映画「セイブ・ザ・タイガー」あらすじと感想【ネタバレあり】哀愁のスコッチ

ジャック・レモンがアカデミー主演男優賞を獲得した日本未公開作品です。
「ロッキー」のジョン・G・アヴィルドセンが監督しました。
レモンと行動を共にする副社長を演じたジャック・ギルフォードも助演男優賞にノミネートされています。
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あらすじ
ベトナム戦争から帰還後、L.A.で服飾メーカーを立ち上げたハリー・ストーナー。
しかし資金難に頭を悩ませていた。
裕福な生活を送っているように見えているが実はカツカツである。
そのことを妻には打ち明けられない。
会社に向かう途中、ヒッピーのヒッチハイカーの女の子マイラを乗せた。
彼女の目的は特になく、ただブラッと一周するのが好きなのだそうだ。
マイラは唐突に、ハリーに「ヤる?」と聞いてくるがハリーは断った。
会社に着くと、もうすぐ行われるショーのために、皆せわしなく働いている。
古株と新人がいがみ合っているのも、ハリーにとっては頭痛の種だった。
そして社長室に着き、副社長のフィルと資金繰りについて話し合う。
前回のピンチでは帳簿を誤魔化して乗り切ったが、もう銀行も貸してはくれない。
そこで、裏組織の人間に頼んで会社に放火してもらい、保険金をせしめて乗り切ろう、というアイディアをフィルに話すと、非難の目を向けられた。
そこにフレッドという投資家がやってきて、前にも相手をした娼婦マーゴをあてがうことで資金を提供してくれる、と申し出てきた。
ハリーは難色を示しながらも、その要求を受け入れる。
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感想
70年代のL.A.の光景… スモッグが覆って空気が濁っています。
それがこの映画の雰囲気に合っていました。
お金のことが常に頭から離れず、苦悩するハリーと傍で難しい顔をするフィル。
ある朝から翌朝までの短い時間の中で、会社経営者の悲哀を描きだします。
得意先に女性をあてがう性接待が当たり前だった悪しき時代。
断るマーゴを説き伏せてフレッドの相手をさせますが、なんとフレッドは最中に心臓発作を起こしてしまいます。
個人的には「ざまぁwww」なんですが、フレッドから資金援助をしてもらうつもりだったハリーは大慌て。
援助どころかフレッドの治療費もハリーが出すことに。
肩を落とすハリーは、自社の新作発表ファッションショーでの挨拶の最中、観客が戦死した兵士たちの姿に見えて言葉がたどたどしくなります。
戦争帰りのフラッシュバックが、この困難な時期にやってきて、ますますハリーを追い詰めました。
結局、ハリーは最初のアイディアどおり、会社を放火してもらうことに決めます。
昔はもっと夢を持って希望に溢れていたのに、いつからこんな風になったのだろう。
そんな吐息が、夜に再会したマイラとの会話や、野球に興じる少年たちを眺めるラストシーンから伝わってきました。
作中では何度かスコッチを傾けるシーンがあります。
富裕層が好むものの象徴かもしれないけれど、苦い。
夜遅くに一人で残業していた古株のパタンナーとも酌み交わし、枯れた会話になります。
スコッチはやはり、渋さが出た年齢の人が静かに飲むのが似合いますね。
哀愁漂う大人の映画でした。
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