映画「ある公爵夫人の生涯」あらすじと感想【ネタバレあり】裏切られた心の行方
「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズのキーラ・ナイトレイが、故ダイアナ元妃の先祖にあたる18世紀に実在した女性を演じています。
夫の公爵役には “名前を言ってはいけない例のあの人” 役で有名なレイフ・ファインズ、母役には国際派女優のシャーロット・ランプリングが配されています。
あらすじ
1774年イギリス
オルソープ領地で暮らす17歳のジョージアナ・スペンサー伯爵令嬢は、本人の預かりしらぬところで、ロンドンの名家・デヴォンシャー公爵に輿入れすることになった。
2回しか会ったことがない公爵の元に嫁ぐことに戸惑いながらも、母と共に「きっと大丈夫」とうなずき合う。
婚礼は粛々と進み初夜を迎えるが、公爵から全く愛情を感じられなかった。
ベッドでもまるで口を利かない、自分に無関心な夫にジョージアナは、二人きりのときくらいもっと親密にしてくれてもいいのに、と不満を持つ。
実家に行き母に相談すると、すべては男子を産めば解決する、と言われた。
この結婚の契約には、ジョージアナが男子を産むことが必須になっているのだ。
ある日政治集会の夕食会で、夫は勝手に部屋に帰ってしまう。
ジョージアナは、仕方なく一人でゲストたちを仕切らなければならなかった。
夫の部屋に向かうと、部屋から裸の女性が部屋から飛び出してきて浮気をしていることに気づいた。
しかもジョージアナの妊娠中、外で産ませた子供を引き取り彼女に育てさせる。
夫の非常識ぶりに腹を立てるが、その子シャーロットのことは可愛がった。
ギャンブルに興じている真っ最中に陣痛が始まり、夫は周りのお客たちに「男子が生まれるぞー」と囃し立てるだけで、苦しむジョージアナの心配すらしなかった。
ジョージアナが産んだのは女子だった。
落胆した公爵は、赤ん坊を出産直後に一目見ただけで、それ以来見に来なかった。
6年後、ジョージアナには、女の子がもう一人生まれていた。
養女のシャーロットも一緒に家族全員でバース市に行く。
そこでエリザベス・フォックス、通称ベスという女性と知り合い、ジョージアナと無二の親友になった。
夫から暴力を受けて借家に避難しているベスを、ジョージアナはロンドンの自宅に住まわせる。
ベスの紹介もかねて社交パーティーに出席すると、オルソープで暮らしていた頃に一緒に遊んでいた幼なじみ、チャールズ・グレイと再会する。
今や大物政治家に目をかけられている将来有望な議員になっていた。
チャールズがジョージアナを愛していることに気づいたベスは、二人の仲が上手くいくように後押しする。
勇気を得たジョージアナは選挙の手伝いを申し出て、みごと衆人の注目を集めることに成功し、チャールズに感謝され、そして告白される。
夢見心地で帰宅すると、ベスの部屋の前に使用人たちが中の様子を伺っていた。
何事かと思うが、中からベスと夫の淫らな声が聞こえてきて全てを察する。
ジョージアナはこのひどい裏切りに対し、怒りで体を震わせるのだった。
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感想
ジョージアナは、夫の浮気癖はとっくに分かっていたので今更ほかの女性とどうにかなることなどに驚きはしません。
しかし相手が親友のベスとなると話は別です。
夫は弁解するかのようにジョージアナの部屋にやってきますが、彼女は夫を睨み付けて両脇で拳を握って震えながら怒りをぶつけます。
愛情がまったくない結婚生活で、ベスとの友情だけが唯一ジョージアナの慰めでした。
夫に対して、浮気されてもゴリ押しを無理やり容認させられても耐えてきましたが、ベスに手を出したことは許しがたいことでした。
そしてベスに対しても、もう顔も見たくない、と思い詰めます。
女友だちが彼氏や夫を奪ったために、愛情も友情も失ってしまった。
怒りと悲しみでまさにどん底に突き落とされた気持ちになりますが、結構多いこの事例。
油断禁物です。
二人の裏切りに打ちひしがれたジョージアナは、一度実家に戻って母に相談します。
母のアドバイスは、結婚の務めを果たせ、というものでした。
それまで傾倒していた政治活動や賭け事をやめて愛される妻になり、そして男子を産むこと。
男子を産むことがジョージアナには義務として課されていました。
もしかしたら早く男子を産むことが出来ていたら、公爵ももっとジョージアナに優しくしたのかもしれません。
愛されもせず酷い仕打ちばかり受けて、この結婚は最初から破綻していました。
結婚生活が満たされていないと、その心の穴を埋めようとして人は何かに熱中します。
ジョージアナは母が言った二つ、政治活動と賭け事ですね。
賭け事はマリー・アントワネットも夢中になっていました。
彼女も満たされない結婚生活から享楽にうつつを抜かすことで心を満たそうとしていましたね。
結婚していてもしていなくても、現状に満足がいかず、その埋め合わせのため人はいろんな活動をするのかもしれません。
良いエネルギーにして仕事や勉強を頑張るなどの方向に向かうといいのですが、享楽や犯罪に向かうような悪い方向にいかないように気をつけないといけませんね。
この結婚でジョージアナは離婚することもできず、いろんな制約をつけられてもがき苦しみました。
シャーロットを押し付けられて、実の子どもたち同様に面倒をみました。
ベスを追い出すように頼んでも聞き入れてもらえず、毎朝三人での気まずい朝食を強いられました。
チャールズとは別れさせられ、彼との間にできた子供はグレイ家に引き取らせるという条件を突きつけられました。
どれほど神経が磨り減るような生涯だったことかと、気の毒で胸が痛みます。
そんな人生だったからこそ、彼女は壁にぶつかるたび、悲しみや苦しみを抑えるために “自分の心と折り合いをつける” という術でやり過ごしてきたのではないかと考えます。
さまざまなことに対して諦めの気持ちがあったからでしょうね。
物事をそのまま受け入れ、そして恨みや悲嘆を昇華させていくような感じです。
ベスとも後に仲直りをし、ジョージアナは公爵とベスを自分の死後は結婚するようにと遺言を残していました。
チャールズとの子どもには、その後何度かお忍びで会いに行っています。
雁字搦めの不自由な生活のなかで、自分の思い通りにならないことだらけだったからこそ、強い女性になれたのだと思います。
歴史ものコスチュームプレイ映画だけあって衣装が艶やかです。
コルセットがすごくキツそうで可哀そうに見えるんですけどね(;^ω^)
それでもやっぱりゴージャスで魅入ってしまうんですよね~。
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