田中圭一の「ペンと箸 —漫画家の好物— 」感想【ネタバレあり】漫画家たちの親の顔
手塚治虫タッチでオゲレツ下ネタギャグ漫画を描くのが得意なイタコ漫画家・田中圭一さん。
そのイタコ芸を活かして有名漫画家たちの画風そのままに、巨匠たちの子どもから「親としての漫画家」の素顔を聞く取材漫画です。
掲載元が「ぐるなび」のネットサイト「みんなのごはん」ということもあって、各漫画家たちの好物や子供とのエピソードもある食べ物を一緒に食べながらのインタビューとなっていて、グルメ漫画にもなっています。
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田中圭一 カテゴリーの記事一覧 – ぐるなび みんなのごはん (gnavi.co.jp)
感想
単行本が発売されたのがベストセラーになった「うつヌケ」と同時期だったため、こちらはあまり注目されなかったように思えます。
それでもこの作品、1話ごとに変化がつく田中さんのイタコ技術が堪能できるし、普段は知ることのない漫画家たちの実像を、それもこちらも知ることのない子どもたちから聞く、という興味深い題材がユニークで楽しんで読むことができます。
作品を読んだことがない漫画家もいますが、そういう人のエピソードでも面白く読めましたし「今度読んでみようかな」と思えました。
個人的にはジョージ秋山先生と畑中純先生の回が印象深かったです。
寡黙で息子への愛情を口にすることはなかったけれど「命がけで生きろ」という思いをこめて名づけ、厳しい態度で魚を食べさせてひ弱だった子を強くさせるきっかけを作ったジョージ先生。
かっこいい人ですよね。
そして、いつまでもお父さんが大好きだという甘えん坊の娘さんとの関係が羨ましい畑中先生。
そんな娘さんが、まさかお父さんが亡くなるとは思わずに最期にかけた言葉を後悔している様子にもらい泣きしてしまいました。
連載自体は2014年から2016年までの全23回。
結構前のものになるので、インタビューを受けたお子さんたちにも変化があったと思います。
特に西原理恵子さんの娘さんは、今ものすごく母娘関係に確執があることを公表していますが、このインタビューのときにはそんなこと全然感じませんでした。
吉沢やすみさんにしても、インタビューに応じた弟さんの目線と、実録漫画「ど根性ガエルの娘」を描いた姉・大月悠祐子さんの目線では随分違うことにも驚かされます。
そんな現状との違いを比較して見つつ、サクッと読めることもあって疲れたときとかについ手を伸ばす一冊です。
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