映画「 (500) 日のサマー」あらすじと感想【ネタバレあり】運命を信じるより現実を見るべし
2009年公開。
「アメイジング・スパイダーマン」シリーズのマーク・ウェブ監督の初長編映画監督作品です。
主演は「スノーデン」のジョゼフ・ゴードン=レヴィット。
相手役はテレビドラマ「New Girl~ダサかわ女子と三銃士」のズーイー・デシャネル。
運命の相手と思えた女性との出会いから始まる500日間の物語を、時間軸をシャッフルさせながら、幸せどきと不幸どきのアップダウンの対比をクッキリと描写している演出が見事です。
冒頭のナレーションで「これはボーイ・ミーツ・ガールの話である。しかし恋物語ではない」と宣言しています。
出だしから斬新ですが、ちゃんと恋愛映画です。
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あらすじ
トムは “運命の人に会うまでは幸せになれない” と思っている夢見る男子。
本当は建築に興味があって大学で専攻もしていたのだが、まったく違う分野であるグリーティングカードを作る会社で燻っている。
ある日、社長のアシスタントとしてサマーという可愛い女性が入社してきた。
トムは一目惚れをするが接点がない。
友人で真向いの席に座るマッケンジーが、イヤミで高慢な女だとサマーの悪口を言うのを否定する。
4日目にエレベーターで一緒になり、音楽の趣味が合うことが分かる。
これは運命だ、とトムは思い込む。
8日目に行われた同僚の婚約パーティーでサマーに近づき、お互いについていろいろ話すことができた。
22日目に「週末はどうだった?」と聞くと彼女の答えは「最高だった!」。
きっと男がいるんだぁ~、と激しく落ち込むトムに、友人たちも恋愛経験値が低すぎて慰められない。
「バカを見るのはゴメンだ」と言ってサマーのことは諦めようとする。
28日目。社員全員参加のカラオケパーティーにサマーも出席すると聞き、欠席する意思を覆して参加。
一緒に飲んで、サマーの恋愛観が自分と真逆だと知り、真っ向から反論する。
帰り際、泥酔したマッケンジーがトムとサマーにタクシーに乗せてもらいながら、サマーに、トムは君が好きなんだって、と言ってしまう。
友達として付き合おう、とサマーに言われて了承。
しかし翌日コピー室で二人きりになり、サマーから近づいてキス。
32日目に二人で家具店に行き新婚夫婦ごっこをして、その夜一線越え。
翌朝は脱チェリーの浮かれポンチでまさに幸せの絶頂!
ポルノを参考にしながらバスルームでイタしたり、サマーの部屋に初めて招かれて二人の間の壁が低くなったと感じたり、お気に入りスポットに連れて行ったり、と順調に交際を重ねているかに見えたが、「誰かと真剣に付き合う気はない」と言い張るサマーに、愛してると言えず悶々とする。
259日目にバーで一緒に飲んでいるとサマーにしつこく絡む男が現れた。
不躾な態度の男をトムは殴るが、殴り返されてサマーに窘められる。
ただの友達なのだから二度とあんなことをしないように言われるが、友達なんかじゃない!とトムは怒りを露わにして言い返す。
家に帰り傷心に沈んでいると、雨の中サマーがずぶ濡れでやってきてトムに謝った。
そこでサマーは過去の恋愛の話をする。
しかしその後、デートをしてもなんとなく意見があわずケンカにもなる。
290日目、サマーはトムに付き合いを見直そう、と告げてトムは失恋した。
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感想
トムの恋愛は、神様が決めてくれた運命の人というのが生まれる前から存在していて、その人と出会えば互いに何の努力もしなくても惹かれ合って結婚するものだ、と思い込んでいる幼稚なものです。
サマーを一目見たときに好みの外見だったのでときめき、音楽の趣味が一致しただけでもう運命の人だ、と決めつけています。
そのくせサマーが楽しい週末を過ごしたと聞いただけで、彼氏がいると思い込んで落ち込みます。
まさに一人相撲。中学生か。
運命の人… いるかもしれないとは思いますが、そういうのは後からわかるものなのではないでしょうか。
誰かと出会う前から、その存在を充てにすると結局トムのように痛い目を見るオチが待っている気がします。
自分がそう思っても相手もそう思ってくれているとは限らないし、本当は気の合う相手かもしれない人を見逃してしまいます。
トムの友人のポールは小学生のときからの幼なじみが恋人です。
彼の “夢の女性” は、巨乳でスポーティーな髪型をした娘なのですが、それでもそれに当てはまらない恋人の方がいい、と言い切ります。
理由は “生身だから” 。 うん、健全ですね。
トムにはこの感覚が完全に抜けていて、“夢の女性=運命の人” という図式になっています。
だから中学生かっ!
