映画「太陽に灼かれて」あらすじと感想【ネタバレあり】日常の裏に潜む恐怖政治
ロシアがウクライナに侵攻しているこの時期に、なんだか空気読めてなくて申し訳ないです…
たまたま「幼女が可愛い」と聞いて興味を惹かれてしまったもので (;´・ω・)
スターリンの大粛清時代を背景にしたロシア・フランス共作の戦争映画です。
ニキータ・ミハルコフが監督・主演を務め、噂の可愛い幼女は彼の実娘ナージャです。
アカデミー外国語映画賞・カンヌ映画祭審査員賞グランプリを獲得しています。
1994年の作品ですが、16年後に続編「戦火のナージャ」、さらに1年後に続々編「遥かなる勝利へ」が作られて三部作の構成になりました。
あらすじ
1936年。
革命の英雄と謳われるコトフ大佐は、夏の休暇を家族・親戚と共に避暑地で過ごしていた。
平和な村ではあるが、ここにも戦車隊がやってきて小麦畑を踏み荒らし、村民たちとイザコザが起こる。
コトフは駆けつけて仲裁に入るのだった。
大人たちばかりの中、6歳の娘ナージャは皆に可愛がられている。
妻のマルーシャも、自身の家族と一緒なので気兼ねがなく、コトフ一家は穏やかな日々を過ごしていた。
ある日、少年団の行進を見に行ったナージャが、髭面でサングラスをかけた男性と知り合い、家に連れてきた。
傍若無人な態度をとるその男に皆が戸惑っていると、彼はおもむろに髭とサングラスを取って素顔を見せる。
マルーシャの一家と昔からの友人であるドミトリという青年だった。
マルーシャたちは喜びの声を上げて歓迎し、初対面のナージャも彼に懐いた。
しかしコトフの態度は固かった。
ドミトリはマルーシャの元カレだった。
そして、かつてコトフが英雄の威光を笠に着て国外派遣を命じた青年でもあったのだ。
狙いはマルーシャを奪うつもりか、それともコトフへの復讐か。
ドミトリがここに来た真の目的がコトフには気になった。
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感想
戦争映画ですが、戦場のシーンなどはありません。
スターリン統治下、大粛清時代の恐怖を描いています。
リアルな戦争描写は続編からのようです。
文芸作品のような映像が美しい作品です。
登場人物は基本的に全員白もしくは淡くて白に同化しやすい色の服を着ています。
ナージャのファッションが特に愛らしくて、薄いピンクのギンガムチェックに白を重ねたエプロンドレスは特に目を惹きました。
三つ編みをクルンと輪っかにしたレトロな髪型も超かわいい♡
昭和の頃は少女漫画の中とかでもよく見かけたけど、まったく見なくなりましたね (;´∀`)
そのファッションと田園風景、そして自然光を利用したナチュラルさで、家族の日常をゆったりと描く前半。
誰かが歌えば一緒に歌い、誰かがピアノを演奏すれば皆が踊り出す。
そんな平和な日常が、ドミトリの来訪からゆっくりと浸食され、悲惨な最後を迎えることになる展開に、ザワザワした感覚が胸に残ります。
確かに幼女ことナージャがすごく可愛い。
でもこの子が可愛くて愛らしいほど、そして彼女を中心に家族の笑顔が溢れれば溢れるほど、ラストのテロップが悲しくなります。
ほんのわずかでもスターリンに批判的なことを言うだけで粛清の対象となり、秘密警察が暗躍し、公正な裁判も受けられず処刑される…
平和な日常の裏に潜む、そんな恐怖政治の時代の理不尽さを、観客たちに知らしめます。
秘密警察となっていたドミトリの狙いはやはりコトフの破滅でした。
革命の英雄と言われた人でも、ドミトリの報告ひとつで銃殺刑です。
連行されるとき、きちんと軍服を着て家族には「仕事で行ってくるだけ」と誤魔化して守ろうとしたのに、ラストに現れるテロップでマルーシャ、そしてナージャまで逮捕された、と観客に知らされます。
明るく美しい映像との対比をクッキリ描いた鬱ラスト。
最後はドミトリがリストカットしてバスタブで揺蕩う姿です。
コトフはともかく、愛したマルーシャや無邪気なナージャまで道連れにしたことを後悔したのだろうな、と考えました。
しかし、ここまでキッチリとまとめたあたり、続編を作るつもりはなかったと思います。
キャストは変わっていないようですし、最後のテロップとの相互性は大丈夫なのでしょうか?
気になるけど、ちょっと怖い気もしています (続編で失敗した例っていっぱい観ちゃったから)
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