映画「にがくてあまい」あらすじと感想【ネタバレあり】野菜が食べたくなるベジタブル賛歌
川口春奈さんと林遣都さんが主演する軽いタッチの同居ものラブ(?) コメディです。
色とりどりの野菜料理がすごく美味しそうで、野菜が苦手でも「食べてみたい」と思わされました。
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あらすじ
広告代理店で働く江田マキは、仕事は頑張っているけれど私生活では部屋も汚いズボラ女子。
特に食生活はひどいもので、野菜の類は一切受け付けない偏食ぶり。
マキの実家は野菜農家なのだが、脱サラして始めた父のせいで母が苦労した、と思っているマキは、父も野菜も大嫌いだった。
仕事を頑張ってきたおかげで、マキは企画を一本まるごと任されることになった。
喜んで受け入れるが、その企画はゴーヤの販売促進関連。
筋金入りの野菜嫌いのマキには荷が重いが、チャンスでもある。
お祝いに飲みに行こうと同僚に誘われるが、野菜たっぷりBBQのお店と聞いて断った。
その日は馴染みのバーのカウンターでマスター相手にクダを巻く。
飲み過ぎを注意され、かなり酔いも回ったところで、店にマキ好みの青年が入ってきた。
うっとり見惚れていたが、彼の手に大量の野菜が入った箱が抱えられているのを見て卒倒する。
美味しそうな匂いにつられて意識を取り戻すと、そこは自分の家だった。
散らかり放題の部屋は部分的に片付けられており、いい匂いはキッチンから漂っている。
自分以外に誰かいる! とすぐに気づいたマキは、モップを武器として持ちキッチンに入った。
そこには料理をしている昨夜の青年が…
マキは彼に何者なのか・何をしているのかと怒鳴りつけるが、マキの格好がパンイチであることを指摘されてスゴスゴと引き下がった。
服を着たマキは彼の鞄を探って正体を突き止める。
名前は片山渚。
都内の高校で教師をしている男性だった。
話を聞くとマスターから住所を聞いてマキを家まで運んでくれたのだという。
作っていた料理を出されて喜ぶが、野菜スープだったので断る。
しかし渚に押し切られ、いやいや口をつけると、思いのほか美味しかった。
そしてマキは現在、早急に引っ越し及び同居人を必要としており、それを渚にお願いした。
渚が突きつけた条件は、料理は渚が担当する。
そして渚が作る料理を残さずに食べること、というものだが、実は渚はガッチガチの菜食主義者。
マキは青ざめるが背に腹は代えられず条件を受け入れる。
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感想
ズボラが災いして現在フリーのマキですが、同僚からは彼氏持ちだと思われています。
マキも同居を同棲と匂わせたり、渚の名札を見つけたとき、会社に間違って持って行って「ステキな彼ね~」と羨ましがられる妄想をしてニンマリ。
渚が作ったお弁当も、料理男子の彼とかステキ~、と実際に羨ましがられます。
実際渚はマキの好みだし、本当に彼女になろうと奮闘しますが渚はゲイ。
女に全く興味がないと言われて絶望的な状況ですが、男装までしてアタックを仕掛けます。
そんなわけで同居はしていても付き合ってはいない関係ですが、同僚たちには彼氏だと思わせておき、あわよくばそれを事実に変えようとしています。
えーと、ありますね、女性ばかりの会話でフリーであることを隠したくてエア彼氏をでっち上げて逃げようとすること。
マキはでっち上げるとまではいっていませんが、同僚たちの誤解をあえて訂正しないので、まあ、同じ感じです。
渚は生身の人間なので厳密にはエアではないですが、マキの中では2.5次元男子に近いカテゴリーに入っていると思います。
だからなんとなく少し現実の渚とは違うマキの理想も入っており、仕事で躓いた時に渚を押し倒して慰めてもらおうとしました (行動まですごい肉食だな…)
しかし渚はマキの想像どおりの優しさなど発揮できず、執拗に抱き着くマキをなんとか引っぺがそうとします。
かように自分の脳内のエア彼氏を現実の人にしてしまうと、理想と実像のギャップが出てきます。
だけど完全妄想もしくは二次元となると、見た目も中身も完全自分好みにカスタマイズされているので、理想が高くなりすぎて現実にガッカリすることになってしまうことも…
妄想は楽しいです。
だけどエアとあまり仲良くなりすぎないように気をつけて(;^ω^)
「苦い思いも栄養素」というのが、この作品のテーマです。
仕事が上手くいかず押し倒した渚にしがみついてマキはひとしきり泣きじゃくりますが、渚は「離れてほしい…」という気持ちが先だって上手いことが言えませんでした。
その後、部屋で落ち込んでいるマキのところに行き、扉越しから「苦い経験もうまく料理して栄養に変えてしまえばいい」と一言だけ伝えていきます。
その一言がヒントになって打開策を思いつき、マキは渚に感謝し、協力をお願いしました。
汚料理しか作れない私は知らなかったのですが、ブロッコリーなどの一番固い芯の部分は、苦いけれどもそこに栄養素が詰まっているんだそうですね。
だから捨てるより上手く調理して体に取り入れたほうがいいのだそうです。
良薬は口に苦し、にも通じますが、人生経験もまた苦いほうが後々の糧になる、という上手い教訓だと思います。
その渦中にいるときは苦しくて辛くて「なんでこんな目に遭うんだろう」と理不尽さに打ちのめされそうになりますが、実際その経験は忘れた頃に役に立つことがあります。
活かすか殺すかは自分次第ですが、好きなように料理してその経験から得たことを吸収、そして栄養分に変えてしまいましょう。
苦い経験こそが将来の自分を助けてくれることになるはずです (たぶん…)
邦画にはよくあることですが、この作品もコミックが原作です。
そのため端折っている部分がかなり多くあるようで、全体的に説明不足を感じました。
マキが引っ越し&同居人が必要なことも、渚がお兄さんの死に責任を感じていることも、いまいち理由がわからず、とりあえず「らしい」という言葉を後ろにつけて先のストーリーを進めましたが、結局真相はよく分からず仕舞い。
原作未読でも「これは表面的事象をなぞっただけだな」と分かります。
なので感動はとくに生まれません。
だけど全体の空気感は悪くないと思いました。
あまり考え込まずに、まったり観るタイプの作品です。
恋模様も、マキは渚が好きだけど渚は後輩の体育教師・馬場園が好き。
でも渚をゲイの道に引き込んだアラタも現れて… と、いったい何角関係なんですか! とツッコみたくなる賑やかさが楽しかったです。
野菜たっぷりの美味しいシチューでも食べながら観たい映画ですね。
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