漫画「末期ガンでも元気です 38歳エロ漫画家、大腸ガンになる」感想【ネタバレあり】
1年ぐらい前だったでしょうか。
ネットニュースになっていて試し読みをしてみて、その絵の美麗さに見惚れて印象に残っていました。
それからしばらく経ち、作者の「ひるなま」さんが亡くなったと聞いたのが、2022年12月。
この記事を書いている時点では先月のことです。
すぐに「あの漫画の人だ」と分かり「ああ、ついに…」と、第1話しか読んでいなかったのに、すごく寂しい気持ちになりました。
そして正月明け、不意に漫画アプリ「ピッコマ」のオススメに出てきて、しかも「待てば0円」で最後まで読める仕様になっていたので、読み始めることに。
ようやく最終回まで読み終わりました。
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概要
作者ひるなまさんが、2019年に大腸ガンのステージ4という告知を受けてから半年後に執筆されました。
お腹がすくサイクルが早くなったことで違和感を覚え、生理痛の異常さから病院に駆け込むも異常なしの診断。
近所の町医者に翌日行ってみると、腹部に腫瘤らしきものがあり緊急で入院施設がある病院を紹介されることになる、という怒涛の展開から始まります。
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感想
作者自身は鳥獣戯画風のウサギのキャラクターで描かれています。
そのため作品全体に可愛らしい雰囲気があって、かなり深刻になりそうな闘病記が、どこかコミカルでメルヘンチックに見える配慮がされています。
なにしろ医師をはじめ医療関係者は写実寄りの絵柄なので、そんな人たちが小さな可愛いウサギさんと真面目に会話している世界観ですよ。
ギャップ可愛くて、それだけで魅了されます。
身内である旦那さんは覆面レスラーにウサ耳がついた外見。
ムキムキの身体でショートタイツ姿なのに「すぐ泣く」と頻繁に書かれる泣き虫キャラで、一番ユニークな外見にされています。
すごいイケメンが描ける画力ながら、自分の旦那さんはイケメンに描かないところが好感持たれるところだと思います。
お惚気も少々入っているから、イケメンに描かれていたら反感買ったかも。
このへんのバランス感覚も優れていると思いました。
ちなみに外科医のJ先生がすんごいカッコ良くて、めちゃくちゃ好みなんですけど…!
ノリが軽い性格も含めて。
登場シーンが多くないのが残念で、彼が出てくるところは繰り返し読んではその美貌を堪能させてもらってます。
ひるなまさん、お元気になってもっとイケメン描いてほしかった…
「J先生描いてください」ってリクエストしたかったです。
とはいえ、本業はBLエロ漫画家なので、J先生のお尻がヤバい絵を見させられたかも (;^ω^)
この漫画自体は年齢制限なく読める一般漫画なのですが、注腸造影などお尻にチューブを入れる検査のときは、本業の力が発揮されています。
出し入れ時の水音の擬音が… 痛みで上げる叫びが…
お尻を「おいしそうな桃」の絵で描いてるのに、なんのカモフラージュにもなっていないw
つらい検査を面白く読ませようとする、漫画家としてのサービス精神に脱帽です。
病気に関してはデリケートなことなので、身近にガンの人がいてもあまり多くのことを聞けず、まったく知識がないままの私。
この漫画のおかげで、どういった治療を行うのか、どういった症状が出るのか、などを知ることができました。
最終回では「死ぬその日まで生活していかなければいけない。周囲は患者の日常生活を支えることが大事」と描かれていてハッとしました。
確かに生活って「生きる活動」のことだから、死ぬまで続けるものだと今さら気づいて愕然。
こんな当たり前のことすらも普段ちゃんと考えずに怠惰な生活をしていたんだな、と反省する気持ちが湧きました。
大切なことを伝えながら漫画としても面白い。
そしてやっぱり絵が素敵! (何度でも言っちゃう)
これほどの画力をつけるのに相当努力もしたんだろうな、と思います。
素敵な作品をありがとうございました。
ご冥福をお祈りいたします。
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