あまりにも自分の理想にこだわりすぎると良い恋愛を逃します。
「運命」というものを信じすぎないようにしましょう。
カラオケパーティーで、トムは自分の恋愛観をサマーに話すけれど、サマーは恋愛に関してトムとは全く違う考えを持っていました。
「恋愛関係は面倒だし傷つくのもイヤ。
そんな面倒なこと後回しにして人生を楽しまなきゃ。
自分自身でいたいし、愛なんて絵空事。」
以上がサマーの言い分です。
ドライというより、なんだか恋愛を遠ざけたがっているような感じですよね。
なんとなく大分傷つくことが複数回あって懲りたのではないかと思えます。
夢見るトムは現実の恋愛で傷ついたことなんかないから (というより、したことないと思われます) 「君の考えは間違ってる!」と強く反発します。
本来ならここでサマーに何故そう思うのかを聞けばトムの株も上がったのだと思いますが、いかんせん本当の恋をしたことがない。
トムにしてみれば運命の恋はキラキラでフワフワで、そりゃあもう毎日ニヤニヤしちゃうくらい甘い世界なのでサマーの考えが理解できないのです。
いや、理解しようともしていない。
サマーにフラれた後、ブラインドデートをするのですが、サマーのグチばかりこぼして、お相手の女性をまるで見てません。
かなりの美人なのですが、目を向けようともしていないし、優しくグチを聞いてくれているのに彼女のことに全然興味を示しません。
なんでデートするんだよ、と呆れますが、やっぱり自分の傷を癒したいという自分本位な考えからなんですね。
相手への思いやりがなく、意識が自分にしか向いていない人は恋愛に向いていません。
相手を見る、話を聞く、は大前提です。
世の中は自分中心で回っているわけではない、と早く気づいてほしいものです。
トムはサマーを運命の人と思い込んで好き好きビームを出しまくりますが、残念なことにサマーにとってトムは “どうでもいい人” でした。
恋愛感情を持っていない相手なので、適当にあしらうこともできるし、本命の前では絶対やらないようなこともトム相手にはできます。
ポルノを参考にしたエッチだの、昼日中の公園で卑猥な言葉を叫ぶだの、嫌われても別にどうでもいい相手とだから出来るんですね、こういうことは。
まあセフレとほぼ同じなので、だから相手の恋愛感情がさらに高まって距離を縮めて来ようとすると逃げたくなるわけです。
性別問わず夢見がちな人は都合のいい人になりやすいです。
相手の本質を見るより勝手に運命の人と勘違いしてくるのでまず離れていかないし、恋愛経験値が低すぎて、不満を持ちながらも相手の言いなりになるからです。
気を付けましょう。
トムが何をきっかけにして「運命」にこだわるようになったのか分かりませんが、あまりにこだわると見る目が曇って人生を壊してしまいます。
「運命なんて “あって無きもの” 」くらいの考えでいたほうがいいのではないでしょうか。
意外にも運命なんて信じていなかったサマーが運命的な出会いをして結婚しています。
トムも運命をもう信じない、と思ったら出会いがありました。
目に見えない不確かなものを盲信しなくなると、物事は良い方向に転ぶようです。
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