イタリア映画「愛の嵐」あらすじと感想【ネタバレあり】永遠に囚われる愛の呪縛
ダーク・ボガードとシャーロット・ランプリングが主演の、退廃的なムードが漂うメロドラマです。
当時はまだ数少なかった女性監督リリアーナ・カヴァーニの知名度も上げた彼女の代表作でもあります。
新品価格 |
あらすじ
かつてナチ親衛隊だったマックス。
強制収容所にてユダヤ人たちに非道な行為をしてきた男だ。
終戦から20年。
彼はウィーンでホテルのフロント兼客室係として働いている。
シフトは必ず夜にしており、身を隠すように生きていた。
ホテルに滞在している客には元同僚のバートもおり、互いの暗部を知っている者同士で相談し合うこともある。
ある日、アメリカ人指揮者アザートンが妻を伴ってホテルにやってきた。
フロントで迎え入れたマックスは、彼の妻の顔を見て強張った。
彼女は20年前、一目惚れしたマックスが収容所で弄んだ少女ルチアだった。
ルチアもマックスに気づいて驚愕する。
早くウィーンを去りたい、とルチアは夫に伝えるが、演奏ツアーで来ている彼は公演が終わるまで去ることはできない。
ルチアはなるべくマックスと顔を合わせないようにするが、過去の忌まわしい記憶がフラッシュバックして彼女を苦しめた。
そしてそれはマックスも同様で、否が応でも彼女をいたぶりながら愛した過去を思い出す。
マックスはアザートンが演奏する舞台を観に行き、ルチアの近くの席に座って彼女を見つめる。
ルチアも視線に気づいて心が波立つのだった。
翌朝、次の公演のためフランクフルトに旅立つ夫を送り出してルチアはひとりウィーンに残った。
モーツァルト・ハウスに立ち寄って記憶を反芻する。
マックスを憎みながら愛おしむ感情を、ルチアは持て余していた。
ホテルに戻ると、ある部屋から複数人の男たちの会話が聞こえてきた。
その中にはマックスもいる。
彼らは全員マックスの元同僚のナチ親衛隊残党だった。
当時の罪を逃れるため、あらゆる証拠を消し去って今も安穏と生きている。
そして彼らは、当時の囚人で生き残った女性がいると気づき、生き証人こそが一番危険と見なして、抹殺しようと画策する。
まさにルチアのことだった。
彼女は部屋に戻って夫に電話をかけるが繋がらない。
マックスがフロントの立場を利用して邪魔したからだ。
急いで荷物をまとめていると、部屋にマックスがやってきた。
新品価格 |
感想
あそこまで酷いことをされてマックスに愛情を持つルチアの感情が理解できなかったです。
……ドMの人にはたまらないのでしょうか?
私自身、過去にはマックスみたいなクソ野郎と何人か遭遇してしまったけれど (誰でもありますよね。同じクラスだったとか職場だとかで) 愛情なんて欠片もないし、二度と会いたくないし、会っても「オエー」のひと言でサッサと目ェ逸らして足早に去ります。
関わり合いになるとか、二度とゴメンです。
なのに一人ウィーンに残って、あんな記憶を思い出して浸るルチア。
解せん (;一_一)
再会してからも、理不尽に殴られるし監禁されるし、マックスが甲斐性無しのせいで兵糧攻めにあって飢えるし…
なーんで、指揮者の妻という幸せを手放してこんなクソと一緒にいるのか。
マジで解せん。
もしかして幸せになるのを怖がっている人? と考えました。
ラストで再びナチの制服を着たマックスと、初めて収容所に入れられた当時と似たワンピース姿のルチア。
主従関係が永遠に変わらない象徴のように思えました。
収容所での出来事を「人に知られたくない恥ずかしいこと」だとは分かっているけど「異常なことだった」とは気づけなかったんでしょう。
(戦後) 20年も生きてきたのにね♪ (by 薬師丸ひろ子)
不健全なつながりを断ち切れなかったために迎えた結末は案の定 悲劇。
ヨーロッパ特有の、重くて退廃的で官能的な雰囲気に満ちた作品でした。
中古価格 |
他リリアーナ・カヴァーニ監督作品
映画「リプリーズ・ゲーム」あらすじと感想【ネタバレあり】ゲームのつもりが絆されて
他ダーク・ボガード出演作品
他シャーロット・ランプリング出演作品
映画「ベネデッタ」あらすじと感想【ネタバレあり】思い込みの実現化、かもしれない
ナチ残党クラウス役フィリップ・ルロワの他出演作品
映画「ニキータ」あらすじと感想【ネタバレあり】非情になれない彼女の涙
「カサノバ~最期の恋」あらすじと感想【ネタバレあり】見どころがまったくないわけではない
映画「黄金の七人」あらすじと感想【ネタバレあり】泥棒グループのメンタルは強め
新品価格 |
映画パンフレット 「愛の嵐」 主演 D・ボガード、C・ランプリング 中古価格 |