映画「Dr.パルナサスの鏡」あらすじと感想【ネタバレあり】ミステリアスなダークファンタジー
2010年公開。
撮影中に急死したヒース・レジャーの遺作になったファンタジー作品です。
彼の代役を親友だったジョニー・デップ、ジュード・ロウ、コリン・ファレルが「鏡の中では別人の姿になる」という設定にして、四人一役の形で引き継ぎました。
主役のDr. パルナサスをクリストファー・プラマー、一座の団員をアンドリュー・ガーフィールドが演じます。
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あらすじ
ロンドン市内の移動遊園地に現れた旅芸人一座。
不死の老人・パルナサス博士の不思議な能力で、鏡の中に入った人は自分の欲望の世界を見ることが出来る、という触れ込みだ。
時代がかった衣装にみすぼらしい舞台は、無視されたり酔っ払いにからかわれるだけで、お客となる人がいない。
しかし酔っ払いの一人が紅一点で博士の娘・ヴァレンティナに目をつけて追いかけまわし、彼女が逃げ込んだ鏡の中に入り込んだ。
不思議な世界が広がり、酔っ払いは散々な目に遭って「もう酒は飲まない」と誓う。
高い階段の頂上に神殿が現れ、そこまで辿りつくよう促されるが、ふと傍を見ると賑やかな音楽とネオンが眩しいバーがポツンとある。
酔っ払いはそっちに向かって酒を注文してしまい、そしてバーごと爆発した。
鏡の外側でパルナサス博士はグラリと体を傾け「またしてもヤツが勝ち、ワシが負けた」と呟く。
もう何世紀も前、若い僧だったパルナサス博士は悪魔のMr. ニックと出会った。
そして最初の賭けをした。
最初に弟子を12人集めたほうが勝ち。
パルナサス博士はその賭けに勝って永遠の命を手に入れた。
それ以来、ふたりは幾度も賭けをしている。
他の町へ移動している最中、橋の下で首を吊っている人がいることに気づいた一座の青年アントンは、ヴァレンティナや小人症のパーシーに手伝ってもらって助け上げた。
白いスーツに身を包んだ男性だった。
心臓に一撃を与えると、男性が息を吹き返すと同時に、口の中から金属製のパイプが飛び出した。
一座は彼も仲間に加え、記憶を失くしているため仮に “ジョージ” と名付けた。
仕事のときはアントンと共に客引きを担当する。
女性受けするジョージは、近くのショッピングセンターまで出向き、買い物中の女性客たちをショーまで引っ張ってきた。
博士の失敗も上手くフォローし、一座がこれまで手にしたことがないほどの稼ぎを叩きだす。
もうすぐ16歳の誕生日を迎えるヴァレンティナは、素敵な日になりそうと期待し、ジョージに惹かれる。
ヴァレンティナに恋をしているアントンは面白くなかった。
その夜、パルナサス博士の元にMr. ニックがやってきた。
ジョージはニックの手下だと思っていた博士に、ニックは違う、とはっきり告げる。
彼の本名はトニー・シェパードといい、慈善事業をしているが卑劣な男だ、とニックは付け加えた。
そして新しい賭けを提案してきた。
やる気がでない博士に、娘を救えるかもしれないぞ、と伝えてその気にさせる。
賭けの内容は「先に5人獲得した方が勝ち」。
すなわち鏡の中に入った人たちが、博士の誘導どおり正しい選択をするか、悪魔の誘惑に負けて爆発するか、という勝負である。
期限は2日後のヴァレンティナの誕生日。
事情を知ったトニーの助けを得て博士は奮闘する。
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感想
何世紀にも渡っていろんな賭けを博士に持ちかけるニック。
お互いに永遠に死ぬことのない存在のヒマつぶし、という感じなのですが、博士はいつも大切なものを賭けの代償に失っていて疲弊しています。
ある人にとってはヒマつぶしの娯楽、ある人にとっては人生を賭けた真剣勝負。
ギャンブルによって身を持ち崩した人の話はよく聞きます。
すぐにでもお金がいる人は、手を出しやすいためかもしれません。
それはともかく、ニックとの賭けで5人のお客を正しい方向に誘導しなければいけなくなったパルナサス博士に、トニーはまずお客を呼び込むことを第一に考えます。
年季が入ってボロボロのみすぼらしい舞台、衣装も古めかしくてボロッちい。
そしてショーを行う場所も華やかさがない。
トニーはそれらを指摘して全面的に大胆リニューアルすることを主張します。
パーシーは反対して食ってかかりますが、トニーは「変化を恐れてはダメだ」と説きます。
トニーの提案で舞台も衣装も場所も大きく変え、鏡の中ではトニーがお客を誘導しました。
おかげで立て続けに4人のお客が博士の望む方向に進んで賭けをリード。
ニックは歯噛みします。
商売が上手くいかないときが一番分かりやすい例ですが、停滞している状況のときはやはり何か変化をつける必要性が出てきます。
かなり長い期間それでやってきた、という人は変化をつけることを怖がりますが、売り上げが下がっていたりしたら死活問題になってしまいます。
先を見る目と時代を読む意識で持ち直すことが出来ると思います。
ITが出てくる前から農業に従事してきて、そういったものとは無縁だと思われていたご年配の方も、今やパソコンやスマホの使い方を覚えて農作業の記録をつけたりネット販売のホームページを作って販路を拡大して業績を伸ばしています。
80代の方がアプリを開発したり、LINEスタンプを作成してかなり儲けを出した、などの話を聞くと、恐れずに時代の変化の波に乗ることがいかに人生を充実したものにするかを教えられている気がします。
時代に合った行動を取ることが大切ですね。
謎が多くある作品のため、最初に観たときは難解で取っつきにくさを感じました。
ラストに近づくにつれ謎が解けていき「ああ、そういうこと」と納得がいって、それから結局もう一度序盤を見返して伏線の部分を解明できた次第です。
それでもまだミステリアスな部分が多数あり、もしかしたら観客側の解釈に委ねられているのかもしれません。
タロットカードの「吊るされた男」がトニーを示唆しているようだけれど、あのカードの男は足首を括られて逆さまに吊るされています。
だけどトニーは首を括られているから、おかしいなとか。
エンドロールが終わったあと、トニーの電話の着信音が鳴るけれど、あれはどういうことなのか、など不可思議でちょっと不気味さがある興味深い作品でした。
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