映画「マンハッタン」あらすじと感想【ネタバレあり】身勝手な人間たちで織りなす恋愛事情
1979年公開のウディ・アレン監督・主演作品です。
ヒロイン役は当時、公私ともにパートナーだったダイアン・キートン。
メリル・ストリープがアレンの元妻役でちょっと出ています。
ニューヨークを舞台に、口やかましいインテリ男アイザックを中心に、わりと身勝手な人たちの恋愛模様を描いています。
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あらすじ
テレビのライターをしているアイザックは17歳の女子高生トレイシーと付き合っているバツ2の42歳。
友人の学校教師エールに、最近ジャーナリストの女性と不倫関係になったことを告白される。
美術館で偶然会ったエールに相手の女性メリーを紹介されるが、メリーはさまざまな話題に対応できるけれど批判的な意見が多い人。
アイザックとはことごとく意見が合わず鼻もちならない女性だった。
テレビの収録現場で他のスタッフと意見が対立したアイザックは衝動的に仕事を辞めて無職になる。
本を執筆する、と宣言するのだった。
本といえば離婚した2番目の妻ジルが、アイザックとの夫婦生活についての暴露本を出版するという。
アイザックは猛烈に反発するのだが、ジルは決行する。
2人の離婚理由は、ジルが女性と恋に落ちて家を出たことなのだが、アイザックが相手女性を車で轢こうとしたことがジルには許せないのだった。
また偶然にもあるパーティーでメリーと再会したアイザック。
意外にも意気投合し、パーティーが終わった後も二人で一緒にメリーの犬の散歩に付き合ってたくさん語り合った。
アイザックは急速にメリーに惹かれていった。
無職・離婚手当2件分・養育費…
金銭面がかなり危うい状態になったアイザックは安アパートに引っ越しした。
その頃トレイシーはロンドンの音楽演劇学校に行こうかと考えており、アイザックに一緒にきてほしいとお願いする。
トレイシーとの別れを考えていたアイザックは拒絶した。
メリーはエールとうまくいっておらず、会えなかった日はアイザックを呼び出してデートした。
エールの家庭を壊す気はないが、もっと大事にされていいはずだと考えるメリーは、エールとの別れを決意。
エールも了承した。
エールはアイザックにメリーと付き合うことを勧める。
アイザックとメリーは一緒に暮らし始め、トレイシーとも別れる。
しかしメリーにエールから連絡があり、メリーはやはりエールを愛しているとアイザックに告げてアパートを出て行ってしまう。
アイザックはエールの学校まで押しかけて詰め寄った。
エールの答えは、別れたからアイザックに譲ったがやっぱりまだ愛しているので取り返した、というものだった。
気落ちするアイザックだが、ふとトレイシーが恋しくなり連絡を取ろうとするが電話がつながらない。
急いでトレイシーのアパートに向かうと、トレイシーはロンドンに向けて出発する間際だった。
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感想
メリーはジャーナリストだけあって、さまざまな分野、特に映画やモダンアートなどの芸術方面についての知識が豊富にあります。
そしてその知識を持ったうえで自分なりの意見を持ち、それを言葉にして発信するだけの知性と教養を持った女性です。
アイザックもかなり批判的な物言いをする人ですが、メリーはさらにそれを上回る批判精神の持ち主。
アイザックが好きなものも容赦なくこき下ろされて、ムキになって言い返すのですが全部かわされてしまい激怒します。
ところがこのやり取りをエールは目を細めて眺めているんですね。
(まだ高校生のトレイシーは話題にまったくついていけずに黙っています)
妻エミリーにはないメリーの魅力というのが、こうした博識でズバズバとした物言いだったのでしょう。
アイザックには “したり顔のエセインテリ” と嫌われましたが(;^ω^)
この時代って、バーブラ・ストライサンドの映画でもそんな感じだったけど、一過言持っていて議論好きな女性が多くいたのかな? と感じました。
そんなメリーとは対極にいるトレイシーは17歳の高校生。
アイザックは42歳なので、その年齢差は25歳。
四半世紀分ですね。父親でもおかしくない。
それでもまあ恋に落ちるときは落ちるものなので誰にも責めはないのですが
(ただし現在の日本では結婚していない限り未成年者との淫行は犯罪)。
高校生といえばちょうど子供と大人の中間地点にあたり、場合によって子ども扱いされたり大人扱いされたりで、本人たちもどうしていいか分からない難しい時期に当たります。
トレイシーも頭の悪い子ではなく、自分の言いたいこともきちんと伝えることができる意志の強い子です。
将来は女優になりたいという希望も持っています。
だけどアイザックからすると教養もまだ全然足りていないので、すぐにマシンガンのようにしゃべって言い包めてトレイシーを黙らせて、完全にバカな子扱いです。
一応トレイシーの将来のために、と美術館に連れて行って感性を磨かせたりしますが、メンターのつもりになっていて、恋人なのに、自分より下、と軽く見ているんですね。
年齢差という部分もありますが、恋人なのに上下関係をつけ、彼女をすべての面で自分より劣っているという判断をして見下すとか…
こういう態度は実は恋愛とはいえないものです。
若いトレイシーは御しやすいし肌スベスベだしで嬉しいけれど、自分から別れを切り出したときは、ロンドンには一人で行きゃいいし、同年代と付き合えよ、と謝りもせず突き放します。
そしてメリーに別れを告げられたあとに、俺にはトレイシーがいるじゃ~ん♪ 、と滑り止め要員扱いでノコノコとトレイシーのところに行きます。
それでロンドンに行こうとしているトレイシーに、行くなよ~、やっぱキミが好きだよ~、とこれまたロクに謝りもせず厚顔無恥に引き留めようとします。
…完全に舐めてますね (# ̄皿 ̄)
恋愛は対等な関係で成立します。
相手が舐めた態度をとったら、それは恋愛ではありません。
しかしトレイシーも最後は「ロンドンには半年だけだし、あなたのことはまだ愛しているよ (多分) 」と言って自分の意志を貫いてアイザックの口車に乗りませんでした。
アイザック、ざまあwww!!!
久しぶりに草がボーボーに生えるくらいスッキリしました。
メリーのセリフに「私がイヤならあっち行け」というのがありましたが、この態度でいるほうが正解だと思います。
エールとメリーは不倫関係です。
だけどエールは妻と別れる気はないし、メリーも人の家庭を壊したくない、と言います。
なのにメリーは会えない寂しさを訴えてヒステリーを起こします。
私は若いし美人だし頭だっていい! もっと大事にされるべきよ! と訴えますが…
なんでしょう…
言動の不一致というか、家庭を壊さない不倫ってどんなのなんでしょう。
バレなきゃいい、と思ってるのかな。
このように、この映画はしょうもない浅ましい大人たちの身勝手な行動で紡がれる作品です。
美しいものではありませんが、恋愛も美しいだけではないということでしょうね。
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