映画「メトロポリス」 (1927年) あらすじと感想【ネタバレあり】
SF映画の原点にして頂点、といわれているフリッツ・ラング監督の近未来サスペンスです。
影響を受けたクリエイターは数多く、劇中のアンドロイドは「スターウォーズ」のC3POのモデルになっていますし、未来都市の構造はその後のSF作品では定番ともいえる景観になっています。
クイーンの「ラジオ・ガ・ガ」のMVは、この映画のシーンをかなり使用しています。
そしてニコ動名物「VIP先生」… (;^ω^)
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あらすじ
未来都市 <メトロポリス> は、労働者階級と富裕層がはっきり区別されている。
地下深くに労働者の街があり、交代制で昼夜問わず都市のインフラの動力を動かしている。
地上は「御曹司クラブ」と呼ばれる富裕層たちが快適に生活を営んでいた。
メトロポリスの支配者はジョー・フレーダーセン。
暴君な独裁者である。
しかしその息子フレーダーは、労働者階級の聖女マリアに一目惚れ。
彼女を追って地下街に入り込み、初めて労働者たちの実態を目の当たりにした。
危険域を超えた炉の爆発が、邪神モロクの贄にされている人たちに見えてショックを受ける。
フレーダーはすぐに父がいるバベルの新塔に行って爆発のことを伝えた。
息子が労働者たちに同情していることがジョーには気がかりだった。
その直後、心臓機械部の責任者グロートが、不審な地図を労働者たちが持っていたことを報告に来る。
爆発のことも地図のことも把握していなかったジョーの秘書ヨザファートは解雇されてしまった。
フレーダーは自分が彼を雇うことにし、住所を書いたメモをポケットに入れた。
そして地下に行き、より労働者の実態を探ろうとする。
ジョーはスパイを雇い、息子の行動を逐一報告するように命令。
スパイは地下の駐車場でフレーダーの車を見張る。
地下に来たフレーダーは、過労死寸前の労働者11811号の代わりに働くことにした。
服を取り換え、11811号はヨザファートの自宅に向かうよう言われるが、服に大金が入っているのを見て歓楽街ヨシワラに行ってしまう。
その頃、中心街に住む発明家ロートヴァングの元に、ジョーが地図の判読を頼みに訪れた。
ロートヴァングは、ジョーの妻ヘルを愛していたが、ジョーに奪われたことで恨んでいる男だ。
彼女はフレーダーを産み落として亡くなっている。
その彼女の復活を願ったロートヴァングは、ついに女性型アンドロイドを完成させたのだ。
そして11811号に成りすましたフレーダーは労働者たちの集会に参加。
そこで教義を説くマリアに再会する。
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感想
この映画の格言「頭脳と手の媒介者は心でなくてはならない」。
一見わかりにくい表現なのですが、観ていくうちに理解できます。
知性だけではダメ。体力だけでもダメ。そこに心が伴わなくちゃ。
シンプルすぎる言い方にするとこうなるわけですが…
映画では、資本主義と共産主義の間に中立の人が入って仲を取り持つのがベストだと解いています。
こうして考えると、あらゆる物事は2つの事柄をどちらかに偏らせるのではなく、三位一体となっているのだな、と気づきました。
天秤にだって秤を支える支柱が真ん中に必要だし、タロットカードの「正義」も女神が天秤を持っていますものね。
「オズの魔法使い」では知性が欲しいカカシと勇気が欲しいライオンの間に心が欲しいブリキが入りますし、桃太郎のお供もまた知性のサル・勇気のキジの間に忠義 (心) のイヌがいることでバランスが保たれています。
…犬猿の仲にキジが入ってバランスが取れているという解釈もできますけどね (;^ω^)
黙示録からの引用も含めて深いテーマを持った映画だと思います。
このテーマに合わせてストーリーも壮大で、かなり面白いです。
労働者たちの集会を見たジョーは、アンドロイドをマリアの姿にして労働者たちの間に亀裂を入れようとします。
だけど命令されたロートヴァングは、逆にジョーとフレーダー、そしてメトロポリスの破滅をアンドロイドに命令しました。
大淫婦バビロンをモチーフにしたレプリカ・マリアは、御曹司たちも労働者たちも扇動して、都市機能の破壊に向かわせます。
↓そのシーンがこんなネタになりましたw
レプリカの悪行により本物のマリアはピンチに陥り、助けようとするフレーダーにロートヴァングが立ちはだかって、後半は息を呑む展開が怒涛のように押し寄せます。
かなりお金をかけたであろう技術と演出力を駆使した画面作りで、どのシーンも見ごたえあり!
スピード感とスリルに、どんどん映画の中に惹きこまれていきます。
すごい映画でした。
まだ見つかっていない部分のフィルム、見つかるといいなぁ。
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