映画「ムード・インディゴ~うたかたの日々」あらすじと感想【ネタバレあり】
2013年公開。
「エターナル・サンシャイン」のミシェル・ゴンドリー監督がロマン・デュリス、オドレイ・トトゥを主演に迎え、独特のファンタジー映像で魅せるラブストーリーです。
オマール・シーも共演しています。
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あらすじ
コランは潤沢な財産のおかげで、生まれてこのかた働いたことがない青年。
弁護士兼導師のニコラが趣味の料理を活かして専属シェフになってくれている。
ある日、現代思想家のパルトルを心酔している友人のシックが、彼の講演会で会った女性に恋をしたという話を聞く。
その女性アリーズは実はニコラの姪。
アリーズからシックのことが気になっている、という話を聞いているのでそれを伝えるとシックは大喜び。
ニコラにもイジスという彼女が実はいることを初めて知ったコランは、孤独なのは自分だけと焦り、切実に恋がしたい!と二人に訴えた。
ニコラの紹介で、イジスの犬の誕生日パーティーに招かれたコラン。
シックはすでにアリーズといい感じになっていた。
コランも誰かいないかと探すと、クロエという可愛らしい美女が目に入った。
思い切って話しかけるがイマイチうまくいかない。
だけどニコラと練習したダンズ “ビグルモワ” をクロエと一緒に踊り、距離が縮む。
しかし翌朝、次に会う約束をしていないので忘れられるかも、と落ち込むコランをシックは励まし、ニコラは情報収集をしようと提案する。
その日の午後、コランは街角でクロエと再会した。
デートをして気が合った二人は付き合うことにする。
半年後、スケート場に遊びに行くと、シックとアリーズも来ている。
コランは二人に、クロエにプロポーズしたいけど不安なんだ、と相談する。
一方クロエもまた、コランと結婚したいけどプロポーズされなくて不安、と相談を持ち掛ける。
二人はリンクで激突し、仲良く並んで担架に乗せられながらプロポーズを済ませた。
シックはお金がなくアリーズと結婚できない、とコランに言う。
コランは結婚資金として2万5千ドゥブルゾン (この世界での通貨単位) をシックにあげた。
懐が温かくなったシックは、アリーズの分も払ってパルトルの講演会に行ったり本を買ったりと散財する。
結婚して間もなくクロエが胸の痛みを訴える。
二度も失神し、医者から処方箋を出してもらって、コランはすべての時間をクロエの看病に使った。
金庫の中のお金は少なくなっていた。
医者にまた診てもらうと、右の肺に睡蓮の花が咲くという奇病にクロエは罹っていた、
治療法は、周りを花だらけにして睡蓮を脅し、枯らすために水分は1日スプーン2杯しか口にしない、というものだった。
花を絶やさないためコランは働きに出ることを決意する。
しかし働いたことがないため面接に行っても「怠け者だ」とバカにされ速攻で不採用にされる。
ようやく見つけた仕事は何時間も同じ姿勢でいなければならないという、キツいわりに賃金の低い単純作業だった。
どんどん生活水準が悪くなっていき、家も荒れ果ててきた。
クロエは手術を受けて枯れた花を取り除くことに成功。
しかしすぐに左の肺に花が咲き始めてしまい、また薬を飲むようになる。
同時期に運悪く、コランは成果物の出来が悪く仕事をクビになってしまう。
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感想
パーティーでクロエに一目惚れしたコランはさっそく話しかけます。
名前をクロエと聞いて、デューク・エリントン (歌手) の曲に “クロエ” というのがある、という話をするけれど、イマイチ良い反応が来なくて落ち込んで帰ろうとしました。
イジスらの説得でもう一度声をかけて話し続けようとしますが、緊張のあまりお菓子を口いっぱいに頬張ってむせてしまいます。
クロエからハンカチを借りて吐き出し、シャンパンを飲みますが、これもまたむせて咳き込んでしまうのです。
なんともカッコ悪くて締まらないコランですが、初対面の人と話す時、人は少なからず緊張するものですよね。
上手くいかせたくてカッコ良く見せようとすると逆に空回りしてしまいます。
むしろ、ちょっと緊張しています、と素直に言ってしまったほうが肩の力が抜けてリラックスできるのではないでしょうか。
緊張を隠さないことで打ち解けた雰囲気になると思います。
お互いに緊張してテンパッている状態を笑い飛ばす余裕もできるかもしれないですね。
クロエの病気がハッキリしてからコランはようやく働くことにしました。
だけどこのとき、家計はすでに火の車です。
毎日すぐに枯れてしまう花を部屋中に満たすため、コランは慣れない仕事に精を出します
家財道具も売り払い、二人を心配してそばについていてくれるニコラにも他の仕事先を斡旋して出ていってもらいます。
そして仕事以外の時間はクロエの看病にあたるコラン。
ずっと裕福に育ってきたコランは、人生で初めて努力というものをしたのではないかと思います。
どんなに辛くてもクロエさえ生きていてくれれば良い、と歯を食いしばって耐えます。
罵倒されても頑張って働いて治療費を稼ぎ、どん底になっても花の購入を欠かしません。
介護は… 本当に辛いものです。する側も、恐らくされる側も。
生きてほしい、早く良くなってほしい、と気持ちがありながら、反面、もっと自分の時間がほしい、という気持ちも出てきます。
それでもやっぱり大切な人には生きていてほしい。
治療費を稼ぐためにがむしゃらに働くし、人の手を借りながらでも看病もする。
だけど、そのくらい強く思える相手に巡り合えることは、幸福なのではないかとも思うのです。
パートナーだけではなく、両親や子ども、ペットなどでも、大切でずっとずっと一緒にいたい、と思えるくらい愛情を持てる相手とは、人生でそう多くありません。
この大切な存在を守るためなら自分は苦労をしてでもいい、と思わせてくれる存在。
実は自分にエネルギーを与えてくれる原動力になります。
巡り合えたことに感謝する。
そんな存在がいることは幸せなことではないかと思うのです。
とはいえ介護は本当に大変です。
いろいろな人や機関に相談して、出来る限り手伝ってもらうように頼んでください。
シックは、コランからもらった結婚資金をすべてパルトル関連に費やして、ついには破産してしまいます。
そのため捨てられたアリーズは、元凶であるパルテルを殺害。
シックも役人に殺される、という最期を遂げます。
大切な存在に巡り合えることは幸せ、と言いましたが、その対象は身近な人や動物だけではなく、有名人・芸能人や、アニメなどの二次元のものに向かう人もいます。
関連グッズを集めたり、ライブなどに行ったりするのは心に潤いが出来て楽しいですね。
だけど金銭面はじめ行き過ぎは自分のみならず周りも不幸にします。
シックはパルテルの存在をアリーズより上に位置付けたため、結局自分もアリーズも不幸にしてしまいました。
大切な存在の優先順位を間違えないでください。
芸能人やキャラなどを応援するのはいいけれど、あなたが困ったときに支えてくれるのはやはり身近に存在している人たちです。
自分のキャパの範囲内でファンをやっていくのがいいと思います。
くれぐれも無理はしないように。
可愛いファンタジーかと思うと意外と重い話です。
映像も、前半はカラフルでしたが、徐々に色を失いモノクロになってしまいます。
だけどコランに告白されたクロエは
「二人でいられるなら何度でもやり直せる。成功するための時間は一生ある」
と言いました。
コランはクロエを失いどん底に堕ちましたが、クロエとの思い出を支えにしてまた立ち上がるのでは、と期待しています。
何を持って “成功” というのかは人それぞれだけど、誰でも成功するのは年齢に関係なく一生かけて出来るのですから。
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