映画「9人の翻訳家 囚われたベストセラー」あらすじと感想【ネタバレあり】
ダン・ブラウンの「ダ・ヴィンチ・コード」に連なるラングドン・シリーズ4作目「インフェルノ」。
この作品の翻訳作業を、流出防止のため各国の翻訳家たちを一カ所に集めて行なった事実からインスパイアされたミステリーです。
「タイピスト!」のレジス・ロワンサム監督がメガホンを取り、ベテラン俳優ランベール・ウィルソンやボンドガールのオルガ・キュリレンコ、スペインのトップスターのエドゥアルド・ノリエガなどが揃います。
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あらすじ
世界的ベストセラーミステリー「デダリュス」三部作の最終章「死にたくなかった男」が完成した。
出版権を獲得している出版社社長アングストームは、各国の翻訳を一斉に開始し、全世界同時発売を大々的に宣伝した。
こうしてフランスの片田舎にある洋館に9人の翻訳家が各国から集まってきた。
洋館には屈強な警備員たちが常駐し、アングストームの秘書ローズマリーが案内役を務める。
翻訳家たちは、スマホなど外部と連絡が取れるデバイスを彼らに預けなければならない。
そして翻訳作業は、毎日20ページずつ渡され、翌日に提出。
入れ替わりに次の20ページが渡されて、1ヵ月で全ページの下訳が完了。
次の1ヵ月で推敲をするスケジュールである。
作業する部屋は決まっており、原稿を部屋から持ち出すことは禁止された。
全員戸惑いながらも作業を開始する。
英語翻訳のアレックスは、スケボーに乗って資料を取り、ロシア語翻訳のカテリーナは「デダリュス」ヒロイン・レベッカに感情移入して涙を流す。
彼女は服装・髪型・メイクまでレベッカに寄せている信者だった。
デンマーク語翻訳のエレーヌは家族の写真を机に飾りながら頑張り、スペイン語翻訳のハビエルは腕にギプスをつけている。
この隔離生活の不満を表に出すポルトガル語翻訳のテルマや、イタリア語翻訳のダリオ。
金のためだと割り切って黙々と仕事をするギリシャ語翻訳のコンスタンティノスと中国語翻訳のチェン。
仕事だからと真面目に取り組むドイツ語翻訳のイングリット。
それぞれが自分の仕事に向き合い翻訳を進めていく。
この「デダリュス」の作者はオスカル・ブラックというペンネームしか素性が明かされていない。
しかしアングストームは、古書店の老人パトリックが作者だと知っており、彼と直接契約している。
3週間ほど経ったクリスマス。
彼らはローズマリーも誘って、ボーリングを楽しめる娯楽室でささやかなパーティーを催した。
同じ刻、執務中のアングストームに匿名のメールが届いた。
「デダリュス」の冒頭10ページを流出させた。
500万ユーロを24時間以内に支払わなければ次の100ページも流す。
脅迫文だ。
9人の中に犯人がいると睨んだアングストームは翻訳作業を中止し、各人の部屋を強制捜査。
私物を厳しくチェックし、身ぐるみまで剥がして脅迫犯を炙り出そうとする。
そして9人の間にも疑心暗鬼が生まれてきた。
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感想
発売前の小説原稿がネットで流出される事件。
たま~~に聞きますよね。
待っていればそのうち正規で出るのに、そんな不正行為する必要あるのかな? と不思議になります。
いずれにせよ出版社にとっては死活問題。
流出防止のための苦肉の策だったんでしょうね。
軟禁場所が地下室ってのはヒドイと思うけど (;・∀・)太陽光浴びさせて…
ここまでやって、それでも流出しちゃった「デダリュス」。
真っ先に翻訳者を疑うアングストームですが、パトリックに疑いの目をまったく向けないのが「?」でした。
翻訳者たちが通信ツールをすべて取り上げられている現状、いつでも外と連絡が取れる人が疑わしいと思うけど…
実は彼らの部屋を捜索の名目で物色するのが目的だったんじゃ? とも取れます。
エレーヌが書いていた自作の小説を、勝手に読んで勝手に批評して勝手に破るんだもの。
ひでぇーーー!
持ち込みをしたわけでも応募したわけでもないのに可哀想だわ。
みんな部屋をグッチャグチャにされ、仕事どころか電気も落とされ食事の提供もなし。
狂気のアングストームに振り回される彼らの受難。
励まし合い、結束を固めようとする中で打ち明け話も始まります。
だけどそれがまた新たな悲劇を生み、ついに死人が出てしまいました。
この映画は冒頭のほうから、アングストームと誰かが刑務所の面会室で話しているシーンがチョコチョコ入ります。
アングストームと話すのは流出させた犯人で、途中まで隠されています。
そして話す内容は「どうやって流出させたのか」。
翻訳者たちのほとんどがグルだったグループ犯罪でした。
しかし主犯は実はパトリックと旧知の仲だったオスカル・ブラック本人。
グルだった人たちも、実は「犯罪をしている」と思い込まされていただけで、ブラックの掌の上で踊らされていただけです。
犯罪者は、怒り狂って殺人までやったアングストームのみ。
ブラックなオチに「うまい脚本だな」と感嘆しました。
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