映画「マルケータ・ラザロヴァー」あらすじと感想【ネタバレあり】ピュアな少女じゃいられない
チェコ映画最高傑作と言われている1966年の歴史映画です。
日本では2022年に初めて公開されました。
548日間も、極寒の山奥での撮影を敢行したという、気合の入った作品です。
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あらすじ
13世紀。
盗賊一家でもあるロハーチェック領主コズリークの息子ミコラーシュとアダムは、厳冬の山中を行く伯爵一行を襲い、伯爵の息子クリスティアンを人質として連れ去る。
クリスティアンはヘナウの次期司祭になる人物である。
逃げ出した一行が残していったものを取りに行くと、隣の領主ラザルが漁っていた。
敬虔なキリスト教信者のラザルには、修道院に入ることが決まっている娘マルケータがいる。
ミコラーシュはラザルを殺そうとするが、神罰を望む言葉をぶつけられて結局見逃してしまった。
家に戻ると、大勢の兄弟姉妹たちが待っている。
実の兄妹でありながら、アダムとアレクサンドラは関係を結んでいた。
アダムが片腕を失くしたのは、父に関係がバレたときに罰として切り落とされたためだった。
それでも二人の関係は続いていたが、アレクサンドラは人質として連れてこられたクリスティアンと恋仲になる。
コズリークは交渉のためボヘミア王直属の軍隊長ビールに会うが、すでに王の怒りは限界を超えていると言われて投獄されそうになったところを命からがら逃げ帰ってきた。
ミコラーシュはラザルの元に行き、これから攻め入ってくるビール率いる王の軍を一緒に倒そう、と持ち掛ける。
しかしラザルは拒否。
それどころかラザルの親族の男たちはミコラーシュを袋叩きにして追い出した。
物陰から見ていたマルケータは、父が追い剝ぎしていたことにショックを受ける。
そして血を流しながら帰って行ったミコラーシュのことが気になっていた。
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感想
初めてのチェコ映画で、見慣れない人たちばかりだったため、最初は人物の区別がつかず難解に感じました (;´Д`)
コズリークが子沢山なこともあり登場人物が多いんです。
しかもナレーションなのかセリフなのか分かりづらいため、状況が掴めないこともしばしばでした。
それでもストーリーの流れは一応追うことはできます。
印象的なシーンも多く、詩的なものを感じる映像美も見どころです。
王の軍勢が攻め入ってくるのを見越して、コズリーク家族は家を捨て山中に砦を築きます。
砦に移る前、ミコラーシュはアダムたちを連れてラザルに復讐します。
彼の敷地に押し入り、マルケータを連れ去りました。
マルケータは凌辱されますが、ミコラーシュを愛するようになります。
自分を汚した相手を好きになる… 最初は「男の幻想だなぁ」と思いましたが、ストックホルム症候群のようなものなのかな、と思い直しました。
凌辱された後、マルケータはコズリークに「アバズレ」と罵られて “釘の靴” を履かされそうになるのです。
ミコラーシュは父に逆らって彼女を助けました。
以前ラザルの敷地内で袋叩きに遭ったとき、マルケータが彼を心配して止血しようとしてくれたことを覚えていたのかもしれません。
なのに手籠めにするという鬼畜ですが、こうでもしないと彼女を手に入れることが出来なかった。
そんな不器用さを感じました。
マルケータは近く修道院に入る予定でしたから。
ミコラーシュのやり方はかなり卑怯だし肯定する気はないけれど、ピュアなだけではいられなくなったマルケータの心の成長を最後まで見せてくれました。
ミコラーシュが死に、父に捨てられ、修道院の教えに反発して一人で息子を産み育てます。
拠り所を失くしても逞しく生きていく女性の強さを表現している作品です。
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