映画「ダイアモンドは傷つかない」あらすじと感想【ネタバレあり】
田中美佐子さんの映画デビュー作です。
相手を務めるのは山崎努さん。
朝丘雪路さん、加賀まりこさんらベテランと、まだ若手だった石田えりさんも出演しています。
新品価格 |
あらすじ
一浪して大学に合格した弓子は、通っていた予備校でバイトしながら、そこの講師・三村と不倫関係にある。
三村の妻・真知子を見てみたい、という好奇心から、同じ予備校の講師で真知子の弟・中山の結婚式に入り込んだ。
真知子に声をかけて三村の娘・弥衣に睨まれるが気にしない。
驚く三村と一緒に、半同棲している一軒家に帰宅した。
この家や家具も三村が買ってくれたものだ。
浪人だった昨年、雨の中で電話している三村に傘を差しかけたのをきっかけに関係が始まった。
電話の相手は愛人の和子。
弓子は興味本位で和子の住むマンションに連れて行ってもらう。
急に若い女を連れて来訪した三村に、和子は戸惑うが、帽子デザイナーの彼女は仕事を続け、三村は慣れた様子で寛いでいる。
それを見た弓子は急に面白くなくなり、和子のことを陰で「ダッシュ」と呼ぶようになる。
正式な妻ではない「妻’」。
そう蔑むことで溜飲を下げるのだった。
そして猛勉強の末、第一志望の大学に合格。
予備校でも家でも、大学にいる時でさえも、問題作成や採点など三村のサポートに精を出す。
ある日、通学途中で和子が経営している帽子店を見つけ、生き生きと働く彼女に嫉妬。
友人たちと一緒に来店し、わざと挑発的に挨拶をする。
三村が和子の家に行っている頃、弓子は男友達の猫宮の誘いで飲みに出かけた。
入れ違いで三村は弓子の家に来て、どしゃ降りの中でまだ帰宅しない彼女を心配していると、弓子は猫宮と一緒にずぶ濡れで家に駆けこんできた。
新品価格 |
感想
一人の男を巡って三人の女たちが対立する。
この構図「人間失格 太宰治と三人の女たち」でも同じですね。
時代を経ても同じようなことは起こるものだと感じます。
三人の中で一番若い弓子は、感情を抑えられず分かりやすい子ですが、他のふたりは大人な分だけ冷静です。
しかし押し殺していた反動はやってきて、真知子は心が壊れて奇行に走ります。
和子も旅行に行って気晴らしなどしていましたが、三村に渡していた合鍵が弓子に渡り「捨ててくれ」と言っていたと聞いて精神崩壊。
一晩中三村家の電話を鳴らし、やってきた三村の顔を靴ベラで一撃しました。
そして弥衣からは、アンタなんて一人で生きて行けばいい、と見捨てられます。
「男には、自分の傘に女を入れてやるタイプと、女の傘に入れてもらうタイプがある。俺は後者のほう」と言って女性に甘えて生きてきた三村の末路は悲惨なものになりました。
20歳以上も年下でありながら三村を甘えさせてきた弓子もまた、自分がまだ精神的に未成熟だったことに気づき、彼との決別を決めます。
別れてくれない、と泣いていた弓子は、自分から別れることをようやく決め、振り切るように歩きます。
話しかける猫宮も無視し、傷ついた顔をしながら、ナイトウォークで黙々と歩く彼女は、この映画タイトル「ダイアモンドは傷つかない」と自分に言い聞かせていたのかもしれません。
硬質で美しく、希少性のあるダイアモンド。
どんなに傷つくことがあっても、自分自身がダイアモンドであると思えば高潔な心でいられるし、強くいられる。
ダメな中年に恋してしまった女性の心情が伝わる作品でした。
弓子に恋する成績トップくんの妄想を映像で入れるなど余計な描写もあって、それが邪魔でしたが、田中美佐子さんが魅力的だし良かったです。
新品価格 |
他 田中美佐子 出演作品
映画「丑三つの村」あらすじと感想【ネタバレあり】どっちもどっち
こちらもよろしくお願いします
映画「さよならみどりちゃん」あらすじと感想【ネタバレあり】ダメ恋にさよなら
映画「人間失格 太宰治と3人の女たち」あらすじと感想【ネタバレあり】
中古価格 |
新品価格 |