心が薄れていきました。
でもこの映画、登場人物に感情移入ができなくなっても、面白いんです。
「どうなるんだろう」と興味を持たせる力が強い。
だから二度も観ちゃったわけですね。
いろいろ忘れていたのもあって、今回も引き込まれました。
他マルセル・カルネ監督作品
「悪魔が夜来る」あらすじと感想【ネタバレあり】裏側に反ナチメッセージがあるファンタジー
他シモーヌ・シニョレ出演作品
「悪魔のような女」 (1955年版)あらすじと感想【ネタバレあり】
他ラフ・ヴァローネ出演作品
映画「ゴッドファーザー : マイケル・コルレオーネの最期」あらすじと感想【ネタバレあり】
映画「エル・シド」あらすじと感想【ネタバレあり】死せるロドリゴ、生けるベン・ユサフを倒す
同じくテレーズという名の悪女
新品価格 |
新品価格 |