映画「モン・パリ」あらすじと感想【ネタバレあり】腹がコレでして… by 40代・男性
ジャック・ドゥミ、カトリーヌ・ドヌーヴ、ミシェル・ルグランのお馴染みトリオの最後の作品です。
プライベートでもドヌーヴのパートナーだったマルチェロ・マストロヤンニが主演を務めます。
ふたりの間にはキアラ・マストロヤンニが生まれました。
「肉体の悪魔」のミシュリーヌ・プレールが、ちょっとエキセントリックな女医さんを演じています。
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あらすじ
自動車教習所の教官をしているマルコ・マゼッティは、次の予約を待っているときに急に頭が痛くなる。
事実婚パートナーで美容師のイレーヌから電話が来て、ふたりの間にいる息子ルカが映画に行きたがっている、と言われたが、この頭痛では無理だ。
しかし薬局で薬を購入し、友人から人気歌手ミレーユ・マチューのリサイタル券をもらったことで、夜は3人で劇場に向かうことにした。
その前に腹ごしらえをするが、家政婦が用意してくれた夕食はまた今日もチキン。
いつも同じメニューなことにイレーヌは食べながら文句を言う。
そして楽しみにしていたリサイタルだったが、今度はお腹の具合がよくないマルコは中座し、結局途中で帰宅することになった。
何か重大な病気なのではないかと心配するイレーヌから紹介された医者の元にマルコは出向く。
その女医からは専門医のところに行くよう指示された。
そして発覚したマルコの妊娠。
ずっと男性の妊娠について研究をしていた専門医ショーモンは、女医と顔を見合わせて喜色を浮かべる。
「これは人類が月面を歩いて以来の重大な出来事」
ショーモンはそう言ってマルコの出産を全面的にバックアップすることを約束。
そしてマスコミに大々的に発表してしまった。
感想
世界初の妊娠男性、とマルコは一躍時の人になります。
マタニティウェアを手掛けるアパレル企業とのタイアップでモデルになったり、トークショーには着飾ったイレーヌと一緒に登場したり、新聞や雑誌の取材…、とスケジュールが大変なことに。
世間の狂騒もかなりのもので、いろんなところで人口増加問題が取り上げられ、世界中で妊娠の兆候がある男性たちが出没します。
人間のノセられやすさが容赦なく描かれていますね~ (≧▽≦)
冷静になれば人体の構造的に男性の妊娠は不可能だと分かるんだけど、周りの喧騒に影響されて正常な判断ができなくなる集団心理のバカバカしさを、コミカルなオブラートに包むことで辛辣さを抑えている演出になっています。
権威のある肩書の人が言ったことだから。
前例ができたことで安心したから。
他の人たちもそう言っているから。
こうした理由で嘘っぽいことも信じ込み、そして大騒ぎ。
私もそういうタイプなので、気を付けようと思います (/ω\)ハズカシイ…
そんな周囲が色めき立つ中、マルコもイレーヌも、一般人から有名人としての振る舞いに変化していきました。
堂々としているけれど、まだ慣れてないから浮足立った感じもあります。
でも告げられた残酷な真実。誤診。
もう恥ずかしくて世間に顔向けできない、と落ち込むマルコとイレーヌですが、もっと恥ずかしい気持ちでいるショーモンが彼らを慰めます。
う~ん、ファンタジーとしてマルコには出産してもらいたかったなぁ…
ここで「逃げ」をしてほしくなかった。
ラストはマルコたちの結婚式。
そこでイレーヌが妊娠の兆候を伝え、道端に落ちていた「マルコの妊娠をトップニュースに持ってきている新聞」が泥水と一緒に掃除されるところで終了です。
あれだけ大騒ぎしていた人々の関心はすでに無くなり、マルコたちも普通の幸せに落ち着く。
人の噂も七十五日、を感じさせるちょっと皮肉が入ってるけれど温かいラストでした。
しかし… 今回のファッションは酷かった (; ̄▽ ̄)
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