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映画「独裁者」あらすじと感想【ネタバレあり】喜劇王 命がけの抗議

2022/11/25
 
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駆け出しライターのポムりんごと申します。 最近はめったに雪が積もらなくなった雪国在住。 映画や海外ドラマの視聴が趣味で、それが高じて英語学習もやっています。 英検準一級。TOEIC780。 漫画やゲームも好きな完全内向型。 家にこもってわがまま(セルフィッシュ)三昧に日々過ごしてます。

1940年、ヨーロッパに台頭しユダヤ人を迫害・弾圧するヒトラー率いるナチスに怒りを募らせたチャップリンが、義憤に駆られて制作した映画です。

この当時アメリカはまだドイツに対して開戦していませんでした。

まだヒトラーやナチが不透明な存在だったときに、その残虐性を見抜いて世界に知らしめようと試みたチャップリンの洞察力と反骨精神に瞠目します。

米国内にいた親ナチスからの妨害を受けながら完成させた傑作です。

このために初めてトーキーにしたという、ラスト6分のスピーチ・シーンは必見。

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 あらすじ

第一次世界大戦。

架空の国トメニアで床屋をやっているチャーリーは、徴兵により陸軍に従軍していた。

陸地戦が激しくなり、チャーリーが塹壕から機銃掃射をしているときに、負傷した空軍兵・シュルツがやってきた。

重要書類を本部に届けなければならないが、ケガのため一人で飛行機に乗れないという。

狭い複葉機の座席に一緒に乗り込むが、意識が朦朧としてくるシュルツに操縦できないチャーリーではどうすることもできない。

結局、燃料切れになって墜落。

ふたりとも助かったけれど、敗戦の知らせを受けて書類は不必要になるし、チャーリーは記憶喪失になって20年を病院で過ごす。

その間、トメニアの社会情勢はすっかり変わっていた。

人種主義者のヒンケルが首相となっており、警察は彼の親衛隊となりユダヤ人たちを迫害している。

病院を抜け出したチャーリーは、20年も眠っていたことなどすっかり忘れてユダヤ人街にある自分の店に帰ってきた。

猫屋敷になっていて大量にほこりが積もっていることが不思議。

首をかしげていると、ヒンケル親衛隊が店の窓にペンキでJEW (ユダヤ人) と描いているところを見つけて抗議する。

しかし殴られて自分で描くように強要されるが抵抗。

そこに普段から親衛隊に盾ついている隣の家の女の子ハンナが加勢してくれた。

ハンナの両親や近所の皆から現在の情勢をチャーリーは聞かされる。

一方ヒンケルは近隣国すべてを掌握しようと、隣国のオストリッチ侵攻を画策していた。

しかし資金援助をしてくれそうなところはユダヤ系のエプスタイン家くらいしかない。

金銭を手に入れるまでのユダヤ人弾圧を緩和することにした。

ときを同じくして、チャーリーはシュルツと再会。

彼は親衛隊長となっていて、恩義があるチャーリーとその近隣住民には手出ししないように部下たちに命令した。

平穏な日々がやってきたが、エプスタイン家から援助を断られたヒンケルは激昂。

すぐさまユダヤ人への弾圧を徹底的に行うことを全国民に発表した。

 

感想

あらすじだけ書くとなんともシリアスな映画っぽいですが、みなさんご存知のようにギャグです。

徹底的にバカにしています。

しかもこの映画、ヒトラー本人も鑑賞したそうで…

もしドイツが勝っていたらどうなっていたのか考えただけで恐ろしい

((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル

 

昔読んだチャップリンの自伝で、この映画を撮る心境になったときのことが回顧されていました。

そのなかで「あのナチス式の敬礼を見ると、あの手のひらの上に汚れた皿を何枚も重ねて乗っけてやりたくなる」と書いていて、吹き出しました

;:゙`;:;`ゞ(≧ε≦ )ブッ

ただの皿ではなく、わざわざ “汚れた皿” と書くあたり、かなり怒っていることが分かりつつもユーモアのある表現。

さすが喜劇王です。

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ヒンケルのことも完全な道化として描いてますが、ゲッペルスがモデルの副官ガビッチのことも「garbage (ごみ) 」と聞こえるようにシャウトしたり、ムッソリーニがモデルのナパロニは露骨にアホで陽気なイタリア人として描いて、まとめてコケにしています。

ゲーリングがモデルのヘーリング元帥もトロいおデブさんで、軍服の下はコメディアン丸出しの服を着ています。可愛い♡

こうした風刺ギャグも冴えていますが、ベタな笑いの部分も忘れていません。

冒頭部分で出てくる長距離砲の大きさに圧倒されて、これをコメディだと忘れて観ていたら、連発で出るベタなギャグに声出して笑いました。

ベタを作ったのはチャップリンなんですけどね。

やはり完璧主義者だけあって、全編ギャグとして使えるところは徹底的に笑えるシーンにしています。

ムダもなく綺麗にまとまり、有名になったシーンも多く、そして最後には力強いスピーチで締めくくり、確かにチャップリンの最高傑作と言われる作品だけあるな、と思います。

(好きかどうかはともかく。ちなみに一番好きなのは「黄金狂時代」です)

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余談ですが、いま見返して、ふと現在との奇妙な偶然?があることに気づきました。

ヒンケルがお金を借りようとしたエプスタイン家は、財閥ロスチャイルド家がモデルです。

20198月にジェフリー・エプスタインというユダヤ系アメリカ人の実業家が自殺しました。

彼は未成年の少女たちを性的搾取し、富豪相手に人身売買を繰り返していた男です。

その顧客にはイギリスのアンドリュー王子がいた疑惑があり大スキャンダルになりましたが、エプスタインの交流相手の中にはロスチャイルド家も入っていました。

……だからどうしたって感じですが(;^ω^)

なんとなく、エプスタインとロスチャイルドが時を超えて繋がった、みたいな驚きを感じました。

チャップリンはすごい人だけど、さすがに妙なリンクを示唆した予言なんてできない…はず……

いやいやいや、ただの偶然。考えすぎました、はい。

 

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