映画「ニュー・シネマ・パラダイス インターナショナル版」あらすじと感想【ネタバレあり】
アカデミー外国語映画賞やカンヌ映画祭審査員グランプリなど、各賞を総なめにしたイタリアの名作映画です。
ジュゼッペ・トルナトーレ監督の代表作に挙げられ、主演のフィリップ・ノワレもまた数多くの作品に出演していますが、この作品が代表作となっています。
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あらすじ
ローマで映画監督として成功したサルヴァトーレに、母からの電話が入った。
アルフレードが亡くなった、という。
もう30年も故郷に帰っていない。
サルヴァトーレはベッドに横たわって、幼かった頃に思いを馳せた。
1940年代。
シチリア島の小さな村に住む小学生のサルヴァトーレは、トトの愛称で呼ばれている。
父はロシアに出征して長く不在にしており、母と妹の三人暮らしだ。
学校に通いながら、神父をしている叔父の手伝いをしていた。
この村では、広場にある小さな映画館だけが唯一の娯楽施設である。
叔父は新しい映画のフィルムが届くと映画館に行き、村人たちより先に鑑賞する。
そしてキスシーンなど、不道徳と判断した場面を映写技師のアルフレードに切り取らせていた。
トトも叔父についていき、見つからないようカーテンの影から検閲前の映画を楽しんでいる。
そして映写室に行ってはアルフレードに無邪気に話しかけていた。
お邪魔なトトをアルフレードは叱るけれど、元がわんぱくなトトはメゲない。
切り取られたフィルムに興味津々だった。
ある夜、遅くまで映画館に入り浸っていたトトを、母親は広場で待ち構え、叱責しながら激しく殴打する。
ちょうど帰宅するところだったアルフレードが仲裁に入ってトトを助けた。
それ以来トトは映写室によく行き、アルフレードから映写機の扱い方を教わるようになる。
ある日、映画館に入れない人たちが入り口前に集まって不満の声を上げるのを、アルフレードとトトは映写室の窓から見ていた。
一計を案じたアルフレードは、広場にある建物の白い壁に映画を映した。
音声も映写室にあるスピーカーを窓枠に置く。
村人たちはアルフレードの粋な計らいに喜んで映画を楽しんだ。
トトも広場に降りてみんなの輪に加わる。
しかし映画の途中で映写機が発火し、フィルムが焼き切れた。
映写室にいたアルフレードは、火を止めようとしたが間に合わず、自身の身体に火が燃え移ってしまう。
広場の皆が火事から逃げ惑うなか、トトはアルフレードを助けに映画館に向かって走った。
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感想
映画を通して温められる老人と子供の友情。
シチリアの美しい風景とともに、心に沁みる作品ですね。
小さな体で大柄なアルフレードを必死に火事から助け出すトトの勇気。
わんぱくで泣き虫でも、こういうときに必死になれる、真っ直ぐに育った子供らしい子供です。
幼年期のトト、ほんと可愛いんですよね~ (*´Д`)
こんな子に懐かれたら、アルフレードも映写室に入れちゃいますよ、そりゃ。
トトのおかげで一命は取り留めましたが、アルフレードは失明してしまいました。
それでも年齢を重ねてきたからこその慧眼があり、トトをその後も支えます。
新しく建てられた映画館の映写技師はトトになりました。
目が見えなくてもアルフレードは長年の経験で培った技術を惜しみなくトトに伝授。
青年になったトトが初めて恋をすれば、耳に痛いことも言うけれど基本的には応援してくれます。
だけどふたりは友達だけど、アルフレードは父親のような感情をトトに持っていました。
トトがこの小さな村で映写技師として生きて行くことは間違っている、と思っているのです。
勉強もできるトトはこの村から出てもっと大きな仕事につくべきだ、とアルフレードは諭します。
二度と戻らず、自分たちのことも忘れろ。
もし帰ってきても俺の家には上げない。
そう言ってトトを送り出します。
この厳しさは… 男の子に対しての父性なのかな、と考えました。
アルフレードはトトをものすごく可愛がっています。
トトには父親がいないので、その代わりにもなったのだと思います。
おそらく母親は「いつでも帰っていらっしゃい」という人が多いと思いますが (違ってたらすみません) 父親は息子には自分たちを頼らず独り立ちしてほしい、というひとが多いのかもしれません。
この千尋の谷に突き落とす獅子のような厳しさは、アルフレードがトトは必ず成功者になると信じていたからでしょう。
それこそ温かく見守る父親のように。
その後トトはアルフレードの言いつけ通り、30年故郷に帰ることはしませんでした。
女性関係こそだらしないものですが、立派に独り立ちしています。
映画が繋いだ縁が人生に大きく影響したふたりの物語。
最後にトトがアルフレードの遺した、不道徳と言われて切り取られたシーンをつぎはぎしたフィルムを見ながら笑い、そして泣くシーン。
映画への愛と、大切な友情を嚙みしめるラストに、こちらも涙腺が緩みました。
インターナショナル版ではここで終わりますが、完全版ではこの続きがあるそうです。
うん… でも、ここで感動を味わったから、私は観なくてもいいかな、と思っています。
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