映画「運命じゃない人」あらすじと感想【ネタバレあり】ときめく夜・震える夜・隠れる夜
「鍵泥棒のメソッド」の内田けんじ監督作品です。
主演は今年7月に急逝した中村靖日さん。
他、山中聡さん、山下規介さん、板谷由夏さん、霧島れいかさんなどが出演。
一晩の出来事を、複数人の視点から追うコメディです。
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あらすじ
婚約者の浮気を知った桑田真紀は、婚約破棄し、彼と同棲していたアパートを出た。
質屋に持って行った婚約指輪は二束三文にしかならず、レストランで途方に暮れる。
そこで彼女に声をかけてきた男性がいた。
「一緒に食べよう」と誘われて、その男二人連れのテーブルに嬉々として移る。
気弱なサラリーマン宮田武は、半年前に購入したマンションを「明日のデートに使わせてくれ」と会社の先輩に頼まれる。
ゴリ押しに負けて了承してしまった。
仕事が終わり、そのマンションに帰宅すると、友人の神田勇介から電話がかかり「今から会おう」と言われる。
断ろうとするが、元カノの倉田あゆみについて話したいことがある、と言われて了承した。
待ち合わせ場所のレストランに、神田のほうが遅れてやってきた。
電話をかけて来たとき小声であったが、今は息が上がっている。
仕事中だったと言っていたが、肝心のあゆみのことは「今度結婚するらしい」という、拍子抜けするほど些末な内容だった。
もう別れて半年。
彼女の荷物はまだ宮田のマンションに残っていた。
そして新しい恋を勧める神田は、後ろのテーブルに一人で座っていた真紀に声をかける。
宮田の隣に座った真紀がメニューを見ている間に、神田は「トイレ行ってくる」と席を立つ。
しかし数分しても戻らないため宮田がトイレを見に行くと、神田は姿を消していた。
電話すると神田は「仕事が入った」と言い、真紀と上手くやるように応援して電話を切る。
そして行く当てのない真紀を、宮田は泊めることにし、以前あゆみが使っていた部屋に案内した。
そこへあゆみが急に来訪し、荷物を取りに来たと言って上がり込んでくる。
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感想
この後、真紀はホテルに泊まると言ってマンションを出て行き、宮田はあゆみを残したまま真紀を追います。
そしてタクシーを必死で追いかけ、彼女の電話番号をゲットしました。
勇気を出した自分に大喜びする彼で宮田編は終了。
帰宅したときにトイレのドアが半開きになっていたことや、喜ぶ宮田の傍を通り過ぎる車の運転手が窓から腕を出しているガラの悪さが気になります。
これらは、次の神田編、その次の浅井編で繋がりました。
神田は出てきましたが、浅井とは、あゆみが現在付き合っているヤクザ組長です。
あゆみは実は結婚詐欺師。
宮田は貯金はたいてマンションを買ってしまったため取れるお金が無くなりあゆみは去ったのです。
ちなみに「あゆみ」もどうやら偽名のようで、浅井には「ヨウコ」と名乗っていました。
彼女が浅井の金を持ち逃げし、探偵の神田に助けてもらおうと転がり込んできたことで、この夜は始まります。
宮田編で飄々として見えていた神田は、実は危険で恐怖な一夜を過ごしていました。
そして浅井は、組長のメンツを保つために無理している男です。
金欠でも気前のいいところを見せないといけない。
なのにお金を持ち逃げされで大ピンチ。
三者三様の事情を持つ男たちですが、全員あゆみに翻弄されています。
それが彼らの繋がりとなり、特に宮田と浅井などは、互いを知らないにも関わらず密接な関係性になっています。
幸せだったり不幸だったり、夜の過ごし方が人それぞれなことは現実でもそうです。
新しい恋の予感にときめく宮田。
恐怖に震える神田。
宮田のマンションのベッド下に隠れてまで金を取り戻そうとする執念の浅井。
同じ事象でも人の視点が変わることで全く別の様相を呈しています。
それらをうまく絡めて構築したストーリー展開が面白い作品でした。
全員ちゃんと収まるところに収まって、スッキリした翌朝を迎えます。
真紀と宮田がどうなるかは、観客に任されました。
映画を数多く観ていると「目新しいシチュエーションではない」と感じますが、それでも楽しんで観られました。
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