映画「俺物語!!」あらすじと感想【ネタバレあり】両片思いのムズムズ感
2015年公開。
ゴリゴリでコテコテのむさ苦しいオッサン系男子高校生が主役、という異色の少女漫画の実写版です。
主演は大幅な肉体改造も厭わないことで有名な鈴木亮平さん。
たしかこの映画の撮影直前は、ドラマ「天皇の料理番」の役柄でものすごくやせ細っていました。
そこからのゴリ体型への改造… 本当ストイックでプロ意識が高い俳優さんです。
ヒロイン役は永野芽郁さん。
親友役を坂口健太郎さんが演じます。
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あらすじ
逞しい体躯に男らしい太眉ともみあげを蓄えた、いかつい顔の古風な男・剛田猛男。
ガテン系のオッサンのような見た目だが、中学を卒業したばかりの少年だ。
頼りがいがあり、竹を割ったような性格の彼は、同級生や下級生の男子たちから厚く信頼され、慕われている。
そんな猛男の一番の親友は、マンションの隣室に住む幼なじみの砂川誠。
通称スナ。
猛男と正反対の、スマートでクールなイケメンで女子にモテる。
猛男が好きになる女の子は、例外なくスナを好きになる、というパターンが定着していた。
しかしスナは告ってくる彼女たちをいつもフッている。
高校に入学して間もなく、二人で一緒に帰る道の途中で、下品なナンパ師に絡まれて困っている女子高生を見かける。
正義感の強い猛男は、本気で嫌がる彼女を放っておけず、すぐに助けに入ってナンパ師を撃退した。
声も出せないほど震えて涙をこぼす彼女を見て、猛男は「怖がられている」と察して、そそくさと立ち去った。
しばらくスナとふたりで歩いていると、服を掴まれる感触で振り返る。
今しがた助けた女の子が、お礼を言うために息を切らせながら走って追いかけてきたのだ。
その健気な姿に猛男は一目惚れ。
好きだーーー!と心で叫びながら学校でもニヤついてしまう。
折しも大会が近い柔道部の部員たちから助っ人を頼まれた猛男は、練習でも絶好調。
「好きだ―――!」の雄叫びと共に背負い投げされる部員たちは、これが猛男の気合だと勘違いする。
そしてスナと一緒の下校途中、昨日の女子高生が猛男を待っていた。
チーズケーキを焼いてきたので、お礼に一緒に食べませんか、とはにかみながら言ってきた。
三人で公園に移動し、昨日できなかった自己紹介で、彼女は大和凛子という名前だと知る。
お菓子作りが好き、という女の子らしい一面も見て、猛男はますます彼女が好きになるが、これまでのフラれ経験から、彼女もまたスナを好きなのではないかと考える。
ふたりで向かい合って座っている姿が絵になっている。
猛男は落ち込むが、スナは性格もいいし、帰り道では凛子のことをいい子だと褒めていた。
スナが女子を褒めるのを、猛男は初めて聞いた。
凛子は本当に優しくていい子だし、自分はふたりの恋を応援する側に回ろう、と猛男は心に決めた。
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感想
猛男は男子にモテモテ (BL的な意味ではない) ですが、スナは女子にモテモテです。
猛男が好きになる娘はもれなくスナに好意を持っているから、羨ましいと思っています。
溺れている子供を助けても、引き渡したスナばかりが母親にお礼を言われ、びしょ濡れの猛男は見向きもされません。
凛子の友人たちもスナを見てときめき、猛男のことは「親戚のオッサン?」と手厳しい評価を下します。
スナは大好きな親友だし、モテることに納得できますが、寂しさは感じます。
だから凛子が頻繁にお菓子を作っては持ってくるのも、スナとの距離を縮めたいからだと思い込むのです。
現実でも、ものすごくモテる人っているんですよね。
学生時代、一番仲が良かった友達がそうで、学校でもバイト先でも彼女に好意を持つ人は絶えなかったです。
まったく真逆の非モテの私は「羨ましい」と思いながらも、彼女がすごくいい子で魅力的なことが分かるから、彼女が声をかけられる横で無視されることも「仕方がない」と受け入れていました。
実際私に声をかけるのなんか、詐欺かマルチか宗教かのいずれかで間違いないですし (-“-)←拗らせてる。
ふふふ… ちょっと苦い気持ちを思い出しちまったぜ… (T▽T)
中学卒業までは、猛男が好きになった女の子は全員スナに告白してはキツい言葉でフラれていました。
それを見ていた猛男は、もっと優しくしろ、とスナに言います。
しかしスナは、彼女たちがみな猛男の悪口を言っていることを知っていたのです。
スナにとっても、猛男はカッコ良くていいヤツなのですが、女を見る目だけはない、と思っています。
友達を悪く言われることは、心底イヤなことでした。
凛子の友人たちもまた、凛子の好きな人がスナではなく猛男のほうだと知り、ドン引き。
遊園地での合コンのとき、陰でヒソヒソと「あのゴリラはヤバい」と猛男の悪口を言っているのを、猛男は耳にしてしまいます。
彼女たちに背を向けて落ち込む猛男に、凛子が猛男を庇って反論している声が届きました。
普段は穏やかな凛子の声が怒気を孕んでいることから、好きな人を悪く言われて悔しい気持ちが現れています。
誰でもそうですよね。
自分の好きな人 (恋愛相手だけではなく友人も含む) を悪く言われたくありません。
言った人に対してトゲトゲしい態度になってしまいます。
空気が読めない人だと、自分の気持ちを分かってほしい、という気持ちが先走って、その人と親しい人に不満を言ってしまいます。
それが結局悪口と取られ (本人に言わずに人にグチっている時点で悪口ですが) 信用を失います。
悪口はストレス発散にはなりますが…、いやあんまりならないな(;一_一)、やっぱり言わない人になったほうがいいです。
たまに悪口で盛り上がっているような人たちもいますが、顔つきなんかを見るといい人生を歩んでいるように見えないので、仲間に入らないほうが正解のような気がします。
原作では猛男と凛子が付き合い始めるのは早いです。
長期連載ですが1巻ですでにラブラブになったふたりは、その後も猛男の豪快エピソードを絡めつつ、結局毎回、凛子のことを「好きだ」と心で呟いてだらしない顔になっている猛男の後ろに、少女漫画特有の背景が描かれるオチになります。
まあ基本この繰り返しなので、リア充爆発しろ(古)、と思って途中で飽きて読むのを止めたのですが。
映画のほうは、ふたりとも最初から一目惚れで両想いのはずなのに、自分の片思いだと思い込んでいる、空回りの両片思いの心情やエピソードを「これでもか」と引っ張ります。
そのじれったさが、観ているこちらには甘酸っぱいんだかしょっぱいんだか、なんとも言えずムズムズして、「ああもう、おまいら、さっさと結婚しちゃえ! (←いろいろすっ飛ばしすぎ) 」とヤキモキしてしまいます。
でもこのムズムズ感が、「青春だしー、少女漫画だしー」と思うと、なんだか心地よさまで感じる不思議。
メイン三人のキャラが、全員好感が持てるせいかもしれません。
ひとりでも気に食わないキャラがいたら、ムズムズではなくイライラだったと思うので。
クレジットが流れたあとも爆笑エピソードがついています。
豪快で楽しいコメディですが、恋愛映画の甘さもある愉快な作品でした。
少女漫画原作作品、こちらもよろしくお願いします
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