映画「夜の大捜査線」あらすじと感想【ネタバレあり】偏見を超える不器用なバディ
アカデミー賞作品賞などを受賞した、ノーマン・ジュイソン監督のサスペンス映画です。
主演は共に名優のロッド・スタイガーとシドニー・ポワチエ。
スタイガーはアカデミーおよびゴールデングローブ賞主演男優賞を受賞しました。
音楽はクインシー・ジョーンズが担当し、主題歌をレイ・チャールズが歌います。
あらすじ
ミシシッピ州スパータ。
地元の警察官サムは、行きつけのラルフのカフェでコーヒーを飲んでから夜間の巡回に出た。
静かな田舎町をのんびりと回り、途中で家の中で裸族になっている少女の姿をじっくりと見る。
しばらく堪能した後でまたパトカーを走らせていると、路地に横たわる男性の遺体を発見した。
男性は、工場建設のためにこの町にやってきていた富豪・コルバートだった。
警察署長のギレスピーも現場にやってきたが、検死を請け負った医師と同様、この田舎町で殺人など滅多に起こらないためノウハウがない。
とりあえず容疑者を挙げればいい、とタカをくくっていた。
犯人捜しを開始したサムは、駅舎で見知らぬ黒人男性を見つける。
身体検査をすると、黒人らしからぬ大金を持っていたため、容疑者として署に引っ張ってきた。
しかしその男性はフィラデルフィア警察の殺人課刑事バージル・ティッブスだった。
身元照会でバージルの上司に電話すると、今回の事件をバージルに手伝ってもらうよう進言されて、ギレスピーはシブシブ承諾する。
黒人への偏見が強いからだ。
それはギレスピーだけではなく、この町全体がそうなのだった。
バージルが遺体を見分している間に、コルバートの財布を持っていたことで容疑者に挙げていたハーヴェイという男が逃げ出した、と連絡が入る。
ギレスピーはパトカーで追跡してハーヴェイを逮捕。
署に連れてきてコルバートの妻と引き合わせた後、留置所に入れることに。
検死による新たな証拠を持って署に戻ってきていたバージルは、利き腕の違いからハーヴェイは犯人ではないと確信する。
コルバートの車から見つかった綿花の茎を見つけ、この町の有名な農園主エンディコットに疑いの目を向けた。
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感想
名作と言われているだけあって、面白かったですー♪
事件ものとしてもテンポが良く、偏見を乗り越えて信頼を築くバディものとしてもスッキリ。
1967年の作品ですが、まだまだ南部での黒人差別が強かった頃です。
この翌年にキング牧師が暗殺されています。
有能なバージルが堅実に捜査をしているのに、偏見を持つ白人からの嫌がらせは頻繁に起こります。
かなり危険な目にも遭いました。
だけどギレスピーが助けに入ります。
バージルの能力や人格を認め、徐々に態度を軟化させるギレスピー。
このロッド・スタイガーの演技。
急に態度が変わるのではなく、本当に「少しずつ」気持ちが変わっていく心理描写を、粗野な振る舞いの裏で細やかに演じているんですよね。スゲー (・∀・)
おじさんのくせに若者ぶっちゃって四六時中ガムをクッチャクッチャさせて誤認逮捕ばっかやってる田舎警察署長にしか見えないのに。
しかも口癖は「オー イエー」なんて、アホっぽいのに。
主演男優賞なっとくの演技力ですわ。
犯人は最後に分かりますが、ヒントはないのでフーダニットではありません。
意外な犯人ではありましたが。
ただ、ギレスピーが誤認逮捕ばっかしてるんで、容疑者は絞られてくるかな (;^ω^)
ちなみにサムが逮捕されるきっかけになった巡回ルートの件。
カフェでパイを出してもらえなかったから、代わりにオパーイを見に行った、ってことかな、と思いました。
どちらのパイも罪深い…
てゆーかラルフ、わざとパイを隠してサムに意地悪するんだもん。
バージルへのキッツい態度と比べると、まあからかいの範疇だけど… 売り上げに響くだろうに、商売人に向いてないんじゃないか、と余計な心配しました。
ラストは、事件を解決し帰っていくバージルと見送りのギレスピーの姿です。
列車に乗る直前までバージルの荷物を持ってあげているギレスピーに成長を感じます。
これまでがこれまでだから、ちょっとぎこちない不器用な別れが、この男くさい映画の締めにキマッていると思いました。
面白かったし、古いけどカッコいい作品です。
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