フジテレビ女子アナのタレント化の走りが見えるサブカル本「アナ本」

フジテレビが無くなる瀬戸際になっている今現在。
うちの本棚にはなぜか、フジテレビの女性アナウンサーにスポットを当てた「アナ本」というタイトルの本があります。
昭和62年発刊なので1987年に出版されたものです。
笠井信輔アナがまだ「新人」として写真に載っています。
そして社屋もまだ四谷にあり、社長も鹿内さんでした。
もう40年近くも前の本ですが、改めて読んでみるとフジテレビの女子アナがタレント化していった流れが見てとれます。
この本を出したきっかけが、新年の深夜番組に出演してくれるタレントがいなかったためフジの女子アナが振り袖姿で勢揃いし、OLらしいおしゃべりを繰り広げたら視聴率が良かったから、なのだそうです。
もっとも、その前から吉崎典子アナが「テンコちゃん」の愛称で呼ばれていたり、益田由美アナが「ひょうきん由美」と言われたりしていましたが。
この時期あたりから加速度的にタレント化が進んだ気がします。
本の中では、アナウンス業務がないときには新人アナ (この時期は阿部千代アナと岩瀬恵子アナ) が茶碗を洗ったり備品を取りに行ったり、など会社員らしい仕事もしていると紹介されていました。
朝6時からの番組に出演している中村奈緒美アナの一日のルーティンを紹介していたり、テレビ出演中の七転八倒ぶりを披露したり、と裏側が知れて面白い反面、庶民的になりすぎているきらいがあります。
そして現在でも続く無茶ぶりも発揮されており、この時点で「断れない立場の彼女たちを上の立場の者が命令する」がすでに発動。
ヤクザの襲名式に一人でインタビューに向かわされた三竹映子アナはさすがに可哀そう…
無事でよかったけど、彼女に何かあったら責任とれていたのだろうか? と甚だ疑問です。
とりあえず視聴者に親しみを持ってもらいたい、というポジティブな気持ちから始まったタレント化だったとは思うのですが、皆さんご存じのように行き過ぎてしまってアナウンサーの質が落ちたことは否めません。
さらには接待要員として使っていたのであれば、なおのこと向上が見込めるはずもなく…
そして接待から性加害へと移行して現在に至る、というところでしょうか。
この本の頃から40年近くの間、フジテレビは絶頂期を迎え、そして徐々に衰退して凋落していきました。
本の最後のほうには「あなたのフジテレビ度チェック」というYes / Noコーナーがあります。
いくつか抜粋しますと
〇「軽薄のどこが悪い?」と思う
〇わりと出たがりな性格である
〇楽しくなければ人生じゃないと思う
〇物事をあまり深く考えるのは苦手だ
〇流行に流されやすい
〇部下にだって平気で奢ってもらえる
〇芸者の腰巻きにサインしたことがある (某部長がしていたそうです)
〇テレビは視聴率がすべてだ!と思う
もう大体どんな職場か分かりますね…
この意識のままずーーーーーーっとやってきたんですよ。
それが一気に爆発したのが今なのでしょう。
このチェックの中に、こんな文章も混ざっていました。
〇人生、一歩間違えるとどうなっていたか分からないとつくづく思うことがある
今一度フジテレビの人たちはこの言葉を噛みしめてください。
こちらもよろしくお願いします
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