映画「復讐するは我にあり」あらすじと感想【ネタバレあり】
実際の連続殺人事件をモチーフにした原作を、今村昌平監督で映像化した作品です。
主演は緒形拳さん。
父親役を三國連太郎さんが演じました。
緒形さんと関わるダブルヒロインに、倍賞美津子さんと小川真由美さんが配されています。
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あらすじ
五人の人間を殺害し、七十八日間の逃亡を続けていた榎津巌が逮捕された。
どうせ死刑になる、とせせら笑う巌だったが、刑事は少しずつ聞き出していく。
厳格なクリスチャンの家で生まれ育った巌だったが、戦時中に戒律を曲げて軍に屈した父を見て以来、反抗的になる。
大人になって加津子と結婚して子供も生まれ、落ち着いたかに見えた。
しかし巌は、金欲しさに顔見知りの専売公社の集金人・柴田を殺害。
一緒に回収に回っていた馬場も手にかける。
その後、巌は身分を偽りながら各地を転々とし、逃亡生活を続ける。
あるときは大学教授を名乗り、旅館に長期滞在。
愛人関係となったハルや、その母親と奇妙な同居生活を送りながらも、平然と嘘を重ねていく。
しかし金に困ると、再び殺人に手を染める。
冷酷で計画的な犯行を繰り返しながらも、その行動にはどこか衝動的で破綻した一面も見え隠れしていた。
一方で、加津子と家族もまた、彼の存在に翻弄され続ける。
特に、巌に対して複雑な感情を抱く父との関係は、次第に歪んだ形で露わになっていく――。
やがて捜査の手は確実に巌へと迫り、逃亡生活にも終わりが近づいていくのだった。
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感想
とにかく観ていてしんどい映画です。
連続殺人犯の逃亡劇でありながら、スリルや痛快さはほとんどなく、
ひたすら人間の醜さや歪みを突きつけられるような感覚。
平然と嘘をつき、人を利用し、そして躊躇なく殺す。
巌は、ぱっと見で“分かりやすい悪人”ではないからこそ、不気味さが際立っています。
特に印象的なのは、彼の家庭環境。
厳格な信仰のもとで育ちながら、
父親が戦時中に信念を曲げたことへの軽蔑。
その歪んだ感情が、彼の人格に深く影を落としているように見えます。
ただ、それが彼の凶行の理由になるかといえば、決してそうではない。
環境だけでは説明できない“どうしようもなさ”が、常に付きまとっているのがこの作品の怖さです。
また、加津子や家族、ハルとの描かれ方も強烈です。
被害者でありながら、どこか共依存のような関係性。
特にハルの母とは、刑務所帰りという共通点があり、
互いに不信と信頼が入り混じっているように見えました。
また、父との関係には、言葉にしづらい不穏さが漂っています。
このあたりは単なる犯罪映画ではなく、
「家族とは何か」「人はどこまで他者に縛られるのか」といったテーマを突きつけてきます。
そして何より、この映画には救いがほとんどありません。
勧善懲悪のカタルシスもなく、
悪が裁かれてスッキリ、という単純な構造ではない。
むしろ、逮捕されてもなお残る“後味の悪さ”こそが本質。
観終わったあと、しばらく引きずるタイプの作品です。
ただ、その重さこそがこの映画の価値だとも感じます。
人間の中にある醜さや弱さ、
そして理屈では割り切れない闇。
それらを一切美化せず、真正面から描いているからこそ、
強烈な印象を残す。
決して気軽におすすめできる作品ではありませんが、
「映画としての力」は圧倒的です。
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