映画「赤い風船」あらすじと感想【ネタバレあり】少年は風船とどこまでも
カンヌ映画祭でパルムドールを獲得した、1956年製作の短編ファンタジーです。
アルベール・ラモリスが自らの脚本を監督し、主人公を監督の息子パスカルが演じました。
娘のサビーヌもワンシーン出演しています。
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あらすじ
パリ20区・メニルモンタン。
学校に向かう少年パスカルは、街灯に真っ赤な風船が引っ掛かっているのを見つけた。
慣れた様子で街灯をよじ登って風船を外したパスカルは、そのまま紐を手に持ってバス停に向かう。
風船を持ったまま乗車することを許可されず、パスカルは走って学校に向かった。
落ち葉掃除をしている用務員に風船を預け、学校が終わってから再び風船を手に家に向かう。
途中雨が降り、傘を持っていないパスカルは、道行く大人たちの傘に風船を入れていく。
自分が濡れるより風船を濡らしたくない。
いろんな人たちの傘を利用しながら帰宅するパスカルだが、邪魔くさい風船を母親が窓から捨ててしまう。
落ち込むパスカルだが風船は彼の部屋の窓辺でジッと浮かんでいた。
それ以来パスカルと風船はいつも一緒にいる。
パスカルの後ろを風船はついて行き、ときどき隠れたり追いかけっこをしたり、とても仲の良い親友同士になっていった。
しかしそれが面白くない学校のいじめっ子たちが風船を奪ってやろうと狙う。
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感想
正味30分ちょっとの映画ですが、ストーリーも映像もとても充実したものになっています。
町も人々の服装もくすんだ色合いで、風船の赤色を鮮明に際立たせている映像が、オシャレな絵ハガキやポスターのよう。
パスカルがまた、上半身すっぽり風船に隠れてしまいそうな小さな子で、たどたどしい走り方や階段の下り方などに無垢な感じが出ています。
ここに彼に懐く大きな風船……
この絵面だけで思わずニヤニヤしてしまうハートウォーミングなファンタジーは刺さります(∩´∀`)∩
風船を街灯から取ったときのパスカルがお尻をプリッと突き出すポーズをしたとき「いわさきちひろさんの絵みたい」と思いましたが、実際にいわさきさん、この映画に感銘を受けていたんですね(;^ω^)
確かにあの柔らかい絵柄とマッチしている世界です。
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風船には当然ながら表情とかないんですが、懐いてくる様子が妙に可愛い。
「ドラえもん」でも、のび太が “石” を飼う話があるんですが、それを思い出しました。
石もやっぱり表情はないのに可愛い。
生き物ですらないのに不思議なものですね。
そんな可愛い風船と男の子を見て癒されるのも束の間、いじめっ子集団が風船を狙います。
昔からあるけど、本当こういうの、なんなんでしょうね…
誰かが大切にしているものを奪って壊して、そして悲しませて喜ぶ。
子供の残酷さがよく出ていますが、大人になってもこういうところが治らない人もいるから困りものです。
誰かの大切な物って、別にそれを欲しいわけではないはずなんですよね。
なのに奪う心理。
正直よく分かりません。
「ジョジョ」第1部でエリナから人形を奪って泣かせた少年たちも、モブだから心情なんて掘り下げられていないし。
後にディオ信奉者になるあたり、ほんとモブくせぇ。
「そこにシビれる!憧れるぅ!」だもんなぁ。
おっと、ついジョジョ方面に脱線してしまった。修正修正(;・∀・)
いじめっ子に石をぶつけられて風船はしぼんでいき、トドメに足で踏みつぶされてしまいました。
この蛮行に傷ついたパスカルの元に、町中の風船が集まってきます。
そしてパスカルはそのたくさんの風船に乗って空に上がって、何処かへ飛んで行きました。
最後までファンタジー!!
このラストシーンに憧れて、風船に乗って行方不明になってしまった「風船おじさん」という人を生み出してしまった、なんとも罪作りな作品です。
パスカルはもう二度と帰らないかもしれない。
彼は人間としては死を迎え、妖精になったのかもしれない。
そんなふうに少しブラックな想像をさせるラストが、やはり絵本のようで童心を思い出させます。
しばらく心に残りそうです。
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