映画「譜めくりの女」あらすじと感想【ネタバレあり】復讐はオーソドックスに
2008年公開のフランス映画です。
音楽家の一面を持つドゥニ・デルクール監督が脚本も書いています。
狙われるピアニスト役を「奥さまは名探偵シリーズ」のカトリーヌ・フロ。
静かに復讐を遂行していく譜めくりを「ある子供」のデボラ・フランソワが演じています。
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あらすじ
ピアニストを目指す少女メラニー。
国立音楽院の入学試験に向けて熱心に練習してきたし、両親の応援もあって合格する自信はあった。
試験当日、複数人の面接官の前で緊張しながらメラニーは演奏する。
順調に弾いていたが、途中で中年女性が部屋にコソコソと入り込み、面接官のひとり・著名なピアニストのアリアーヌにサインをねだった。
メラニーの演奏に退屈していたアリアーヌは断ることなくサインする。
その光景が目に入ったメラニーは途中で演奏が途切れてしまった。
アリアーヌに促されて続きを演奏するが、動揺から音ズレがひどくなり、結局最後まで立て直すことができなかった。
失意のまま家に帰ったメラニーは、ピアノに鍵をかけ、飾っていたピアノ関連の写真や置物を棚の奥にしまい込む。
数年後。
短大を卒業したメラニーは、大手弁護士事務所に見習いとして入社した。
もうすぐ昇天祭の連休が始まるが、同僚が社長から、社長の息子の子守として同僚の娘に来てほしいと言われて困っていた。
メラニーは社長の元に行き、子供好きなので自分が子守をしましょうか、と申し出る。
場所が遠いので連休中は屋敷に泊まることも承知する。
連休初日、最寄り駅まで行くと、社長の息子トリスタンと妻がメラニーを迎えにきた。
社長の妻はアリアーヌだった。
アリアーヌはもうメラニーのことを覚えておらず、気さくに挨拶し屋敷を案内する。
社長から、アリアーヌが2年前に事故に遭い、それ以来演奏会でアガるようになってしまったのだと聞かされた。
メラニーにはトリスタンの世話のほか、精神的に弱っているアリアーヌの支えになってくれるように社長は頼んできた。
アリアーヌは現在、バイオリン・チェロとの三重楽団を組んでおり、もうすぐラジオ演奏会がある。
練習中のアリアーヌがピアノを弾きながら自分で譜面をめくっているのを見たメラニーは、アリアーヌの横に立ち、ちょうどいいタイミングで譜面をめくる。
理想的な譜めくりだった。
メラニーの落ち着いた佇まいはアリアーヌを安心させた。
アリアーヌはメラニーに、専属の譜めくりとして練習中からずっと一緒にいてほしいと頼んだ。
感想
静かに進行していきます。
不穏なBGMが流れたり、影を使った効果などといった、サスペンスを盛り上げる演出というものを排除しています。
だけど主演女優ふたりの演技が、ちゃんとサスペンスを意識させていました。
デボラ・フランソワの感情を抑えた演技と、カトリーヌ・フロの精神の弱さを出した演技。
観ているこちらは、メラニーがアリアーヌを恨んでいることが分かるし、彼女の家庭の中に入って少しずつ復讐の種まきをしているのも分かるので、いつこの復讐が大きな形でアリアーヌを襲うのか、興味深く注視していきます。
まずは自分を信用させて懐に入り込む。
最初のラジオ演奏会では成功を味わせる。
恋愛的な好意があるように見せかける思わせぶりな態度をとって相手を翻弄する。(フランスって同性愛に寛容な国だと思っていたのですが、意外と保守的で驚きました)
ついでに息子にも、もうピアノが弾けなくなる腕になるように罠を仕掛ける。
そしてエージェントが見に来る大事な演奏会で姿を消して失敗させる。
最後には自分と駆け落ちしたい、と書いてきた手紙を夫の机の上に置いて出て行く。
こうして書きだすと、わりとオーソドックスな手法を取っていますね。
ベタなんだけど、効果があるからこそベタとして定着したのかもしれません。
信頼を裏切る。成功させてから失敗させる。失恋させる。子供にも害を与える。浮気の証拠を配偶者に見せる。
全部は無理でもこのどれかをやれば復讐は成功するってことなんでしょうね。
あっ!オススメしてないですよ!ダメですよ復讐なんてしちゃ!!
でも物語を作るときの参考にはなると思うので、そういうの目指している方はぜひポイント抑えてみてください(・∀・)
あとメラニーちゃん、綺麗で残酷なんですが…
自分の部屋のベッドに寝そべりながら母親と電話で話すシーンがあります。
そのとき手元に置いてあったのが、萌え絵の女の子が表紙になっているアニメ雑誌でビックリしました。
まさかのアニオタwww!!
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