映画「駅馬車」あらすじと感想【ネタバレあり】女性の扱いは平等に
1939年公開の傑作西部劇です。
ジョン・フォード監督とジョン・ウェイン主演の初タッグ作になります。
同年公開の「風と共に去りぬ」で主人公の父を演じたトーマス・ミッチェルが、今作でアル中の医師を演じてアカデミー賞助演男優賞を獲得しました。
一台の駅馬車に乗り合わせた多彩な人物たちの人間ドラマと、迫力あるアクションシーンで、娯楽作でありながら名作としての評価も高い作品です。
あらすじ
1880年代。アリゾナ州トントにて、アパッチ族のジェロニモの襲撃が近隣の集落で起こっているという電信が保安官事務所に届いた。
その集落は折しもニューメキシコ州ローズバーグ行きの駅馬車が停車するステーションになっている。
保安官のウィルコックは駅馬車の御者・バックに、最初の停車場であるアパッチウェルズまで騎兵隊の護衛をつけると申し出た。
御者席のバックの隣にウィルコックが座ることになる。
乗客たちも集まってきた。
婦人連盟に目をつけられて町を追い出されたアル中医師・ブーンと酒場の女ダラス。
二カ所目の停車場ドライフォークに駐屯している騎兵隊大尉の夫に会いに行くマロリー夫人。
酒造メーカーのセールスマン・ピーコック。
ギャンブラーのハットフィールド。
彼らを乗せた馬車が出発してすぐに、預金を横領して逃亡を図る銀行家ゲートウッドも途中で乗り込んできた。
狭い馬車にすし詰め状態になっている彼らの空気は重い。
酒好きのブーンがピーコックの酒目当てで懐いているくらいだ。
葉巻を吸えばマロリー夫人が苦しそうにし、ハットフィールドに怒られる始末だった。
それでも護衛団をつけた馬車は、なんのトラブルもなく軽快に目的地まで走っていく。
広野を駆ける途中で、脱獄犯のリンゴ・キッドが乗車を所望した。
ローズバーグまで行く途中だったが、馬が潰れてしまったのだという。
ウィルコックは後で逮捕するためにリンゴも馬車に乗せた。
リンゴの目的は、ローズバーグにいる父と弟の仇・プラマー三兄弟に復讐するためだった。
ウィルコックもそのことは気づいている。
ますます狭くなった車内だが、リンゴの明るい気質で空気が若干緩和する。
滞りなくアパッチウェルズに到着するが、ジェロニモの襲撃を恐れて住民たちは逃げる準備をしていた。
護衛もここまでだ。
駅馬車も引き返すか、護衛なしで進むか、選択を迫られる。
危険は多いが、ほとんどの乗客は引き返せない事情があり、結局馬車は前進することにした。
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感想
この後からどんどん面白くなります。
気位の高いマロリー夫人ですが、実は妊娠しているため気分が優れないこともあって人を寄せ付けない雰囲気を持っています。
そんな高貴な振る舞いが、ますますハットフィールドのお気に召して、同じ女性でありながらダラスとの格差を顕著に生み出していました。
ダラスは気のいい優しい女性なのですが、下賤な商売女と見られて彼らからは邪険にされます。
そんなダラスを気にかけるリンゴの優しさが、めっちゃいい!(・∀・)
リンゴ同様ダラスも家族を殺されていて、女性の身ではリンゴのように復讐も出来ず、生きるために娼婦に身を堕とした、という背景があります。
ストーリーのターニングポイントになるのは、二つ目の停車場ドライフォークにてマロリー夫人が出産するところです。
ここで、ずっと酔っ払っていたダメ医者のブーンが、必死でアルコールを抜いて赤ん坊を取り上げます。
そこからもうブーンのターン⊂二二二( ^ω^)二⊃ ブーン
という感じで、クライマックスのアパッチ襲撃では銃で応戦し、ローズバーグではリンゴの前に酒場でプラマー兄弟と対峙してショットガンを置いて行くように脅したり。
しかもラストではウィルコックと一緒にリンゴとダラスを送り出したりなんかしちゃって…
前半と打って変わってカッコいいな、おい Σ(゚Д゚)!
ビール腹の太ったオッサンなのにイケメンに見えてくる不思議。
なんて美味しい役だ。
そしてドライフォークでは、疲れ切ったマロリー夫人に替わってダラスが生まれたばかりの赤ん坊を抱いて、母子ふたりとも世話をします。
リンゴも彼女にプロポーズ。
アパッチ襲撃でも、彼女は赤ん坊はじめ皆を守ろうと自分の背中で窓を塞いで赤ん坊を抱きしめます。
この勇気ある優しさがヒロインらしい (´▽`*)
このアパッチ襲撃のシーンは、CGがない時代であることを考えるとかなり命がけのスタントだったと思います。
ものすごい迫力ですから。
馬や車輪に轢かれてもおかしくない状況だし、リンゴが6頭いる馬車馬の先頭馬まで移動する有名なシーンなど、スタントマンたちの運動神経には目を見張るものがありました。
正直このシーンが凄すぎて、ローズバーグに着いてからのプラマー兄弟との決闘が蛇足に思えてしまった(;´∀`)
でも綺麗なまとまり方になっています。
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