映画「ある過去の行方」あらすじと感想【ネタバレあり】もつれた関係を解きほぐす
「別離」のイラン人監督アスガー・ファルハディが脚本も担当したフランス映画です。
「アーティスト」のベレニス・ベジョが主演のひとりを演じ、カンヌ国際映画祭女優賞を受賞しました。
新品価格 |
あらすじ
4年前にイランに帰国していたアーマドだったが、別居中の妻マリーから離婚手続きを一緒にするように頼まれ、一時的にフランスに戻ってきた。
パリの郊外にあるマリーの住居まで、迎えに来てくれた彼女の車で向かう。
その道中、マリーは他の男性と再婚するつもりでいることを伝え、そして彼女の娘リュシーと話をしてほしい、とアーマドに頼んでくる。
アーマドとは血が繋がっていないが、4年前まで娘としてずいぶん可愛がった。
そのリュシーも16歳となり、母の再婚に手放しで賛成できない難しい年頃のようだ。
マリーの家に着くと、リュシーの妹レアの他に見知らぬ男の子もいる。
マリーの再婚相手サミールのひとり息子でフアッドといった。
もう一緒に暮らしていることにアーマドは軽くショックを受ける。
離婚手続きは明日、家庭裁判所に一緒に行く予定だ。
フアッドが寝る場所を変えさせられるのが可哀想なのでホテルに泊まるつもりだが、リュシーの帰りを待つことに。
薬剤師として薬局で働くマリーは仕事に出かけようとするが、そのときフアッドがペンキを床にぶちまけていたのを見て烈火のごとく怒り出した。
止めに入ったレアまで突き飛ばし、フアッドを部屋に閉じ込めたマリーは、手首をケガしているにもかかわらず床掃除を始める。
アーマドは彼女を宥めて仕事に送り出し、フアッドと話をした。
彼は元の家に帰りたがっていた。
仕事に行く前にマリーは、サミールが切り盛りしているクリーニング店に寄る。
するとサミールの元に先ほどフアッドから電話があったので、今夜迎えに行くことをマリーに伝えた。
クリーニング店の二階が住居で、サミールはほとんどそこで過ごしているがフアッドはマリーの家に預けっぱなしになっているのだ。
夜、リュシーが帰ってきたのでアーマドが話を聞くと、サミールもまだ既婚者で、妻のセリーヌは植物状態なのだと教えられる。
中古価格 |
感想
リュシーが「セリーヌ情報」を小出しにしてくるので、それが最後まで観客を引っ張る力にかなり貢献しています。
アーマドとの話し合い1回につき1情報、という感じなので、もっと… もっとヒントを…
\(。´□`・。\)
と、光を求めるゲーテばりに縋りつきたくなります。
16歳女子に。
セリーヌが自殺未遂により植物状態になった原因は、夫サミールとマリーの不倫が原因、とリュシーは確信しています。
しかし直接の原因は、自分がふたりのメールのやり取りをセリーヌに転送したことだとも思っていてリュシーは苦悩していました。
フアッドの目の前でありながら店にあった洗剤を飲む、突発的ともいえる行動。
もともと鬱病だったセリーヌにショックを与えたかもしれない、と泣くリュシーに、アーマドが落ち着いてマリーに話すように進言。
ほんとね、アーマドがいなかったら全員どうなっていたか分からなかった。
サミールも怒りっぽいし、マリーは完全にヒステリー気質。
だからカップル間、親子間でたびたび対立・衝突するのですが、アーマドが仲裁に入ってなんとかなっています。
一番他人だからこそバランサーとして上手く配されている役割です。
マリーみたいな人には一番合っていたんじゃないかと思いますが、アーマドとの夫婦関係が破綻したのも分かります。
リュシーが生まれてから3人の男性と結婚して、3人とも数年でいなくなってしまう、ということだそうで、マリーは相手を疲れさせる女性なんだろうな、と推察できるんですよね。
ヒステリーで攻撃的な人格を自覚してなさそう。
さて、セリーヌが自殺しようとした本当の原因はなんだったのでしょう。
話が進むうちに、リュシーが転送したメールは読んでいなかった可能性があり、サミールの浮気相手を間違えていた可能性もあります。
だけど確かなことは、マリーと浮気をしていても結局サミールが愛していたのはセリーヌだった、ということでした。
離婚が成立してアーマドは帰国します。
マリーはサミールとの間にできたお腹の子を堕胎する決心をしました。
そしてサミールはセリーヌが目を覚ますのを待ちます。
三人ともバラバラの人生を歩むラストに驚きましたが、静かな余韻を残しました。
かなり面白かったです。
他ベレニス・ベジョ出演作品
映画「ROCK YOU! [ロック・ユー!]」あらすじと感想【ネタバレあり】ロケンロール中世!
こちらもよろしくお願いします
新品価格 |