映画「ピアノ・レッスン」あらすじと感想【ネタバレあり】何よりも大切な物のために
1993年のカンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞し、主演のホリー・ハンターがアカデミー主演女優賞を、その娘役のアンナ・パキンがわずか11歳で同助演女優賞を獲得した作品です。
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あらすじ
19世紀イギリス。
結婚には至らなかったが、愛していた男性の死のショックで話すことをやめたエイダ。
彼女の言葉は、娘のフローラと心の拠り所であるピアノの音色が代弁する。
鬱々としている彼女を心配した父親は、ニュージーランドで開墾をしている男性ステュアートとの縁談を結ばせた。
未開地ニュージーランドに、エイダはフローラとピアノを伴って足を踏み入れる。
ステュアートがマオリ族を連れて迎えに来たが、ピアノは邪魔だから置いて行くと言われ、エイダとフローラが抗議したにも関わらず浜辺に置き去りにされた。
自分の分身でもあるピアノのことを想ってエイダの心は晴れない。
婚礼の準備も本番もどうでもよかった。
フローラもステュアートのことをパパとは呼ばない、と敵視している。
花嫁衣装はすぐに脱ぎ捨て、ステュアートがフローラの手前、はっきり誘えないのをいいことに、彼との同衾も無視していた。
ある日、ステュアートが仕事で数日留守にするというので、エイダはフローラと一緒に浜辺に行き、日が暮れるまで思う存分ピアノを弾いた。
弾いているエイダの姿と音色の美しさに、原住民たちと馴染んだ生活をしているイギリス人ベインズは心を惹かれる。
仕事から戻ってきたステュアートにベインズは、自分が持っている土地と浜辺のピアノを交換しないか、と持ち掛けた。
そしてエイダからピアノのレッスンをしてほしい、という条件もつける。
元々ピアノに興味がないステュアートは快諾するが、当然エイダは烈火のごとく怒りだす。
あのピアノは自分の物だし、自分そのものでもある。ステュアートが勝手に売り飛ばしていいものではない。
そうエイダは訴えかけるが、家長意識が高いステュアートはエイダを無理やりベインズにピアノを教えるよう命令した。
ピアノを手に入れたベインズは自宅に運び入れ、プロに頼んで調律をしてもらう。
フローラと一緒にやってきたエイダは、まず音の狂ったピアノでは教えられないこと、そして音階から始めるのでフローラから教わるように伝えて帰ろうとする。
しかしきちんと調律がされている音を聞いてエイダは足を止めた。
弾いてみる。
思う通りの音が出るピアノにエイダの表情は和らいだ。
ベインズの頼みは、レッスンはベインズが直接弾くのではなく、エイダにピアノを弾いてもらって聞かせて欲しい、というものだった。
そして、レッスンのたびに鍵盤をひとつずつ返す、と言うのだ。
それで最終的にはエイダにピアノが戻ることになる。
エイダはその条件を呑んだ。
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感想
こうしてベインズと心を通わせて不倫で三角関係になるのね、と軽く考えていたら、心より欲望のほうが先立つ野獣展開になりました。
お高尚なAVでございますかコレは? (白目)
意外と変態な映画だったので、ちょっとドン引き (;´Д`)
欲望からの恋愛なので、本当にエイダとベインズの間に愛情が通っているのかラスト近くまで疑問でした。
が、最後まで観てみると話の筋立てはしっかりついています。
何度か斧が出てきたり、村のイベントで行なわれた寸劇が「青髭」だったり…
エイダにこの先降りかかる未来を暗示する伏線で不穏な空気感を出している演出も面白いです。
映像も青みがからせた画で未開地の鬱蒼とした景色とエイダの沈んだ気持ちを表現し、浜辺でピアノを弾くときは抑えたオレンジで明るさを出しています。
こういう細やかさは女性監督の感性が有利に働いたのかもしれません。
綺麗な映像です。
そして何よりマイケル・ナイマンによる曲の数々が美しい!
サントラはかなり売れたそうですが納得です。
どの曲も、しばらく目をつぶって聴き入りたくなりました。
ちなみにホリー・ハンター自身が演奏しています。すご… (・∀・)
個人的にはこの作品、エイダよりフローラの方に目が行きました。
アンナ・パキンの演技、なんだか惹かれてしまうんですよね。
彼氏が死んで言葉を話さなくなった (話せなくなったわけじゃない) エイダですが、フローラは父親が死んでいるのに母がそんな子供っぽいことしているせいで、母と他人との通訳係をやらなければならず、自然としっかり者にさせられている境遇です。
それなのにレッスンのときは中に入れてもらえず (まあ子どもに見せられないわな) どんどんエイダに構ってもらえなくなります。
さすがにベインズと引き離したくなって、浮気を知ったステュアートとの利害が一致したので彼のことをパパと呼ぶようにもなりました。
まあねぇ… 大抵の人は、自分の母親が “綺麗なお母さん” なら嬉しいところだけど、“女” であることを優先させていたらイヤですよねぇ。
だからフローラがステュアートと結託してエイダを家に閉じ込めることに協力するの、わかる気がします。
正直エイダがかなりワガママなので、怒り狂ったステュアートに指を切られたのに同情はできませんでしたが、それを目の前で見せられて泣き叫ぶフローラが痛ましかった (ノД`)・゜・。
もうここだけで結構な衝撃作です。
ただ、最初にステュアートがピアノを運んであげていればこんな事態にはならなかったわけで… (話にもならないけど)
自分からしたら下らないと思う物でも、誰かにとっては命のように大切な物だと知ったら、それを尊重することが大事なんですね。
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