映画「舞踏会の手帖」あらすじと感想【ネタバレあり】思い出は美しく…
ジュリアン・デュヴィヴィエ監督が代表作「望郷」に続いて撮ったヒューマンドラマです。
主演はマリー・ベル。
彼女が次々と会っていくのは、ルイ・ジューヴェ、ピエール・ブランシャールなど、当時の日本でも人気があった俳優たちです。
フランソワーズ・ロゼーも顔を見せています。
あらすじ
ナポリの湖畔にある城で暮らしていたクリスティーヌは、最近夫を亡くしたばかりである。
遺品の整理をしていると、懐かしい手帖を見つけた。
そこには、16歳のときの初舞踏会で彼女に求婚してきた男性たちの名前が綴ってある。
夫を亡くし、子供も友人もおらず目標を見失っている彼女は、ここに書かれた旧友たちを訪ねる旅に出ることにした。
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感想
20年という年月は、あっという間なようで結構な変化があります。
クリスティーヌが最初に訪れたのは、ジョルジュという青年の家です。
しかし彼は亡くなっていました。
そして母親はおかしくなっています。
ジョルジュは実はクリスティーヌの婚約がショックでピストル自殺をしていたのです。
彼が命を絶った1919年12月14日から、母親の時間は止まっていました。
これはクリスティーヌもショック( ゚Д゚) 自分のせい…?
失恋のショックで自殺するウェルテルかぶれが流行した頃でしょうか。
厳しいこというけど迷惑なやっちゃ。
2番目は弁護士志望だったピエール。
今は弁護士を辞めて、名前もジョーに変更。
キャバレー経営者 兼 窃盗団一味、という夜&裏社会の帝王になってます。
成り上がってんだか、成り下がってんだか、わからないポジションっすね
( ̄▽ ̄)
クリスティーヌとの再会で20年前の純情さを取り戻しましたが、時すでに遅し。
警察に連れていかれてしまいました。
ちなみにこのパート、パイオツ見れます。
白黒映画でティクビ観たの初めてです。
3番は20歳近く年上のアラン。
音楽家でしたがクリスティーヌに失恋した後、神父になって子供合唱団を率いていました。
もう女性との関係を望んでいません。
4番目のエリックは現在、山岳ガイド。
彼とは旧交を温められそうな雰囲気になりましたが、雪崩の遭難者救助を優先させた彼に、クリスティーヌはガッカリして去ります。
…救助しない人のほうが私はイヤだけど、考え方が違うんですね。
5番は大統領を目指していたフランソワ。
現在は町長に収まっており、本日めでたく結婚式です。
が、お相手が女中だったこともあってか、すんごいパワハラ三昧。
でも新妻も負けてません。
新婚なのに熟年夫婦に見えるケンカップルです。
仲が悪そうで実は良い。
この二人の間に入れず、クリスティーヌは披露宴後にそっと立ち去ります。
6番目のティエリーはかなり危険。
医者だったんだけど、サイゴンで片目が潰れ、今は内縁の妻にDVしまくるサイコパスになってました。
クリスティーヌは彼にいい精神科医を紹介しようとするのですが、発作を起こして手が付けられなくなったため、妻がクリスティーヌを追い出します。
その直後、ティエリーは妻を殺害。
新聞沙汰になりました。
7番目は地元で美容師になっているファビアン。
結婚して子供たちにも恵まれ、一番幸せな生活をしています。
今夜、20年前と同じ場所で舞踏会が開かれるから一緒に行かないか、とクリスティーヌを誘います。
蘇る20年前の記憶。
シャンデリア、カーテン、優雅な紳士・淑女たち…
しかし今見ると、ショボッ。
「初めての舞踏会」ということで、記憶は美しく改ざんされていたんですね~。
あるあるある( ;∀;)
「ステキなものだった」と思い出に残っていたのに、もう一度同じ体験をしてみると「あれ?こんなもんだった?」となるやつ。
思い出は思い出のままでしまっておくのがいいのでしょうね。
クリスティーヌを通していろんな人生模様に触れて、面白い映画でした。
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