映画「郵便配達は二度ベルを鳴らす」 (1946年版) あらすじと感想【ネタバレあり】
ジェームズ・M・ケインズの長編処女小説が原作で、過去4回映画化されているうちの3作目です。
ヒロイン役ラナ・ターナーの代表作になります。
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あらすじ
カリフォルニアの片田舎にあるダイナーに、風来坊のフランクがやってきた。
ヒッチハイクでここまで連れてきてくれたのは、近所に住む男性でサッカスという。
地方検事だと後で知った。
ダイナーの看板脇で車を見送るフランクを見つけた店主ニックは、求人に応募してきたのだと察して店の中に招き入れる。
求人の条件を聞いているときに、外で給油を求める客がいたためニックは中座した。
入れ替わりに、若くて美しい女性が現れた。
彼女はニックの妻コーラ。
ニックとはかなりの年齢差がある。
フランクは一目で彼女に心を奪われた。
しかし数日経ってもコーラはフランクに靡かない。
ついに我慢できなくなった彼は、強引にコーラに迫った。
コーラのほうも実は、年老いてケチなニックより、若くて危険な魅力があるフランクに惹かれていたのだった。
そして二人は駆け落ちすることを選ぶが、フランクは車を持っていない。
ヒッチハイクしようにも車はなかなか捕まらず、転んで泥だらけになったコーラは嫌気がさしてダイナーに戻ることに。
結局ニックに気づかれないまま駆け落ちは終了した。
しかし愛し合うふたりにニックは邪魔だ。
そこでふたりはニックを殺す計画を立て始める。
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感想
代表作なだけあって、ラナ・ターナーの匂い立つような色気がすごいですね。
立ち方、動き方、目線…
危険な香りがする悪女だと分かるのですが、これは惹かれます。
抗いがたい。
声が少し幼い感じなのが残念ではありますが、悲鳴はなかなかのものです。
そんな悪女なラナことコーラさん。
かなり気が強いのですが、「想定外」に弱く、誘導に簡単に乗っかってしまうところがあります。
よく言えば素直。
だけど裏をかく裁判戦術の意図が分からず、フランクにも、自分が雇った弁護士キーツにも食って掛かる短気な女性です。
怒りの勢いで陳述書を書き換えてしまうおバカさん。
そのことがラスト近辺で自分たちの首を絞めることになります。
一度目の殺害計画が失敗したときもかなりオロオロしてテンパるし…
ちょっと冷静さに欠けていて、そんなに頭が良くないところが「完璧な悪女像」とはかけ離れているので、こちらも「あれ?」と拍子抜けしました。
あれだけ最初に悪女然としていながら、なんだか普通の女性とあまり変わらないぞ、と。
彼女が放つ悪女風の雰囲気を取っ払ってみると、安ダイナーの経営を続けたがったり、ケチで年寄りの旦那を愛してないし、彼の姉の介護なんてイヤだ、と思う普通の考えを持っているだけの人になります。
悪女と言うより現実的な思考の持ち主なことは、駆け落ちを途中でギブアップしたことでも窺えますね。
意外と現実主義者だったのが、根無し草で自由な考え方・生き方をしているフランクに影響されたことで「ふたり一緒なら殺人もできちゃうかも」と思っちゃったのかもしれません。
そして無駄に行動力があるから実行に移して「悪女」になった、と見て取りました。
なかなか面白いキャラクターです。
コーラがこの映画に見ごたえを与えていたと思います。
そして彼女を殺した疑惑を持たれたフランクの最期。
「コーラ殺し」は絶対に認めない。なぜなら愛していたから。
でも「ニック殺し」は認めてもいい。
そう言って死刑を受け入れます。
愛する人を殺した、という汚名はどうしてもプライドが許せなかったんでしょうね。
ちょっとわかる気もします。
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